科学ショック:英気象庁は100以上の存在しない観測点から気温データを「捏造」している(抄訳)
2024/11/06のクリス・モリソン氏の記事の抄訳。英国の気象庁が発表している気温データは、大部分が信頼出来ない。
科学に限らず物事全般を判断する上でデータや記録等のエビデンスは重要だが、気象問題は中でもかなり不確実性の高い分野で、一口に「データや記録」と言っても、鵜呑みにして良いものだとは限らない。気温の記録が広まったのは精々ここ数十年に過ぎない(従って「記録史上最高/最低」と云う枕詞は好きなだけ繰り出せる)、以下の記事でも取り上げられている様に、データの取り方や集計方法には大きな不完全性や偏りが見られるので、「エビデンスが有るのだから(少なくともマスコミがそう報じているのだから)即正しい」と云うことにはならない。
科学と云うのは政治や戦争と同じで究極的には人間の営みであり、人間の営みであるからには必ず視野の偏りや限界が存在すると云うことを念頭に置いておくことが重要だろう。人は通常、自分達がコンテクスト拘束的な存在であることを、身の回りのレヴェルでは或る程度理解してはいるものの、世の中の大きなレヴェルの話になるとすっぱり忘れてしまう。まぁそれでも大抵は生きては行けるのだが、特に巨大な利権が絡んでいる時には用心が必要になる。「科学的知見」は天から降って来る訳ではない、神でも天使でもない人間(科学の訓練を受けた者とは限らない)の日々の営みが作り出しているものなのだ。
Science Shock: U.K. Met Office is “Inventing” Temperature Data from 100 Non-Existent Stations
存在しない観測点からデータが
英気象庁が100以上の存在しない気象観測点から気温データを捏造していたこと示す衝撃的な証拠が明らかになった。
この告発を行ったのは市民ジャーナリストのレイ・サンダース氏で、彼は新しい労働科学大臣ピーター・カイル議員に公開書簡を送った。
気象庁への多数の情報公開請求と個々の観測点を訪問する熱心な現地調査の結果、サンダースは平均気温データを提供している302の観測点の内103が存在していないことを突き止めた。
そもそも観測点が存在していない場所から何十年もデータが送られて来たことになっているケースも有るし、既に閉鎖されている観測点から、推定に基付いた数値が閉鎖後も集計され続けているケースも有った。
彼は「他の機関や研究者達が信頼性の低いデータを使用して誤った結論に達することを避ける為に」、既存の公表データが不正確である可能性が有ることについて「オープンに宣言」するよう求めている。
彼はまたこれらの存在しない103の観測点について、「データ」と称するものが正確に何処でどの様にして持って来られたのかについて、気象庁が「私に通知することを拒んだ」と指摘している。
英国だけではない
存在しない観測点からの気温データを「捏造する」慣行は米国でも物議を醸しており、米海洋大気庁はデータの30%以上を捏造したとして告発されている。存在しない観測点からのデータが追加されたと云うことは、海洋大気庁の報告書が現実を反映していないことを意味しており、「若しこの種のプロセスが法廷で使用された場合、証拠は汚染されているとして廃棄されるでしょう」と、気象学者のアンソニー・ワッツは言う。
英気象庁はサンダース氏に対しては明かさないだけで、気温データの収集方法について本当は合理的な科学的理由を持っている可能性は有る。だがデータが政治的目的の為に利用されているのではないかと云う疑念も拭えない。気候警鐘家達が恐怖を煽る為に引用しているのは、英気象庁や米海洋大気庁が集計したとされているデータなのだ。
データの殆どが不正確
サンダースはまた、WMO(世界気象機関)の分類を巡る別の問題も指摘している。10の観測点の内8近くが、ジャンク・クラス4と5に分類されているが、これはそれぞれ2℃と5℃の「不正確性」が有ることを意味する。つまり英国のデータは国際基準を満たしてない。
気象庁の観測点の内、クラス1・2(誤差の範囲は明記されていない)に分類されるのは僅か52(全体の13.7%)に過ぎない。更にサンダースが現地確認中に破損の可能性を指摘し、クラス1からクラス4に格下げされた事例も有る。
気象庁の言い分では、観測点の「デフォルトの分類」は、「手動で調整されない限り」はクラス1に設定されているのだそうだ。
サンダースはまた観測点が設置される立地の多くが劣悪である問題も指摘している。家庭菜園、植物園、駐車場、空港、下水処理場、水処理場、変電所、太陽光発電施設、等々の内外周辺は人為的な要因により温度が上昇している為、自然に発生する気温を観測する場所としては不適切だ。
また自動化が進められていた初期には、必要とされる信頼性の高い電力供給とデータ通信を欠いていた田舎の観測点の多くが閉鎖されたが、その結果、涼しい記録地点が除外され、大部分がより温かい都市化した地点へとデータが偏ることになった。
「統計上のトリックが(それがどれ程不注意の結果であったとしても)不正確な歴史的虚偽表示を生み出した」とサンダースは述べている。
当局はノーコメント
サンダースはピーター・カイル議員に宛てた公開書簡の中で、気象庁がデータを「明らかに捏造している」ことをハード・エビデンスによって証明したと述べている。また英気象庁のデータは科学的完全性の高い基準を満たしておらず、劣悪な立地や不適切な維持管理の所為で、信頼性の高い正確なデータが得られていない、とも。
担当大臣であるカイル議員はこの声明にまだ回答していない。度重なる要請にも関わらず、気象庁は今日に至るまで如何なるコメントも拒否しており、自らの気温測定と計算方法について弁明しようとはしていない。
政府、議会、気象庁の沈黙は、主流メディアこの件にが全く関心を持っていないことに助けられているが、「実質ゼロ」を推進する利害が、基礎となる科学データに関する懸念を上書きしているとしか考えられない。
科学に限らず物事全般を判断する上でデータや記録等のエビデンスは重要だが、気象問題は中でもかなり不確実性の高い分野で、一口に「データや記録」と言っても、鵜呑みにして良いものだとは限らない。気温の記録が広まったのは精々ここ数十年に過ぎない(従って「記録史上最高/最低」と云う枕詞は好きなだけ繰り出せる)、以下の記事でも取り上げられている様に、データの取り方や集計方法には大きな不完全性や偏りが見られるので、「エビデンスが有るのだから(少なくともマスコミがそう報じているのだから)即正しい」と云うことにはならない。
科学と云うのは政治や戦争と同じで究極的には人間の営みであり、人間の営みであるからには必ず視野の偏りや限界が存在すると云うことを念頭に置いておくことが重要だろう。人は通常、自分達がコンテクスト拘束的な存在であることを、身の回りのレヴェルでは或る程度理解してはいるものの、世の中の大きなレヴェルの話になるとすっぱり忘れてしまう。まぁそれでも大抵は生きては行けるのだが、特に巨大な利権が絡んでいる時には用心が必要になる。「科学的知見」は天から降って来る訳ではない、神でも天使でもない人間(科学の訓練を受けた者とは限らない)の日々の営みが作り出しているものなのだ。
Science Shock: U.K. Met Office is “Inventing” Temperature Data from 100 Non-Existent Stations
存在しない観測点からデータが
英気象庁が100以上の存在しない気象観測点から気温データを捏造していたこと示す衝撃的な証拠が明らかになった。
この告発を行ったのは市民ジャーナリストのレイ・サンダース氏で、彼は新しい労働科学大臣ピーター・カイル議員に公開書簡を送った。
気象庁への多数の情報公開請求と個々の観測点を訪問する熱心な現地調査の結果、サンダースは平均気温データを提供している302の観測点の内103が存在していないことを突き止めた。
そもそも観測点が存在していない場所から何十年もデータが送られて来たことになっているケースも有るし、既に閉鎖されている観測点から、推定に基付いた数値が閉鎖後も集計され続けているケースも有った。
彼は「他の機関や研究者達が信頼性の低いデータを使用して誤った結論に達することを避ける為に」、既存の公表データが不正確である可能性が有ることについて「オープンに宣言」するよう求めている。
彼はまたこれらの存在しない103の観測点について、「データ」と称するものが正確に何処でどの様にして持って来られたのかについて、気象庁が「私に通知することを拒んだ」と指摘している。
英国だけではない
存在しない観測点からの気温データを「捏造する」慣行は米国でも物議を醸しており、米海洋大気庁はデータの30%以上を捏造したとして告発されている。存在しない観測点からのデータが追加されたと云うことは、海洋大気庁の報告書が現実を反映していないことを意味しており、「若しこの種のプロセスが法廷で使用された場合、証拠は汚染されているとして廃棄されるでしょう」と、気象学者のアンソニー・ワッツは言う。
英気象庁はサンダース氏に対しては明かさないだけで、気温データの収集方法について本当は合理的な科学的理由を持っている可能性は有る。だがデータが政治的目的の為に利用されているのではないかと云う疑念も拭えない。気候警鐘家達が恐怖を煽る為に引用しているのは、英気象庁や米海洋大気庁が集計したとされているデータなのだ。
データの殆どが不正確
サンダースはまた、WMO(世界気象機関)の分類を巡る別の問題も指摘している。10の観測点の内8近くが、ジャンク・クラス4と5に分類されているが、これはそれぞれ2℃と5℃の「不正確性」が有ることを意味する。つまり英国のデータは国際基準を満たしてない。
気象庁の観測点の内、クラス1・2(誤差の範囲は明記されていない)に分類されるのは僅か52(全体の13.7%)に過ぎない。更にサンダースが現地確認中に破損の可能性を指摘し、クラス1からクラス4に格下げされた事例も有る。
気象庁の言い分では、観測点の「デフォルトの分類」は、「手動で調整されない限り」はクラス1に設定されているのだそうだ。
サンダースはまた観測点が設置される立地の多くが劣悪である問題も指摘している。家庭菜園、植物園、駐車場、空港、下水処理場、水処理場、変電所、太陽光発電施設、等々の内外周辺は人為的な要因により温度が上昇している為、自然に発生する気温を観測する場所としては不適切だ。
また自動化が進められていた初期には、必要とされる信頼性の高い電力供給とデータ通信を欠いていた田舎の観測点の多くが閉鎖されたが、その結果、涼しい記録地点が除外され、大部分がより温かい都市化した地点へとデータが偏ることになった。
「統計上のトリックが(それがどれ程不注意の結果であったとしても)不正確な歴史的虚偽表示を生み出した」とサンダースは述べている。
当局はノーコメント
サンダースはピーター・カイル議員に宛てた公開書簡の中で、気象庁がデータを「明らかに捏造している」ことをハード・エビデンスによって証明したと述べている。また英気象庁のデータは科学的完全性の高い基準を満たしておらず、劣悪な立地や不適切な維持管理の所為で、信頼性の高い正確なデータが得られていない、とも。
担当大臣であるカイル議員はこの声明にまだ回答していない。度重なる要請にも関わらず、気象庁は今日に至るまで如何なるコメントも拒否しており、自らの気温測定と計算方法について弁明しようとはしていない。
政府、議会、気象庁の沈黙は、主流メディアこの件にが全く関心を持っていないことに助けられているが、「実質ゼロ」を推進する利害が、基礎となる科学データに関する懸念を上書きしているとしか考えられない。
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