「今までどうしてたんですか?」
「…お手伝いさんが…来てたから…」
…そうでした
ここは豪邸でした
と、なると、彼は掃除なんかとは無縁の世界に居たんだろうと簡単に想像が出来たけれど
どうして今、こんな惨状なのかと不思議に思う
「今は…何故…」
「…両親は別荘に行ってて居なくて、お手伝いさんも一緒に行っちゃって…」
あっ…
ご両親生きてるのね
てっきりさっきの説明だと、もう他界されてるのかと思ったよ
「だからかれこれ3カ月居なくて…」
「…掃除は…」
「先週クリーンサービスに来て貰ったけど?」
「先週?」
そうか、このゴミ屋敷は1週間で出来上がるのか
それはそれで凄いな…
「クリーンサービス呼ぶよ、ちょっと待ってて」
そう言って電話をかけようとするから僕はそれを制止してゴミ袋を手にした
「ゴミは出した人が片付けるんですよ
わかりますか?」
「…ぇー…」
「えー?じゃねぇ」
僕はゴミ袋をチョンさんに手渡すと
ペットボトルを入れるようにお願いした
それくらいなら出来る筈だろ
***
あれからかれこれ1時間
チョンさんは一生懸命頑張ってくれて
見違えるように綺麗になった室内
やっと落ち着いて話しが出来る
「じゃあ…、取りあえず…話し合いを…」
「…そうだな…」
さっきまでぽやぽやしていた筈のチョンさんの雰囲気が一気に変わり
ジッと僕を見つめる
無駄にイケメンで困る
「住むのはどっちがいい?」
「…こっちの方が会社に近いので…」
「じゃあ、こっちでいいか」
「あの、部屋は…」
「部屋なら余ってるから心配しないで大丈夫だから」
…部屋が余るって何なんだよ
「一応俺の隣の部屋にして?」
「…はぁ…」
「それから…結婚式は盛大にやるから」
「はっ!?何で!?」
「会場ならおさえてあるから心配しなくていいし…って、そうか、相手が変わったって連絡しておかないとな…」
…プロポーズして結婚して結婚式…
きっとチョンさんは色々と考えていたんだろう
だから、きっと断られるなんて思ってもみなかったんだろうなぁ…
…可哀想に…
.
- 関連記事
-