LoveBomb

「…ひとつだけお願いがある…」

「…何ですか…」


チョンさんはとても言いにくそうにしてチラリと僕を見た


「…両親が帰って来たら、契約結婚だとバレないようにして欲しい…」

「…え…」


それって僕にお芝居をしろって事？


「両親の前だけで構わないから…」

「…わかりました…」


親には心配かけたくないとかきっとそんな理由なんだろう

それは僕だって同じで、うちの両親に真実は言えない…

それなら…と僕もひとつお願いを口にした


「…来年の今日…」

「来年？」

「僕は、来年の今日…契約解除したいのですが…」

「わかった」


アッサリと認められた離婚
そう、これが契約結婚なんだ



そこに愛が無いのが痛い程わかる



僕達は契約書に色々な事を書いた

例えば
両親が居る時はひとつのベッドで眠る事

両親が居る時は挨拶代わりのキスをする事

などなど…

チョンさんが出して来たのは
その殆どが両親が居る時の事だった

本当に両親を愛しているからこそ
心配をかけたくないんだろう


愛の無い結婚


僕は物凄く寂しくて胸が苦しくて泣きそうだったけど
そんな僕の心情をおいてけぼりにして話し合いは進んで行く

それに…僕はストレートなんだから
彼の態度をどうこう言ったってこの先なんか無いんだ


ボンヤリしていたところに突然の来客を告げるベルが鳴る

しかもそれはかなりしつこくて
チョンさんも驚いてる


「…何だ？」


立ち上がりインターホンを確認すると
顔を顰めて呟いた


「…テミナ…」



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