『5月3日は世界報道の自由の日(ユネスコ)』
『国連教育科学文化機関』ユネスコ(UNESCO)により加盟国に報道の自由を促進し言論の自由の保障を義務付ける『世界報道の自由の日』(world press freedom day)と定められていて、毎年『報道の自由賞』の授賞式を行っている
このユネスコの恒例の年中行事『世界報道の自由の日』の5月3日に合わせて、国際組織を装うかなり胡散臭いNGO組織の『国境なき記者団』Reporters Sans Frontieres(RFS)が世界179カ国の『報道の自由度・一覧』を発表している。
自由度ランキングで日本は1年前の22位から31位下げて、パプア・ニューギニアの41位、台湾の47位、韓国50位以下の53位に急落している。
閉鎖的な記者クラブ制度が依然改革されていないなど、日本国が名指しで警告されているのである。
ただし、日本よりももっと劇的に暴落しているのはユーロ危機に関連した欧州諸国のギリシャやハンガリー。
『国境なき記者団(NGO)による悪質な便乗商法』
ソブリン危機に伴いIMFに押し付けられた緊縮財政に抗議するデモが吹き荒れていたギリシャは昨年の14位から70位さげて84位に急落した。
ユーロ圏(ユーロペッグ制)ながら独自の通貨政策を模索して世界の金融筋に猛反発されたハンガリーも昨年の16位から40位下げて56位にまで落下しているのです。
国際的な非政府組織(NGO)を看板に政治活動する、この『国境なき記者団』(RFS)なるものが誰によって動かされているかが透けて見える。いかがわしい政治臭が過ぎる話である。
NGOとはNon-Government Organization(非政府組織)の略で、如何にも政治的無色を演出しているが、あくまで『非政府組織』との意味があるだけで、『非政治組織』との意味ではない。
NPO法人『国境なき医師団』は政治的に中立で1999年にノーベル平和賞を受賞しているのだが、名前が紛らわしいNGO法人『国境なき記者団』の方は政治色が露骨である。
ちなみにRFS本部は原子力による発電を国策として進めるフランスのパリにありフランス政府やアメリカ国務省の外郭団体の全米民主主義基金(NED)もRFSに寄付していると言われている。
『「検閲」が行われている日本の報道の真実』
悔しく腹立たしい話だが、『国境なき記者団』(RFS)の指摘自体は間違いではなく本当である。
昨年の22位から53位に急降下した日本についてRFSは政府・公的機関の透明性の欠如、福島第一原子力発電所事故と放射能災害に関する情報公開を尊重する態度はほとんどゼロに等しいと指摘。
日本の問題点としては、世界に無い日本独自の奇習である『記者クラブ制度』の存在とともに、『原子力産業報道で「検閲」が行われている』事実を暴露する。
驚愕的な『報道の検閲』との、『国境なき記者団』(RFS)の告発は悲しいかな事実である。
RFSは世界の人に分かりやすいようにと『報道検閲』の言葉を使用しているが、権力による強制である『検閲』ではない。
日本の現実はマスメディア自らが行っている自主規制(自己検閲?)であり、制度的な『検閲』よりもっと悪いし問題点は深刻である。
『検閲』ならメディアと権力は常に緊張状態にあり、将来の改善が見込める。
ところが、『自主規制』の日本はメディアと権力は仲良く一心同体状態なので緊張感がゼロ。
メンバー全員が参加する談合(馴れ合い)なので将来の改善の見込みもゼロ。
マスコミの談合体質の象徴的な組織が、世界に類事例がない日本の『記者クラブ』制度の存在なのですから、いくら批判されても無くならない。
世界報道の自由度ランキングで最後に、日本に対して『以前は良い評価を受けていた国の急降下は警告すべき現象だ』と指摘しているが、この部分(劇的に下降した時期)だけが不思議である。
下げるなら、3・11原発事故での日本の政府やマスコミの実態が世界中に広く暴露された前年こそが相応しい。
なぜ、『去年』ではなくて、『今年』なのか。
『露骨に政治的な、「国境なき記者団」の判断基準の不公平』
福島第一原発事故で放射性汚染物質が大量放出された日付は、去年ではなくて2年以上前の2011年3月ですよ。
閉鎖的利益共同体の記者クラブの存在も、原子力産業報道の検閲問題も去年限定の話ではない。
世界22位と評価が高かった一昨年(2011年)の厳然とした歴史的事実である。
挙国一致の大政翼賛(権力とのズブズブの一体関係)は、日本のお家芸というか長年続く伝統である。
同じ問題点が一年前は『お目こぼし』されていて、日本は何のお咎めも無かった。
ところが今年になって何故か、突然大問題になり劇的に大きく順位を下げている。
君子豹変というか無責任の極みというか。
公平な審判気取りの『国境なき記者団』の日本に対する態度が、180度正反対に変化しているのである。
指摘の事実そのものは正しくとも、扱い方が不公平すぎるので腹立たしい。ダブルスタンダードが過ぎるでしょう。
去年末から今年にかけて日本を取り巻く環境か、別のなにかの判断材料が大きく変化したことが伺われるのですから恐ろしい。
日本のマスメディア自体は評価が高い1年前と、大きく下落した一年後で何も変わっていないので、RFSの判断基準(ルール)が変化しているのである。
日本の特殊性は周知の事実であり、ある意味『世界の常識』であった。
あるいは、(ルール変更が無く、RFSの言うとおりであるとしたら)逆に『日本のマスコミ報道』の『何か』が大きく変化(劇的に悪化)していることになる。
この二つの内の、何れか一つだけが正しい。(他は間違い)
『去年末から今年にかけて「潮目」が変わった?』
RFSが世界の報道の自由度ランキング名目で、日本の放射能汚染の深刻化を警告したのでしょう。
日本ほど均質で変化が小さい国は無い。
去年と今年で、唯一変わった出来事といえば右翼の安倍晋三政権の成立と、福島県で3万8千人中で10人の小児甲状腺がん発症(山下俊一検討委員会座長・福島県立医大副学長)以外には無いのである。
そもそも安倍政権成立は、野田佳彦が小児甲状腺がん発症の驚愕のニュースを隠蔽する目的で自爆解散したからで順番としては二番手、小児甲状腺がん発症の『結果』に過ぎない。
日本の格付けを劇的に下げたRFS自身が、『福島第一原子力発電所事故と放射能災害に関する情報公開を尊重する態度はほとんどゼロに等しい』と明確に指摘しているのである。
それなら『国境なき記者団』(RFS)は今回、福島県で3万8千人中で10人の小児甲状腺がん発症を隠蔽する日本国の政府やマスコミの偽装工作を告発したとの結論になるが、果たして真実(RFSの真意)はなんであろうか。
そもそも福島県の子供の数は現在発表されている3万8千人の10倍の36万人なので単純計算なら発症数も10倍の100人である。
『福島県は他県と同じ』との環境省の調査結果が嘘八百であることはマスコミの全員が熟知しているのですよ。
『ジャーナリストは公平な批評家ではなく「党派的意見」の代表者』
『絶対矛盾の自己同一』で有名な西田幾太郎の京都学派の代表的な哲学者三木清は、挙国一致の戦争遂行に批判的であったために投獄され1945年8月15日の日本敗戦の後も解放されず無念の獄死を遂げているのですが哲学ノートの『ジャーナリストは公平な批評家であるよりは、むしろ党派的違憲の代表者である』は、今の日本のマスメディアの現状にもぴったりと当てはまる。
赤旗が日本共産党機関紙である事実は誰でも知っているが、実は赤旗に限らず他のマスメディアも大なり小なり何らかの党派的意見の代表者なのである。
三木清の辛辣な指摘は日本のマスコミに限定された話ではない。
実は今の日本のマスコミの嘆かわしいの現状を告発した、今回の『国境なき記者団』(RFS)にもピッタリと当てはまるから愉快である。
『自分で噛み付いてニュースを自作自演する国境なき記者団(RFS)』
『犬が人間を噛んでもニュースにはならないが、人間が犬を噛めばニュースになる』とはジャーナリズムの本質を言い当てた最も有名な格言であるが、2008年の北京オリンピックに関連して『国境なき記者団』(RFS)自身が人に噛み付いてニュースになっている。
ほとんど笑い話の水準である。
なんとRFSはチベットフリーを連呼してギリシャでのアテネでの聖火の点火式に乱入して妨害しているのですから何をかいわんや。もう無茶苦茶。
物事の善悪とは別に歴史的事実としてチベットの中国への帰属は元の時代からであり、日本の北海道進出やアメリカやオーストラリアの白人入植よりも古い出来事である。
RFSがダブルスタンダードでないなら『日本は北海道から出て行け』とか『白人はアメリカやオーストラリアから出ていけ』と主張しないと公平ではない。
『チベット独立を主張しながら、満州建国を認めない不公平』
そもそもダライラマは中国のチベット自治区トップとして全人代副委員長など中国政府の要人でもあったのですから、最初から『中国のチベット侵略』との『国境なき記者団』(RFS)の論法は一方的な歴史解釈の修正であり無理があった。
国際社会が認めなかった1912年のチベット独立宣言が有効なら、同じように1932年の満州国の建国宣言も有効であることになる。
日本は20年違いで英国とほとんど同じ外交行為をしたのであり両者には本質的な違いが何処にも無い。
日本一人が悪いとの偏った解釈は納得できない。(英国は日本の本州に匹敵する広大な領土を英領インドに編入して、チベットから奪っている)
英国が関与したチベット独立が正しいなら、日本が関与した満州国建国を非難する根拠が失くなるのである。
RFSとかネット空間限定の『チベットは独立国』の主張は(なにかの政治的な目的があるのだろうが)首を傾げる、歴史的事実を無視したなんとも不思議な意味不明の動きなのです。
『格付け(ランキング)会社の胡散臭さ』
ムーディーズやS&P(スタンダード・プアーズ)など、主要な金融商品の格付けを行っていた格付け機関の信用度が劇的に低下しているのですから、今回の世界のマスコミの格付けを行っていた『国境なき記者団』(RFS)を全面的に信用するなどは間違いの元である。
サラ金とねずみ講が合体したサブプライムローンのような詐欺的な金融商品に対して、甘い格付けを行って値段を吊り上げ、投資家の購買を誘っていた格付け会社の責任は極めて重い。
リーマンショックの発生で世界の資本主義体制を崩壊の瀬戸際に追い込んだ張本人はゴールドマンサックスなど投機的な金融資本であるが二人三脚で悪事の片棒を担いでいたのは間違いなく格付け会社である。
欧州連合(EU)は13日、格付け会社の不透明な国債格付けが欧州債務危機を煽ったとして格付け会社と顧客のなれ合いを防ぐため、格付け会社が同じ会社を4年を超えて格付けすることを禁止する。
EUは格付け会社が規制を無視して誤った格付けを行い、損害を与えた場合、加盟国や投資家、債券発行者に民事訴訟を起こす権利で合意。
米司法省は今年2月、S&Pに対し破綻確実なサブプライムローンや債務担保証券(CDO)に最高格付けしたことで民事訴訟をすると通告。豪州では90以上の自治体や慈善団体などが、S&Pに対する集団訴訟を準備している。
格付け市場はムーディーズ、S&P、フィッチ・レーティングスの3社が市場の約95%を占め金融市場に絶大な影響力があるが、マスコミのランキング(格付け)はほぼ『国境なき記者団』(RFS)の独占なので、胡散臭い『金融格付け』以上に勝手気ままにやりたい放題状態である。
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