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謎のメタラー「メタリスト」の華麗なるメタルライフを 彩るアルバム達と彼によるレビュー
 
はじめに
このブログは、主に80~90年代のHR/HMのアルバムのレビューや 一曲単位でのレビュー、
そしてたまにHR/HMに関するコラムもどき等を書いています。

アルバムレビューは私の稚拙な文と100点満点形式の・・・ まあ、ぶっちゃけBURRN!誌のパクリです。
とは言え、まんまパクるのもつまらんので
「METALIST'S FAVORITE TUNE」というのを設けまして、 アルバム中の好きな曲なども挙げています。

私のレビューを参考にして アルバムを購入されることがあれば、 それはとても光栄なことですが
その際は全て自己責任でお願いします。
「つまらない、金返せ」とか言われると、結構 傷つきますのでご勘弁を・・・。

私は良いと思ったアルバムも つまらないと思ったアルバムも載せていきますので、
もし貴方が気に入ってるアルバムの点数が低かったりして、評価に納得のいかない方!
・・・その時は 私と好みが違うのだと思って諦めて下さいね。

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ポエッツ・アンド・マッドメンポエッツ・アンド・マッドメン
(2001/04/05)
サヴァタージ

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'01年にリリースされた11th。

前作までメインVoを務めていたザッカリー・スティーブンスが辞めて、
Guのアル・ピトレリがMEGADETH加入のために脱退し、
ジョン・オリヴァが初期の頃のようにメインVoを務めることになった。
それに伴い、心なしか作品の音楽性もちょっと初期のダークさを
復活させたように感じる作品だ。①④⑤⑩などを聴いていると
ジョンのVoのせいもあるだろうが、特にそう感じた。
勿論、例によってポール・オニールが
プロデューサーとして関わっているため
コンセプチュアルなアルバム製作をしているようだし
ドラマティックな曲展開が無くなった訳ではない。

③などで聴ける重厚に重ねられたヴォーカル・ハーモニーは
彼らにとっては毎度の手法とは言え、
否が応にも気分は盛り上がる。
そういう「お約束」的な演出と、初期のパワーメタル調の曲展開が
上手く融合されていて、前作までとは明らかに違う作り方をしており
そこは評価できる。
ただ、問題は曲のメロディの質だ。
これくらいの出来では彼らのアルバムとしては割と普通なのだ。
前作が素晴らしかったから、私が贅沢になっているのかもしれないが
ちょっと期待したほどでは無かった。

⑤は曲調が初期っぽくて、クリス・キャファリーのGuプレイも素晴らしいのだが
こういう曲を故クリス・オリヴァが弾いていたら
特にカッコ良かったろうなぁ・・・と思う。

⑥はこのアルバムの核となる曲であり、キラーチューンと言える一曲だ。
10分と長いが、彼らのお家芸であるカウンター・コーラスも
効果的に使われており、正にメタルオペラといった趣きだ。
クリスのGuプレイはこの曲が一番良いし、私ならばSAVATAGEの全曲を
良い順番で並べたとして、この曲はベスト5に入れるであろう、素晴らしい曲。

⑦⑧はう~む・・・クリスが頑張ったGuソロ以外は
悪くないけど良くも無いとしか言えない(笑)。
私が英語に堪能で歌詞が聴いている端から、頭に入ってきたら
印象は変わるかもしれないね。

まあ、何だかんだ言ってもこれくらいのアルバムを
作ってくれるのであれば、私は大歓迎だ。
それよりも切に願っていることは
私は彼らにSAVATAGEとしての活動をしてもらいたいし
多少微妙な出来であっても、アルバムを作ってもらいたい!
TRANS-SIBERIAN ORCHESTRAが儲かるなら、
プロミュージシャンとしてそちらに力を入れても
構わないから、せめて5年に一度くらいはSAVATAGEとして
何かをやってもらいたいものだ・・・。
もう、このアルバムがリリースされて
そろそろ10年が経とうとする今、私はマジに解散を心配しています。
彼らの後継者っぽいバンドもいないし・・・
本当に貴重なバンドなんだけどなぁ・・・。


~METALIST'S FAVORITE TUNE~
②There in the silence
③Commissar
⑤Drive
⑥Morphine child
⑨Surrender
⑪Back to a reason



総評・・・85点

Edge of ThornsEdge of Thorns
(1993/04/06)
Savatage

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'93年にリリースされた7th。

前作"STREETS:A ROCK OPERA"をリリースした後、Voの
ジョン・オリヴァが「もうツアーに出たくない」という理由で
脱退し、後任にザッカリー・スティーブンスが初めて参加した作品。
(ジョン・オリヴァは、当時のバンドのクレジットには載っていないが
作曲、キーボードを担当することで一応籍を置いてはいたらしい・・)

ザック(ザッカリーのこと)の声質はジョンほどはクセが無く、
なかなか味のある声をしており、初めてSAVATAGEを聴く人にとっては
ザックの方が気に入るかもしれない。
前作と大きく違った点は無いが、ピアノがかなり目立っており
この特徴は以降の作品にも引き継がれることになる。

①は、これが入っているから、このアルバムはSAVATAGEファンに人気が高いと
言えるくらいの名曲。
重厚でドラマティックなミドルテンポの曲だが、
クリス・オリヴァのGuソロには圧倒されるばかりだ。
②は後半でザックのヒステリックなハイトーンが聴ける。
ちなみにその部分はライブでやっていなかったようだが、
あまりにキーが高すぎるから難しいんだろうなぁ。
ちょっと残念。

⑥は地味な曲なのだが、プログレッシブロックのような
凝った展開の曲であり、メロディもしっとりしたバラード調。
①ほどの即効性は無いが・・・
私にとっては飛ばして聴けない曲なのは間違いない。

⑩は前作の収録曲に似た曲がある気がしないでもないが(笑)
ポジティブなメロディを持ついいバラードだ。
同様に幻想的なGuイントロから、明るめのメロディに
なる⑫もよく聴いた。物凄く盛り上がるとか
そういう曲では無いんだけどね。

捨て曲無し、というアルバムでは無いが
コンセプトアルバムでも無いし、クリス・オリヴァがまだプレイしているし
ジョンよりも声にクセの無いザックが歌っているし
①は入っているし、で
SAVATAGE入門編にはいいかもしれない・・・が
今のメロパワ好きなメタルファンには地味に感じるところは
あるかもしれない。


~METALIST'S FAVORITE TUNE~
①Edge of thorns
②He carves his stone
③lights out
⑥Follow me
⑦Exit music
⑧Degrees of sanity
⑩All that I bleed
⑫Miles away



総評・・・86点

The Wake of MagellanThe Wake of Magellan
(1998/04/07)
Savatage

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'97年にリリースされた10th。

ザッカリー・スティーブンスが参加している最後のアルバム。
本作品はエクトール・デル・フエゴ・マゼランという
年老いた船乗りが主人公である、コンセプトアルバム。
1527年に地球を一周したマゼランの子孫だと自称する彼は、
家庭を持たず、親しかった者は皆死んでしまい
自らが置かれている孤独な状況を儚み
どうせ死ぬのならば、自分の所持する船に乗って
海に抱かれて死ぬことを望んでいた。
そんな彼は周りで不条理な死を遂げたり、今正に死に
直面しようとする人間を目の当たりにし
自らの生き方を再び探し出す、という
フィクションの話とノンフィクションの話を
絡めたのが本作品のストーリーの核となっている。

スピード、テクニック、不自然に大袈裟な演出に頼らずに
曲とリフだけでドラマティックなストーリーを作り上げるということは
並大抵の事ではない訳だが、
彼らがいつもやっていることはそういうことで、
本作品でもそれは変わらない。
狙ってやっているドラマティックな演出と言えば
決め所でカウンターコーラスのパートを設けたりするくらいで
あとは、新しい手としてジョン・オリヴァの下手なラップ(苦笑)が⑦で聴ける
くらいのもの。
(これは必ずしも成功しているとは言えないが・・・)
しかしながら、近年の彼らの作品の中でも完成度はかなり高い。

静かなプレリュード的な①の後、ロックオペラの幕開けを象徴するかの
ような派手なオープニングナンバー、②が聴き手の気分を高揚させる。
不穏なメロディから始まる③では後半は、マイナーキーだったものが
メジャーキーへと変わりアル・ピトレリのGuソロで終わる。
続く④は重厚なリフと穏やかな海を感じさせるアコースティックギターの
音色とが交互に曲を構成する。
・・・ここまで聴いてみて、自分に対して思ったのは
「4曲目までは突出したキラーチューンが無いのだが、
それでも飛ばして聴こうと思わなかったのは何故か?」ということ。
コンセプトアルバムだから、と言えばそれまでなのだが
アルバムの構成が本当にオペラのように起承転結と
なっており、①~④くらいまでが
数章に分かれる、このアルバムの第一章というひとまとまりのように
思えたからだと思う。
まあ①は飛ばしてもいい気はするが、②③④は続けて聴かないと
私としてはしっくり来ない。

⑤はジョン・オリヴァがVoを取る、へヴィかつドラマティックな
ミドルテンポの曲。
というか、本作品にスピードナンバーは無い。無くても全然いいと思うけどね。
ギターで奏でる交響曲といってもオーバーではない
後半部のギターのハモリのパートを是非じっくりと聴いてもらいたい。
⑥は麻薬、というテーマの重さを感じさせるへヴィな曲。
⑦もジョン・オリヴァが歌う曲だが、彼の「悪役声」がハマる。

インストゥルメンタルの⑨の後、タイトルトラックでもある
⑩が始まる訳だが、カウンターコーラスのパートは
来ると分かっていてもやはり盛り上がるね。
こういうのはSAVATAGE節と言ってもいいくらいの常套句。
マンネリでもこういうのは期待するんだよね。
・・・やり過ぎると事だけど(笑)。
⑪はジョン・オリヴァのピアノから始まる重厚な曲だが
ザッカリーの優しい声がそこに乗ることで
解放感を感じる。特に後半は。

物悲しい⑫が終わるとラストの⑬。
自らの人生を儚み、ただ海で無為に死ぬことを望んでいただけの
年老いた船乗りは、密航の罪で海原へ投げ出された若い命を
救うために神に祈る・・・という一番盛り上がる部分だ。
ここでもカウンターコーラスが効果的に使われており、
物語を効果的に締めることに成功している。

考えてみれば、"STREETS"には"Believe"といった
キラーチューンがある事も手伝い名盤扱いを受けているが
このアルバムにはそこまでのインパクトのある曲は
無いかもしれない。
テクニック的にも地味だし、曲展開もそんなに凝っていない。
Voの重ね方とリフにこだわりを持って聴かせるタイプのアルバム
なので今のメタルを好む方に本作品がどれくらいアピールするかは
分からないが、これは名盤ですよ。

悪いけれどもその辺の雰囲気ものシンフォニックメタルバンドなんて
足元にも及ばないクオリティだ。
足りないのはクリス・オリヴァくらいインパクトのある
ギターフレーズくらいで・・・
ピロピロとした軽い速弾きを売りにするバンドの表面的な
メロディよりもこちらを聴いて感動して欲しいね。


~METALIST'S FAVORITE TUNE~
全13曲ありますが、これは全部ひっくるめて一曲なのです。
だから全部。


総評・・・92点

蛇足だが、なぜこのアルバムだけロゴを変えたのだろうか?
デビュー当時から使っているロゴはこのアルバムジャケットにも
合わないことは無いと思うのだが。
Streets: A Rock OperaStreets: A Rock Opera
(1991/10/15)
Savatage

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'91年にリリースされた6th。

SAVATAGEの初期のサウンドと、ザッカリー加入以降の
路線とちょうど中間くらいのサウンドを本作品では
やっており、ファンの間でも「最高傑作」との評価もある
一枚だ。
SAVATAGEが本格的にドラマティックなHMを志すようになった
キーマンであるプロデューサー、ポール・オニール。
今では彼は、SAVATAGEのメンバーも同然だが
SAVATAGEの音楽に社会的なメッセージを込めることを
アイディアに入れて、それに合ったアルバムの展開を
作らせることにした
彼に私はまず感謝したい。
正直なところ、初期の作品だけでは多分私はSAVATAGEを
好きになれなかっただろうから。
(まあ、今聴くと初期は初期で良さがあるんだけどね)

前置きが長くなったが、本作品ではドラッグのディーラーが
NYでロックスターになり、成功そして挫折を味わい
希望を見出すというストーリーを基にしてつくられた
コンセプトアルバム。

①はモロに初期の路線の楽曲であり、おどろおどろしい
BLACK SABBATHのようなリフ。
こういう曲からアルバムが始まるため、正直なところ
私も最初に本作品を聴いた時には不安を隠しきれなかったのを
よく覚えているが、これは歌詞を読み展開を考えると
一曲目がこういう曲調なのは必然だと思う。
②も①と少々似ているが、主人公DT.ジーザスの悪辣な日常を
現しているため、おどろおどろしいと言うよりはワイルド。
近年の彼らのライブでもよく演奏される人気曲だ。

③は最近のSAVATAGEのみが好き、という人でも十分
受け容れられるドラマティックな楽曲。
ピアノをフィーチュアした"Tonight he grins again"
と故クリス・オリヴァのタッピングを駆使したソロが見事な
"Strange reality"の二部になっている。

④はピアノ以外はジョン・オリヴァのVoのみ、という
シンプルなバラード。
ジョンは決して器用なVoでは無いが、だからこそ心を打たれる
こともある。

⑤の後半のハードなシャッフルナンバー"Sammy and Tex"は
これまでへヴィなリフや、ピアノを主体としたゆったりとしたHMが
多い中、軽快なリズムでいいアクセントになっていて良い。
⑥はメロディはそこそこだが、ちょっとクリスのギターソロが
タッピングを控え目に使っていて珍しい。
(いつもは結構バリバリにタッピングを交えたソロをする人なので)

⑨は歌詞が象徴するように、前半の楽曲のようなへヴィさが目立つ。

⑪の前半"Agony and ecstasy"ではリフ重視のパワーメタル調の楽曲
なのだが、ギターソロのみならず曲全体から漲る緊張感が凄い。
後半の"Heal my soul"は前半とは打って変わって
ピアノ主体の和めるバラード。地味にクワイアも入れており
感動のラストへの序曲とも取れる。

⑫。
ここまで通して聴くと、一時間ちょっとかかる。
一時間と言えば結構長く、
凡百のアルバムを聴いていたのでは飽きが来るところだが、
この局面でそれまで以上の感動の波が襲ってくる
楽曲を持ってこれるというのだから凄い。
"Somewhere in time"そして"Believe"を
聴き終わる頃には
このアルバムのタイトル通り、一つのロックオペラが
そこにあることを実感できるだろうし
なぜ、私がSAVATAGEをここまで贔屓しているのかが
分かってもらえると思う。

スピードナンバーなどは特に無いけどね。
ドラマティックなHM、正統派HMが好きな人はとりあえず
聴いた方がいいかと。
そのどちらが好きな方でも満足できる完成度だと思うから。


~METALIST'S FAVORITE TUNE~
②Jesus saves
③Tonight he grins again/Strange reality
④Little too far
⑤You're alive/Sammy and Tex
⑥St.Patrick's
⑨Ghost in the ruins
⑩If I go away
⑪Agony and ecstasy/heal my soul
⑫Somewhere in time/Believe



総評・・・91点

SirensSirens
(1994/11/22)
Savatage

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'83年にリリースされた1st。

METALLICAのラーズ・ウルリッヒをして
「本物のメタルバンド」と言わしめた、SAVATAGEのデビュー作がこれ。
初期の彼らはどうもスラッシュメタルとかパワーメタルの
バンドと思われていたようで、その筋では
この時点で既に高く評価されていた。

パワーメタル云々はともかく
スラッシュメタルというのは、「?」という感じがするなぁ・・・と
前々から思っていたが
③の後半や④を聴くと
確かにスラッシュメタルと言えなくも無いかな。
2nd以降は全く同意しかねるけど。

この作品ではGuがクリス・オリヴァ一人なのだが、
①のようなおどろおどろしいミドルテンポの曲から
③④のようなスラッシーなスピードナンバーまで、流麗で
メロディックなオカズ、ソロを存在感たっぷりに聴かせてくれる。
③の冒頭とか聴くとウットリする・・・。

1stや2ndのように、曲調がダークで、ドラマティックな側面を
あまり見せない楽曲の多いアルバムだからこそ
その存在感は強く、
はっきり言ってしまえばこのギターが無ければ
だいぶ評価は落ちるだろう。
だから、今なおクリス在籍時のSAVATAGEしか認めない
と言う人もいるくらいだ。

このアルバムでは②③(の冒頭あたり)のように、メロディアスな曲も
あるにはあるが、
一番脂の乗った時期の彼らとは、その魅力が違う
ところにある。
共通しているのはクリスのギターであるが、
半分スラッシュ・パワーメタルを聴くつもりで聴かないと
メロディのみを期待すると、物足りないだろう。
⑦とかはソロ以外のパートはSAVATAGEひいきの私でさえ
正直退屈に感じたし。

まあ、全体的にダーティでアンダーグラウンドな
雰囲気のある楽曲が多いが
唯一⑨だけはホッとするような暖かいメロディが
聴ける、いいバラードで
やっぱりクリスのギターはこういう曲で実力を
発揮している気がする。

「SAVATAGEは4thくらいからで十分」な~んて
考えている人は、この1stも是非聴いて欲しい。
音質はちょっぴり悪いけれども
本当にパワーメタルとしては良くできている作品なので、
普通に気に入る方も多いと思う。


~METALIST'S FAVORITE TUNE~
①Sirens
②Holocaust
③I believe
④Rage
⑧Scream murder
⑨Out on the streets


※ボーナストラックに関しましては、評価の対象と
していません。
US盤の⑩⑪はお気に入りの曲なんですけどね。


総評・・・81点