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百歳に一年足らずの九十九歳で祖母が亡くなった。おばあちゃん子だった綾子は報せを聞いて泣き崩れた。浮気した夫と別れ独り暮らしをはじめて間もないころで、夫の言い訳を聞くあいだには少しも涙が零れなかったのに、祖母の死には身体中の水分が出尽くしてしまうかのように泣けて仕方なかった。 綾子の別居に母親の純代は当然いい顔をしなかった。いちどの浮気くらい我慢できないのと口にした。おばあちゃんが生きてたらなんて...全文を読む
何もかも書き残すことを善しとしないクライアントが自分だけのために書きつづった手紙を読んでからしばらくたつ。彼女がさよならの次にその唇にのぼらせた言葉は無音の二文字だった。Mの音で必ず唇が触れあう。それを見せつけるように微笑んだ。少なくとも、わたしの目には幽かにわらったようにうつった。じっさい彼女の性格からしてそうだっただろう。「保存」について、わたしが責任を負わされないように配慮していったのだと...全文を読む
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