…side Manager…
「俺、引退したいんだけど」
そんな言葉を俺に向かって言ったユノは
とても穏やかな顔をしていて
一瞬ギャグかと思って笑ってしまった
「どうやら治らない病気になったみたいで
時間が無いんだ」
『治らない病気』
そう言ったユノだけど
何故か嬉しそうにも見えて
どんな言葉を掛ければいいのか
俺にはわからなかった
「…癌…か?」
「…ふふ、手術の出来ない病気みたいで…」
「どんな…」
どんな病気だよ
そう言おうとした俺の前で
ユノはコンタクトレンズを外した
「…百日愛…?」
「そうみたい」
何の言葉も出て来ない
俺はただユノの事を見つめるだけで
言葉を発する事が出来なかった
既に瞳の色は薄いブラウンで
片方は少し青みがかっている
コンタクトレンズを外したのに
まるで装着しているかのようで
それなのに
どうしてこんなにも穏やかに笑っていられるのだろうか
「俺は引退するけど
チャンミンはソロで活動させてくれよな?」
「…引退だなんて…
百日愛なら完治する事だってあるらしいじゃないか
だから休養じゃ駄目なのか?」
「治らないよ」
「え?」
「俺はきっと、治らないよ…」
何かを悟ったかのように穏やかに微笑むから
余計ユノの言葉が信じられない
それから会社に報告をしたら
決まりかけてたドラマの仕事が流れて
チャンミンはユノの行動に不満そうにしていた
『引退』
そんな事言ったらチャンミンまで引退すると言いかねない、という話しになって
ユノには申し訳ないけれど
病気療養という事になった
そうでもしないとチャンミンまで…
そうユノに伝えれば
会社の言い分は尤もだと理解してくれて
それでいいと言ってくれたんだ
そんなユノの優しさにつけこんで
会社は百日愛を何とかしようと躍起になる
好きな人に好きになって貰えば治るという噂を真に受けて
長年一緒に頑張って来たチャンミンなら秘密の相手を話すんじゃないか?
と、ユノの意図なんかお構い無しに
物事が進められた
結果、ユノの好きな人が誰なのかわかったけれど
これを会社に報告するのは無理だ
誰がユノの好きな人がチャンミンなんだと信じる?
「…はぁ…」
熱を出して眠ってるチャンミンの横で
寄り添うように目を瞑るユノ
百日愛になるほど愛してる男の隣で
そんな猫なんかになってる場合かよ
いつか何処かの誰かに
チャンミンを奪われてもいいのかよ
「…ユノ…」
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