セキュリティを解除して暫くすると
バタバタと音がしてその人はやって来た
「昨日は何処に行ってたの!?
婚姻届の期限て昨日までだったでしょう!?」
「そんなの、俺のプロポーズを断ったお前には関係無いだろ?」
そうか、この人がチョンさんの好きだった人…
「僕は断ってなんか無いから!!」
「…は?」
「…え?」
彼の言葉にチョンさんも僕も動きが止まってしまった
だって断られたから昨夜はベロベロに酔っ払って記憶が無いんですよね?
それなのにその断られたのが違うと言うのなら僕達は何故結婚なんかしてしまったんだって話しになって来るじゃないか…
「ちょっとした照れ隠しだったのに
トイレに行った隙に居なくなっちゃったからかなり焦って探したんだよ?
電話したって電源入って無いのか全然連絡取れないし…」
「…テミナ…」
「ねぇ、婚姻届どうした?
僕の名前書いて提出してくれた?」
何だこれ…まさか修羅場とか言わないよね?
あまりの居心地の悪さにどうすれば良いのか戸惑う事しか出来ない
「…テミナ、実は、彼と契約結婚したんだ」
「…は?…何それ…」
テミナ…そう呼ばれた彼は上から下まで舐めるように僕を睨み付けた
「彼はストレートだから心配するなよ
それに来年の今日離婚する事が決まってるんだ」
「…それでも…ユノヒョンと…」
僕の目の前で繰り広げられる
まるでドラマみたいな現実
二人は結婚したいのに
何故か僕が邪魔したみたいになってる
何だか盛り上がって来ちゃった二人に僕はいたたまれずリビングを出た
「…はぁ…」
彼は彼で恋人が居て
僕は僕でひとりきり
お芝居なんかした事無いし
ちゃんと出来るのか心配だ…
お芝居とはいえ同性とキスなんて
気持ち悪い…
でも、彼なら…
いや、何考えてるんだよ
僕は異性が好きなんだから
そうか、そうだよ
チョンさんがさっきの彼と付き合いながら僕と結婚するんだから
僕だって彼女を探せばいいんだ
そうか、そうだよ
そうしよう
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