昨年末に会社を辞め、今年新たに自分で事業を興そうとしている方の話を聞いた。

長引く不況で労働条件が年々悪化している企業も多く、夢を実現するというよりは、生きるための起業という選択肢が増えてきたように思う。特に地方は、生活と密接に関わる生きるための起業が非常に多い。

たいした話も出来なかったけれど、自分の経験をもとに起業するのであれば3つのモノを準備してから臨むのがいい、というような話をした。

  1. 1年間生きて行くことが出来るだけのお金
  2. 事業を企画し、推進する力
  3. 自分を助けてくれる周囲の人々

勢いで起業するよりは、この3つの条件を我慢してでも満たしたほうがその後の生き延びる率は高まるに違いない。

取引先から信頼を得、事業が軌道に乗るまでには時間がかかるものだから、1年間生きることが出来るお金はどうしても必要になってくる。

今であれば国や自治体がやっきになって創業支援に乗り出しているから、数百万単位の融資であれば、比較的簡単に金融機関から受けることも可能だ。ただそれらはいつか返済しなければいけないお金だから、自分で用意できるならお金は自分で用意した方がいい。

ちなみに僕のオススメとしては、生活コストを下げることだ。絶対にこれはやっておくべきだ。
家賃や保険、食費。減らせる余地があるのであれば減らせるだけ減らす。そのほうが、長く勝負できるし、その分成功の可能性も高まる。


事業を企画し、推進する力も必要だ。簡単なものでもいいから事業計画は立てれるようになっておいたほうがいい。そのほうが間違った方向に突っ走る可能性を減らすことが出来る。事業を企画し、推進した経験がこれまであればいいけれど、無いのであればビジネスプランコンテスト的なもの、あるいはスクールに通うといった方法で力を磨く必要はあるだろう。

そういう環境が近くになければ知り合いの信頼できる起業家にメンターになってもらって指導を受けるのがいい。信頼できる起業家の心を動かすだけの情熱と真摯さは必要になるけれど。


最後が自分を助けてくれる周囲の人々の存在で、実のところ、取引先も新しい商売のネタも、信頼できるパートナーも、この周囲の人々との繋がりによって得られる場合が大半だ。(特に、あなたが卓越した技術や知恵を持たないフツーの人であるならば。)

ただし、自分が得られる周囲の助けは、自分が応えてきた周囲の期待や信頼の数に比例する。実のところ、期待や信頼に応え続けてきたという人は多くないだろうから、起業すると決めたその日から意識して実績を積み上げていくほかないだろう。

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起業して大成功しようと思えば、この3つの条件以外にも様々なものが必要だ。
しかし、この3つの条件を揃えて起業するだけで、リスクはかなり減らせるはずだ。

かつて貧しい時代の日本がそうであったように、起業とは大層な「夢」ではなくて、生きて行くための「手段」のひとつになっている。

きっとそれでいいんだろう。