さて、しつこくて恐縮ですが、マーケティング能力を磨く方法に関して少し書いてみたいと思います。
昨日のエントリで書いたように僕自身はこれからはマーケティング能力を磨くことがどの企業でも大切になると考えているのですが、理系であれ文系であれ、マーケティングについて学ぶ機会が極めて少ない(あるいは遅い)のではないか、という危機感を持っています。
人事部の方と話していても、まずは営業なり技術なりといった一部の能力を伸ばしてそれから周辺領域の力を伸ばしていきなさい。という育成方針をとっている会社が多いように感じます。
専門領域を伸ばすのは大切なことですが、僕は企業のマーケティング方針を理解した方が、技術も磨きやすいし、営業能力も磨きやすいと思っています。もし、会社が教えてくれないのであれば、自学自習できればいい。そんな風に思っています。
と、言うわけで僕なりにできることからやってみよう。ということで、昨日の図を用いながら説明していきたいと思います。全て僕の経験に基づいた自己流のマーケティング力の磨き方ですので、役に立つところだけ利用し、役に立たないと感じるところは、「fukuiってバカだな~」と読み流して頂ければ幸いです。
※何冊かの本を紹介していますが、決してベストなセレクションではないと思います。僕が実際に商品開発・プロモーションに用い、役立った書籍のみを挙げています。今では古い本もあると思いますがご容赦ください。
昨日のエントリで書いたように僕自身はこれからはマーケティング能力を磨くことがどの企業でも大切になると考えているのですが、理系であれ文系であれ、マーケティングについて学ぶ機会が極めて少ない(あるいは遅い)のではないか、という危機感を持っています。
人事部の方と話していても、まずは営業なり技術なりといった一部の能力を伸ばしてそれから周辺領域の力を伸ばしていきなさい。という育成方針をとっている会社が多いように感じます。
専門領域を伸ばすのは大切なことですが、僕は企業のマーケティング方針を理解した方が、技術も磨きやすいし、営業能力も磨きやすいと思っています。もし、会社が教えてくれないのであれば、自学自習できればいい。そんな風に思っています。
と、言うわけで僕なりにできることからやってみよう。ということで、昨日の図を用いながら説明していきたいと思います。全て僕の経験に基づいた自己流のマーケティング力の磨き方ですので、役に立つところだけ利用し、役に立たないと感じるところは、「fukuiってバカだな~」と読み流して頂ければ幸いです。
※何冊かの本を紹介していますが、決してベストなセレクションではないと思います。僕が実際に商品開発・プロモーションに用い、役立った書籍のみを挙げています。今では古い本もあると思いますがご容赦ください。
■まず、最初に全体像をつかむ
最初に伝えたいことをひとつ挙げるとすれば、マーケティングというものに関して実践経験がなければ、とりあえず右のチャートの流れに従って、順にひとつずつ検討し、企画書を作ってみるといいんじゃないかな。ということです。特にまだ学生の方や、新社会人の方にはそのやり方で全体像をつかむことをおすすめします。
マーケティングの流れは非常によく出来ていて、上位の概念をしっかり抑えれば下位の概念に関してはある程度自動的に方針が出てくるような流れになっています。
もちろん、この流れに従って企画書をつくると、頭でっかち呼ばわりされるかもしれません。最初は誰しもそういう体験をすると思います。(僕はハウスメーカーの仕事をしたときに自信満々に分厚い企画書を送って、「こんな資料誰も見んわ!このバカ」と罵倒されましたw今となってはいい思い出です。)
ただ、人に伝える際はそれ専用に加工すればいいのであって、自分で作る場合はとにかく流れに忠実につくるのが効率的だし、議論を外すこともないと思います。もし信頼できる先輩や上司がいるのであれば、ステップを進めるごとにチェックをもらえばいいと思いますし。
あと、全体をざっくり理解するのに役立ちそうな本は、グロービスのMBA マーケティングですね。あまりに教科書的で読んでいて面白くないので、僕は通読していませんが、事例を拾い読みしたり、リファレンス的に使ったりしています。ただ、マーケティングの全体はよく抑えているので、参考書替わりに一冊手元に置いておくのに悪くない本だとは思います。
(参考書籍)
改訂3版 グロービスMBAマーケティング
著者:グロービス経営大学院
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2009-08-28
おすすめ度:
クチコミを見る
■環境分析
外部環境分析・内部環境分析に関しては、僕が書いた下記のエントリをご覧頂けれると大変嬉しく思います。
参考:とっても簡単な事業企画のたて方
業界や市場の情報(外部環境)を徹底的に調べることで、その業界なりその市場で成功するための(受け入れられるための)一般解を導き出します。これをマーケティング用語でいうと、Key Buying Factor(KBF)といったりします。
コンサルタントは初めての業界の仕事に取り組むときにその業界に関する本を100冊読む。とか、僕が学生の頃に盛んに言われました。まぁ、それは今ではウソだとわかっているわけですがw、仕事に入る前にかなりの本やレポートを読むことは確かで、それはすべて、その業界での一般的な成功要因(マーケティングに限って言うと購買要因)を突き止めるためにしているわけです。
で、外部環境に関して理解し、成功要因(購買要因)を突き止めた後は、自社の強みを活かし、弱みをなくすような自社独自の商品開発の方針を決めます。
この外部環境や内部環境の分析をどれだけ精度高くやるかが重要なわけですが、そのためには事前に仮説をたて、仮説をデータを用いて検証するという作業が必要になってきます。よければ下記のエントリもご覧頂ければ幸いです。
参考:素人の僕が、データ分析に自信を持つようになったある発見
■ターゲット市場の選定、ポジショニング
「戦略の本質は差別化にあり、差別化の本質は突き詰めていえばセグメンテーションにある」
これは波頭亮さんの言葉ですがターゲット市場の選定の重要性を的確に表す言葉だと思います。
伸びているけれど、競合が多い市場ではポジショニングや会社が持つ資源が重要になるでしょうし、会社の特徴を活かして競合が参入しにくい市場を見つけることができればそれは長期に渡って利益をもたらしてくれる市場になります。徹底的な分析によって全く新しい市場(ブルーオーシャン)を見つけ、築くことが出来たら、スピーディーに進出することが出来たら、莫大な利益を挙げることも不可能ではありません。
環境分析をしっかり行うことで、ターゲット市場は自然と特定され、ターゲット市場がしっかり定まれば、そこで競合に対してどのようなポジショニングを築くかはわかりやすくなります。そして、ポジショニングが定まれば、後のマーケティング・ミックスも大体の方針が確定します。マーケティングのプロセスは全てつながっているのです。
(参考書籍)
ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
著者:W・チャン・キム
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2005-06-21
おすすめ度:
クチコミを見る
5年ほど前にブームになった本ですが、差別化によって新市場を創り出せということを説いた本で大変面白く読むことが出来ます。(僕も眠くならず一気に読むことが出来ました。)用意されている事例も面白いものばかりで楽しんで読むことが出来ます。この本が出てからというもの、ブルー・オーシャンはバズワードみたいになって、類似本がたくさん出ましたが、この本が一番いいと思います。
60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法
著者:神田 昌典
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2002-12-07
おすすめ度:
クチコミを見る
神田昌典さんの本は好き嫌いが激しいと思うのですが、中小・ベンチャー企業にとってはこの本は参考になると思います。プロダクトライフサイクルや、外部環境分析の大切さ。差別化、ライフタイムバリューの最大化という要素にしっかり触れられていて、わかりやすさを重視して書かれたんだろうな。ということが伝わってきます。ちなみに神田さん自身はこの本を、「一番真面目に書いた本なのに、一番売れなかった」と言っています。この言葉を見れば、この本を手にとってみてもいいかな。と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、資源のない中小・ベンチャー向けに書かれた本故に、マーケティングの王道からは結構外れたプロセスで戦略立案の流れが書かれているのが個人的には気になります。これ一冊…。という本ではないと思います。
■マーケティング・ミックス
ここまでのプロセスがしっかり検討されていれば、どんなProductにするか、どれぐらいのPriceにするか、どういったPlaceでうるか、どうPromotionするか。もおぼろげながら見えてくることと思います。簡単にマーケティング・ミックスと書きましたが、実はこの分野ひとつひとつに関して何十、何百と本が出ていて、非常に奥が深い分野です。
個人的な経験だけ紹介しようと思うのですが、この一連のプロセスにしっかり取り組んできたら、Productに関してはある程度見えていると思います。あまり迷った経験はありません。Promotionに関してはターゲティングとポジショニングがしっかり出来れば、後はどのチャネルにどれぐらいのコストを投下するかという話になるので、経験、予測と実績、試行と改善が重要になってくるのかな。と思います。こればっかりはある程度やってみないと…。と思います。(実績をたくさん積上げている広告代理店や、大手メーカーの宣伝部などはここらへん蓄積したノウハウにはすごいものがあると思います。)
難しいのはPriceとPlaceです。値決めは戦略という言葉があるぐらい、どのタイミングで、いくらぐらいで、商品を投入するかというのは本当に難しい部分です。戦略コンサルタントもプライシングに関する相談は非常に多いと聞いています。ベストセラーになった、フリーも基本的にはこのPrice/Place/(Promotion)に関する新たな概念であり、提案だと思います。
僕はPlace(流通)に関しては大掛かりな提案、ドラスティックな提案をしたことがないので、イマイチいい本がどこにあるかわかりません。これは誰かに教えて頂きたいところです。
(参考書籍)
コトラーのマーケティング入門
著者:フィリップ コトラー
販売元:ピアソンエデュケーション
発売日:2000-04
おすすめ度:
クチコミを見る
社会人になりたてのころに、気合を入れて読もうと思って買った本です。ただ…、あまりに分厚く高く、読むのに時間がかかったので、積極的にはおすすめしません。ただ、コトラーはマーケティングの父ですし、マーケティング・ミックスはじめ、マーケティングの基本的な概念を確立した人なので、コトラーに関する本は一冊は読むことをおすすめします。事例が豊富(具体的な使い方がわかるため)で、読みやすい本を立ち読みして選んで買われることをおすすめします。
あなたの会社が90日で儲かる!―感情マーケティングでお客をつかむ
著者:神田 昌典
販売元:フォレスト出版
発売日:1999-12
おすすめ度:
クチコミを見る
神田さんのデビュー作で、この本が出た頃は、皆これを読んでいたように思います。どういう中小・ベンチャー企業がどのような広告を書けばいいのか。顧客からダイレクトに反応を得る広告の書き方とはどのようなものか、わかりやすく書いた最初の本だと思います。
ちなみに、神田さん自身はこの本はもう読まないでください。とおっしゃってるそう(考えが古くなったからか、表面的なテクニックにすぎるからかわかりません)ですが、僕自身は参考として読んでもいいと思います。実際にいろいろ参考になりましたし。
ただ、あまりにも売れた本なので、この本の表面的なノウハウを真似てアヤシゲな情報商材を扱う会社が増えたこともまた事実だと思います。それぐらい影響力があった本ということなのですが、今では僕はこの本に書かれていることをそのまま実践している企業や情報商材のページはそれだけで見ないようになっています。エッセンスを理解し、応用すること。それが大事だと思います。中古で購入するのが一番いいと思います。
ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
著者:ジョン・ケープルズ
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2008-09-20
おすすめ度:
クチコミを見る
もうちょっと真面目なダイレクトレスポンスマーケティングの本としてはこれだと思います。ただ、そんなに読みやすい本ではないと思います。上の本を中古で買った後に、もっと真髄が知りたい!という人は立ち読みした後に買うのがいいように思います。コピーライティングってやっぱりマーケティングの一部の要素にすぎませんから。
成果の検証
最後のプロセスがこれになるわけですが、自社(自分)だけの成功方程式を創り上げることが究極のゴールだと思います。当初の見込みに対して、予測した通りの売上を実現出来たのか。どういった広告をどこに、いくらぐらいかけて告知すると、どれぐらいのリターンが得られるのか。そういった商品企画、告知の標準化プロセスがこれです。
参考:「できる」と感じるビジネスパースンが本当にやっていること
こういった予測と実績がしっかりリンクする方程式をつくりあげることが出来た会社は本当に強いと思います。(以前、GREEの広告戦略を見せてもらったことがありますが、どこにどういう広告をだせばどれぐらいの反応があり、どれぐらいの売上増加が見込めるかということがしっかり数値化されていて驚いた覚えがあります。ちなみにそれは、インターンシップか何かの説明会の時でした。その場にいさせてもらった僕は本当にラッキーでした。)
(参考書籍)
インターネットを使って自宅で1億円稼いだ! 超・マーケティング
著者:金森 重樹
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2004-10-08
おすすめ度:
クチコミを見る
この本の情報は今となっては古いので買わなくていいのですが、書かれている情報を分析する姿勢、お金を使って検証していく姿勢にはなかなか学ぶものがありました。いくら広告に投下すればどれぐらいんリターンが得られるか見込めるのは、インターネットビジネスならではと感心した覚えがあります。個人で事業をされる方などは参考になる部分もあると思いますので、本屋で見かけたら立ち読みでもして頂ければと思います。
■最後に… 実践を通じて身につける
いろいろ紹介してきましたが、マーケターとして一人力を磨き続けるためには何より実践することが一番だと思います。ベンチャー企業であれば、実践の機会は比較的早くに与えられると思いますが、大手企業になるとなかなかそうも行きません。
しかし、いざその日がきたときのために、実践して力を磨いておくことは重要です。
実践の方法もいろいろあると思いますが、僕が個人的におすすめするのはスクールに通う、ブログを書くという方法です。スクールは(僕はファイナンスしか通ってないのですが)グロービスの一択でいいと思います。3ヶ月で12万円程度なので、個人的には安かったと思っています。演習もたくさん用意されていますし、基本を抑えるにはいいのではないでしょうか。(単発のセミナーはどうしても、目前のすぐ使えるノウハウに限定されがちなので、それを求めている場合はいいのですが、基本を学ぶ場合にはあまりオススメできません。)
それよりも安上がりな実践の方法がブログです(実際には時間を使うので、時間に余裕のあるひとにだけおすすめします)。外部環境分析(どのようなネタが求められているか、競合はいないか)、内部環境分析(自分はどんなことを書けるか、書きたいか、避ける時間はどれぐらいか)ということを考えつつ、市場を絞り、差別化し、記事(Product)を書くのです。ウェブ上にアクセスを集めるための方法はいくらでも転がっています。ちょっとした検索力さえあれば、タダでそれらのノウハウは手にいれることが出来ます(有料のものは大体お金を吸い取られるだけなので、無視するのが良いと思います。ネット上のノウハウなんてすぐに陳腐化しますし。)
マーケティングの手順に従って、プロセスを踏みながらブログの企画を積み上げていく。予測と検証を繰り返す。これはマーケティングの概念を自分に染み付かせるいい訓練になると思います。
また、書き続けることで一番大切なもの…「ブランドの重要性」を理解することが出来ます。継続と一貫性によって、読者(顧客)からの信頼を得る。これは大変難しいことですが、この体験を一通りすることが出来たら、マーケティングに関してもしっかりした背骨を持って語れるようになるのではないかと思います。
時間があるという方は、是非トライしてみて頂ければと思います。
(僕のエントリなんかは、「人と組織」にテーマを絞りきれていないので、まだまだ改善の余地がありまくりです…)
最初に伝えたいことをひとつ挙げるとすれば、マーケティングというものに関して実践経験がなければ、とりあえず右のチャートの流れに従って、順にひとつずつ検討し、企画書を作ってみるといいんじゃないかな。ということです。特にまだ学生の方や、新社会人の方にはそのやり方で全体像をつかむことをおすすめします。
マーケティングの流れは非常によく出来ていて、上位の概念をしっかり抑えれば下位の概念に関してはある程度自動的に方針が出てくるような流れになっています。
もちろん、この流れに従って企画書をつくると、頭でっかち呼ばわりされるかもしれません。最初は誰しもそういう体験をすると思います。(僕はハウスメーカーの仕事をしたときに自信満々に分厚い企画書を送って、「こんな資料誰も見んわ!このバカ」と罵倒されましたw今となってはいい思い出です。)
ただ、人に伝える際はそれ専用に加工すればいいのであって、自分で作る場合はとにかく流れに忠実につくるのが効率的だし、議論を外すこともないと思います。もし信頼できる先輩や上司がいるのであれば、ステップを進めるごとにチェックをもらえばいいと思いますし。
あと、全体をざっくり理解するのに役立ちそうな本は、グロービスのMBA マーケティングですね。あまりに教科書的で読んでいて面白くないので、僕は通読していませんが、事例を拾い読みしたり、リファレンス的に使ったりしています。ただ、マーケティングの全体はよく抑えているので、参考書替わりに一冊手元に置いておくのに悪くない本だとは思います。
(参考書籍)
改訂3版 グロービスMBAマーケティング
著者:グロービス経営大学院
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2009-08-28
おすすめ度:
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■環境分析
外部環境分析・内部環境分析に関しては、僕が書いた下記のエントリをご覧頂けれると大変嬉しく思います。
参考:とっても簡単な事業企画のたて方
業界や市場の情報(外部環境)を徹底的に調べることで、その業界なりその市場で成功するための(受け入れられるための)一般解を導き出します。これをマーケティング用語でいうと、Key Buying Factor(KBF)といったりします。
コンサルタントは初めての業界の仕事に取り組むときにその業界に関する本を100冊読む。とか、僕が学生の頃に盛んに言われました。まぁ、それは今ではウソだとわかっているわけですがw、仕事に入る前にかなりの本やレポートを読むことは確かで、それはすべて、その業界での一般的な成功要因(マーケティングに限って言うと購買要因)を突き止めるためにしているわけです。
で、外部環境に関して理解し、成功要因(購買要因)を突き止めた後は、自社の強みを活かし、弱みをなくすような自社独自の商品開発の方針を決めます。
この外部環境や内部環境の分析をどれだけ精度高くやるかが重要なわけですが、そのためには事前に仮説をたて、仮説をデータを用いて検証するという作業が必要になってきます。よければ下記のエントリもご覧頂ければ幸いです。
参考:素人の僕が、データ分析に自信を持つようになったある発見
■ターゲット市場の選定、ポジショニング
「戦略の本質は差別化にあり、差別化の本質は突き詰めていえばセグメンテーションにある」
これは波頭亮さんの言葉ですがターゲット市場の選定の重要性を的確に表す言葉だと思います。
- これから伸びる市場
- 競合が参入しにくい市場
- まったく新しい市場
伸びているけれど、競合が多い市場ではポジショニングや会社が持つ資源が重要になるでしょうし、会社の特徴を活かして競合が参入しにくい市場を見つけることができればそれは長期に渡って利益をもたらしてくれる市場になります。徹底的な分析によって全く新しい市場(ブルーオーシャン)を見つけ、築くことが出来たら、スピーディーに進出することが出来たら、莫大な利益を挙げることも不可能ではありません。
環境分析をしっかり行うことで、ターゲット市場は自然と特定され、ターゲット市場がしっかり定まれば、そこで競合に対してどのようなポジショニングを築くかはわかりやすくなります。そして、ポジショニングが定まれば、後のマーケティング・ミックスも大体の方針が確定します。マーケティングのプロセスは全てつながっているのです。
(参考書籍)
ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する (Harvard business school press)
著者:W・チャン・キム
販売元:ランダムハウス講談社
発売日:2005-06-21
おすすめ度:
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5年ほど前にブームになった本ですが、差別化によって新市場を創り出せということを説いた本で大変面白く読むことが出来ます。(僕も眠くならず一気に読むことが出来ました。)用意されている事例も面白いものばかりで楽しんで読むことが出来ます。この本が出てからというもの、ブルー・オーシャンはバズワードみたいになって、類似本がたくさん出ましたが、この本が一番いいと思います。
60分間・企業ダントツ化プロジェクト 顧客感情をベースにした戦略構築法
著者:神田 昌典
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2002-12-07
おすすめ度:
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神田昌典さんの本は好き嫌いが激しいと思うのですが、中小・ベンチャー企業にとってはこの本は参考になると思います。プロダクトライフサイクルや、外部環境分析の大切さ。差別化、ライフタイムバリューの最大化という要素にしっかり触れられていて、わかりやすさを重視して書かれたんだろうな。ということが伝わってきます。ちなみに神田さん自身はこの本を、「一番真面目に書いた本なのに、一番売れなかった」と言っています。この言葉を見れば、この本を手にとってみてもいいかな。と思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。ただ、資源のない中小・ベンチャー向けに書かれた本故に、マーケティングの王道からは結構外れたプロセスで戦略立案の流れが書かれているのが個人的には気になります。これ一冊…。という本ではないと思います。
■マーケティング・ミックス
ここまでのプロセスがしっかり検討されていれば、どんなProductにするか、どれぐらいのPriceにするか、どういったPlaceでうるか、どうPromotionするか。もおぼろげながら見えてくることと思います。簡単にマーケティング・ミックスと書きましたが、実はこの分野ひとつひとつに関して何十、何百と本が出ていて、非常に奥が深い分野です。
個人的な経験だけ紹介しようと思うのですが、この一連のプロセスにしっかり取り組んできたら、Productに関してはある程度見えていると思います。あまり迷った経験はありません。Promotionに関してはターゲティングとポジショニングがしっかり出来れば、後はどのチャネルにどれぐらいのコストを投下するかという話になるので、経験、予測と実績、試行と改善が重要になってくるのかな。と思います。こればっかりはある程度やってみないと…。と思います。(実績をたくさん積上げている広告代理店や、大手メーカーの宣伝部などはここらへん蓄積したノウハウにはすごいものがあると思います。)
難しいのはPriceとPlaceです。値決めは戦略という言葉があるぐらい、どのタイミングで、いくらぐらいで、商品を投入するかというのは本当に難しい部分です。戦略コンサルタントもプライシングに関する相談は非常に多いと聞いています。ベストセラーになった、フリーも基本的にはこのPrice/Place/(Promotion)に関する新たな概念であり、提案だと思います。
僕はPlace(流通)に関しては大掛かりな提案、ドラスティックな提案をしたことがないので、イマイチいい本がどこにあるかわかりません。これは誰かに教えて頂きたいところです。
(参考書籍)
コトラーのマーケティング入門
著者:フィリップ コトラー
販売元:ピアソンエデュケーション
発売日:2000-04
おすすめ度:
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社会人になりたてのころに、気合を入れて読もうと思って買った本です。ただ…、あまりに分厚く高く、読むのに時間がかかったので、積極的にはおすすめしません。ただ、コトラーはマーケティングの父ですし、マーケティング・ミックスはじめ、マーケティングの基本的な概念を確立した人なので、コトラーに関する本は一冊は読むことをおすすめします。事例が豊富(具体的な使い方がわかるため)で、読みやすい本を立ち読みして選んで買われることをおすすめします。
あなたの会社が90日で儲かる!―感情マーケティングでお客をつかむ
著者:神田 昌典
販売元:フォレスト出版
発売日:1999-12
おすすめ度:
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神田さんのデビュー作で、この本が出た頃は、皆これを読んでいたように思います。どういう中小・ベンチャー企業がどのような広告を書けばいいのか。顧客からダイレクトに反応を得る広告の書き方とはどのようなものか、わかりやすく書いた最初の本だと思います。
ちなみに、神田さん自身はこの本はもう読まないでください。とおっしゃってるそう(考えが古くなったからか、表面的なテクニックにすぎるからかわかりません)ですが、僕自身は参考として読んでもいいと思います。実際にいろいろ参考になりましたし。
ただ、あまりにも売れた本なので、この本の表面的なノウハウを真似てアヤシゲな情報商材を扱う会社が増えたこともまた事実だと思います。それぐらい影響力があった本ということなのですが、今では僕はこの本に書かれていることをそのまま実践している企業や情報商材のページはそれだけで見ないようになっています。エッセンスを理解し、応用すること。それが大事だと思います。中古で購入するのが一番いいと思います。
ザ・コピーライティング―心の琴線にふれる言葉の法則
著者:ジョン・ケープルズ
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2008-09-20
おすすめ度:
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もうちょっと真面目なダイレクトレスポンスマーケティングの本としてはこれだと思います。ただ、そんなに読みやすい本ではないと思います。上の本を中古で買った後に、もっと真髄が知りたい!という人は立ち読みした後に買うのがいいように思います。コピーライティングってやっぱりマーケティングの一部の要素にすぎませんから。
成果の検証
最後のプロセスがこれになるわけですが、自社(自分)だけの成功方程式を創り上げることが究極のゴールだと思います。当初の見込みに対して、予測した通りの売上を実現出来たのか。どういった広告をどこに、いくらぐらいかけて告知すると、どれぐらいのリターンが得られるのか。そういった商品企画、告知の標準化プロセスがこれです。
参考:「できる」と感じるビジネスパースンが本当にやっていること
こういった予測と実績がしっかりリンクする方程式をつくりあげることが出来た会社は本当に強いと思います。(以前、GREEの広告戦略を見せてもらったことがありますが、どこにどういう広告をだせばどれぐらいの反応があり、どれぐらいの売上増加が見込めるかということがしっかり数値化されていて驚いた覚えがあります。ちなみにそれは、インターンシップか何かの説明会の時でした。その場にいさせてもらった僕は本当にラッキーでした。)
(参考書籍)
インターネットを使って自宅で1億円稼いだ! 超・マーケティング
著者:金森 重樹
販売元:ダイヤモンド社
発売日:2004-10-08
おすすめ度:
クチコミを見る
この本の情報は今となっては古いので買わなくていいのですが、書かれている情報を分析する姿勢、お金を使って検証していく姿勢にはなかなか学ぶものがありました。いくら広告に投下すればどれぐらいんリターンが得られるか見込めるのは、インターネットビジネスならではと感心した覚えがあります。個人で事業をされる方などは参考になる部分もあると思いますので、本屋で見かけたら立ち読みでもして頂ければと思います。
■最後に… 実践を通じて身につける
いろいろ紹介してきましたが、マーケターとして一人力を磨き続けるためには何より実践することが一番だと思います。ベンチャー企業であれば、実践の機会は比較的早くに与えられると思いますが、大手企業になるとなかなかそうも行きません。
しかし、いざその日がきたときのために、実践して力を磨いておくことは重要です。
実践の方法もいろいろあると思いますが、僕が個人的におすすめするのはスクールに通う、ブログを書くという方法です。スクールは(僕はファイナンスしか通ってないのですが)グロービスの一択でいいと思います。3ヶ月で12万円程度なので、個人的には安かったと思っています。演習もたくさん用意されていますし、基本を抑えるにはいいのではないでしょうか。(単発のセミナーはどうしても、目前のすぐ使えるノウハウに限定されがちなので、それを求めている場合はいいのですが、基本を学ぶ場合にはあまりオススメできません。)
それよりも安上がりな実践の方法がブログです(実際には時間を使うので、時間に余裕のあるひとにだけおすすめします)。外部環境分析(どのようなネタが求められているか、競合はいないか)、内部環境分析(自分はどんなことを書けるか、書きたいか、避ける時間はどれぐらいか)ということを考えつつ、市場を絞り、差別化し、記事(Product)を書くのです。ウェブ上にアクセスを集めるための方法はいくらでも転がっています。ちょっとした検索力さえあれば、タダでそれらのノウハウは手にいれることが出来ます(有料のものは大体お金を吸い取られるだけなので、無視するのが良いと思います。ネット上のノウハウなんてすぐに陳腐化しますし。)
マーケティングの手順に従って、プロセスを踏みながらブログの企画を積み上げていく。予測と検証を繰り返す。これはマーケティングの概念を自分に染み付かせるいい訓練になると思います。
また、書き続けることで一番大切なもの…「ブランドの重要性」を理解することが出来ます。継続と一貫性によって、読者(顧客)からの信頼を得る。これは大変難しいことですが、この体験を一通りすることが出来たら、マーケティングに関してもしっかりした背骨を持って語れるようになるのではないかと思います。
時間があるという方は、是非トライしてみて頂ければと思います。
(僕のエントリなんかは、「人と組織」にテーマを絞りきれていないので、まだまだ改善の余地がありまくりです…)
Comment
Let's just call plans what they are: guesses
http://37signals.com/svn/posts/1805-lets-just-call-plans-what-they-are-guesses
<a href="http://www.amazon.com/dp/0307463745/">http://www.amazon.com/dp/0307463745/</a>
読者をひきつける記事を書ける人って、マーケティング能力が高い人ですもんね。
ほとんどの企画書の「ほとんど」から除外された1部の企画書がおそらく会社の売上や利益のほとんどを産み出す原動力になるのでしょう。そういう人材にどうやってなるか。どうやって育成するか考えていきたいですね。
これは上のリンクのポイントをはずしていると思いますよ。
たとえば、「ほとんど」ハズレである宝くじを買っているひとがいれば -- 宝くじは「ほとんど」ハズレなのですが -- その人にアドバイスできることは、当たる確率をあげるためにより多くの宝くじを買うことでも、「宝くじ必勝法」などの戦略を考えることでもなく、宝くじを買うのをやめるように言うことではありませんか?
企画が役に立たないのは今にはじまったことではなく、planning fallacy という名前もついているのですよ:
http://en.wikipedia.org/wiki/Planning_fallacy
http://lesswrong.com/lw/jg/planning_fallacy/
マクドナルドのような先がある程度見通せる比較的安定した巨大なビジネスでない限りは(あるいはそうであってでも)、企画書は「ほとんど」ではなくすべてと言っていいほど無駄でしょうし、それを信じやすい若い人に勧めるのは(彼らが時間を無駄にするという意味で)有害だと思います。
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