日付別の更新チェックは、 下の更新カレンダーからどうぞ ▼ |
さわりを読む▼をクリックすると 更新されたページの冒頭部分が ご覧になれますので 久しぶりのご訪問の方は こちらで未読・既読のご確認ができます |
熱いシャワーを浴びて横になると雨音がひどく耳についた。その逆に、先ほどまで振動し続けた携帯電話はようやく静かになっていた。電源を切ろうにも、深夜に依頼が来ることが多いためそれも出来ない。じっさい帰り道にメールが来た。むろん、快諾した。明日の夜は仕事になった。 わたしの日々は続いている。たかだかひとりの人間と気まずい関係になったとてこの暮らしは変わらないのだし、変えてはならない。わたしは夢をあがな...全文を読む
十六歳で師匠の愛人と寝た。いま思えば体のいい厄介払いに使われたのだ。わたしにあてがわれたのはある旅館の娘さんで、ひとまわり年上の小柄で綺麗なひとだった。何かしら勘付いた両親はむろんいい顔をしなかった。わたしはわたしで、夢使いを理解しない親との溝の深まりを意識した。 そのころから、委員長のことは知っていた。あの学校で、もしくはあの地域で、彼女を知らないものはいなかった。それを彼女は喜んでいないふう...全文を読む
ほとんど蹴倒すような勢いで彼を押しのけた。でなければ、掴まれた腕をひきはがすことなどできなかったに違いない。「おれが、気持ち悪いですか」 背中にかかる問いには首をふった。そんなことは思っていない。だが、「そうじゃない。そうじゃないが、すまない。今は、なにも考えられない」 死人には勝てやしない。 まして相手が夢使いであればなおのこと。 彼は自身を被害者だと思っていない。じっさいのところはわからない...全文を読む
「あれを恋愛とはとうてい呼べませんでした。一方的なものでしたから。しかも徹底して隠された、文字通り隠微な関係でしかなかった。それに、あのひとはおれを好きだといちども言わなかった。亡くなったのも、ある意味じゃおれが追い込んだようなものです。病死でしたが、無理やり医者に連れて行けば助かったかもしれない。あのひとはたしかに世間で云うところの性的にふしだらなタイプのひとでした。誰彼問わず寝ていた。おれ以外...全文を読む
その指にかるく歯を立てると肩が揺れ、堪えきれぬようすで声が漏れた。悪くなかった。あわてて口を覆った仕種も。反応を窺われるさまが羞恥にかわり、頬や目許を鮮やかに染めていく血の逸りも。それらがこちらをも追い立てる。 ところが、わたしの顔を見つめようとするのは応答のためではなさそうだった。わたしは、彼がなにか言おうと口を開きかけるたびに柔く、または強く指を舌で絡めた。逡巡があるのを見て取りながら、わた...全文を読む
最新コメント