実は,筆者の会社では外向けサーバーにRed Hat Linux 7.3を使用している。Red HatによるRed Hat Linuxへのパッチ提供はすでに終了している。筆者の場合は,カーネルや使用しているソフトウェアをパッケージではなくソースコードからビルドしているため何とかなっているのだが,今もRed Hat Linuxを使い続けているユーザーはかなり多いのではないだろうか。
決め手がないRed Hat Linuxからの移行先
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安定性を重視して枯れたモジュールを使用しているRed Hat Enterprise Linuxは有償であり,あまりコストをかけられない用途には採用しにくい。有償のソフトウエアは実際に使用しているユーザーからの情報が得にくい傾向もある。
全く別のディストリビューションに移行するという手もあるが,これまでのノウハウが使えない場面もあるかもしれないと考えると躊躇してしまう。
Red Hat Enterprise Linuxをベースに,独自部分を除去
そこで今回評価することにしたのが,White Box Enterprise Linux(WBEL)というディストリビューションである(写真1[拡大表示])。White Box Enterprise Linuxは,公開されているRed Hat Enterprise LinuxのSource RPMをベースに,Red Hat独自の知的財産権に触れるような部分を取り除いたディストリビューションだ。
当然無保証,ノン・サポートだ。しかし,安定性を重視したRed Hat Enterprise Linuxと同じモジュールを使用しており,有償のRed Hat Enterprise Linuxではコスト面で採用しにくいシステムの選択肢になりそうだ。また,Red Hat Linuxで培った技術的なノウハウもある程度はそのまま流用できそうだ。
筆者の会社の外向けサーバーもちょうどリプレースを検討し始めたところだ。そこで以下,Red Hat Linuxからの移行,または新規構築を想定しながら,評価を行った。
Red Hat系に慣れていればインストールは容易
まずインストールだが,ISOイメージは理研のFTPサイトなどからダウンロードすることができる。インストーラーにAnacondaを使用していることもあって,Red Hat系のディストリビューションに慣れているならばすんなりとインストールできる。Red Hat LinuxやFedora Coreがデスクトップ指向ではなくサーバー指向ならこんな感じなのだろうなという雰囲気。インストールする際に,様々なオープンソース・ソフトウエアのロゴなどが表示されるのが見ていて楽しい(写真2[拡大表示])。
インストールされるカーネルは2.4系。アップデートを行うと,1月18日現在では2.4.21-27.0.1というバージョンになっている。カーネル2.6はまだまだかなと思っているので,このあたりの選択はちょうどよいと感じる。
しかし,筆者のパソコンのオンボードのギガビット・イーサネット(sk98linドライバーで動作)はカーネル2.4ではデフォルト・サポートではない。ベンダーが提供するドライバーは動作確認できたのだが,現在動作中のカーネルに合わせてドライバーをインストールするので,運用時に一瞬の空白が生じてしまう。カーネル2.6ならば動作するのは分かっているだけに,最近のハードウエアを使用する場合にはどちらがより好ましいかは判断が難しいところだ。今回はとりあえずPCIスロットに3Com製100BASE-TXのネットワーク・カードを差して対応することにして,将来に期待である。
一方,GUIは筆者の環境(インテルの統合チップ865Gを使用)で問題なく動作した。GUIの設定ツールも動作し,コマンドラインから修正する設定ファイルなども当然Red Hatのままなので,Gentoo Linuxなどと比べると迷う必要がないのが嬉しいところだ。
フルインストールを行った環境でインストールされているサービスをざっと眺めてみると,さすがに様々なものがインストールされている。目立つところではSpamAssassinなどもインストールされていて興味を引く。いずれにしろ,サービスの数がかなり多いのは最近のディストリビューションに共通するところなのだろうか。インストール時点で必要最低限のパッケージを選択しておくのが正解だろう。
そして最近のディストリビューションで一番注目されるのは,パッケージのアップデート機能だろう。