Treasure…2
- 2014/11/21
- 20:00
ソファーと思わしき物の上には服が置いてあり、しわくちゃになっている
僕は顔を顰めてとりあえず手にしてみると少し汗臭い
…着用済み…?
悪いかな?と思いながらもリビングから出て洗濯機を探す
…あった…けど…
僕の探していた洗濯機はあったけれど
今からでは時間が無さすぎる
「…何人分?」
全く起きて来た気配の無いリビングに行くとドンヘさんが茫然と立ち止まっていた
「ドンヘ…さん?」
「シム、これ…お前が…?」
何を言われているのかと思えば何個もあるゴミ袋
「…はい。…あ!!駄目でしたか!?」
「…いや…むしろ逆…」
…逆?
「…なぁ、シム…」
「…はい…?」
ドンヘさんは僕の事を少し見上げて真剣な顔つきで言った
「…今日の仕事はここの掃除とか言ったら怒るか?」
「…いや、別に怒りませんけど…」
「そうか、じゃあ、そういう事でよろしく」
「…はぁ…」
「とりあえず洗剤とか買うなら領収証貰って?」
「あ、はい」
「…誰?」
声のする方を見たら機嫌の悪そうな人が僕を睨み付けた
…あー、何処かで見た事あるような…無いような?
「うちの新入社員の、シム…シム…」
「…チャンミンです。シム・チャンミン」
「そう!!シム・チャンミン」
「…ふぅん…」
「ユノ、いいから早く準備してくれよ」
カサ…カサカサ…
「…ん?」
僕の耳に届いたのはビニール袋が擦れる音で
まるでアイツが出現した時のような音
…そして…
「…っヒ、ぁ、あ!!」
僕の視界に入って来たのは黒いアイツ
ゆっくりと動いたかと思ったら物凄いスピードで僕に向かって来た
「ぃやあああああぁぁぁ!!」
逃げなきゃ!!逃げなきゃ!!逃げなきゃ!!
あまりにもビビり過ぎて近くにあった何かにしがみついたらアイツは羽根を広げて僕の背中に着地…
そこで僕の意識は途切れた…
***
「…あれ?」
見た事も無い天井
雑然とした室内
「…何処?」
どうして僕はベッドに寝ていたんだろう?
確か今日から仕事だったのに…
ベッドから降りてドアを開けると
人の気配の無いリビング
だけど僕はこのリビングに見覚えがあった
…何でだろう?
そしてフラッシュバックする記憶
「…帰りたい…」
テーブルの上にメモを見つけて見てみればドンヘさんからで
掃除が終わったら連絡をしろという事だった
「…掃除…」
僕は泣きそうになりながらも一応部屋の中を見渡し必要な物をメモしていく
キッチンの洗剤から洗濯洗剤まで
そしてアイツを駆除するスプレーとか色々
テーブルの上にキーホルダーも無い鍵だけがひとつ置いてあったので、この部屋の鍵だと理解をして僕は買い物に出掛けた
.
- 関連記事
-
- Treasure…5
- Treasure…4
- Treasure…3
- Treasure…2
- Treasure…1