おいみず亭 Family & Friends

美味しい食べ物と知的好奇心、そして楽しい仲間!!

カンタベーリー物語

2006-04-30 01:25:35 | Canterbury tree
手元に1本のカセットテープがあります。
ソニーの D というシリーズで120分テープです。多分、中学か高校の頃に買ったテープだと思います。120分テープなんて今もあるのでしょうか? 120分テープは、録音時間を長くとるために、ベースとなるフィルムが薄くて、伸びたり絡まったりしやすいと聞いた事がありました。じっさい、このテープも一度カセットデッキに絡まってしまい、中ほどでしわが寄ったりはげたりして音飛びが起きます。
そんなテープですが、先代の車に乗っていたとき、繰り返し良く聞きました。

テープの中身はというと、大学時代に買いあさっていたカンタベリー系列のジャズロック。
カンタベリー・ロックというのは「チューブラーベルズ」で有名になったヴァージンレコードが積極的に開拓した、キャラヴァン/ソフトマシーン系列のバンドを指します。いろいろなバンドがありますが、各バンドの離散集合が激しく、パーソネルをみているとだいたいどのアルバムも、同じような人たちが参加しています。従って、音楽性も似たり寄ったりで、キーボード(オルガン)を主体としたジャズロックというだいたい同じような音を出しています。その、ちょっとくぐもったオルガンの音と、暑苦しくないジャズロックに惹かれて、カンタベリー系のアルバムを随分買ったものでした。
このテープは、これらのカンタベリー系バンドの気に入った曲を集めて作った私家版のアンソロジーです。自分の好きな曲ばかリ集めているので、車の運転にちょっと疲れたな、というときに気分転換のために良く聞いていました。

では、中身の紹介。まずはA面から。
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1.Caravan
 Can't Be Long Now~Fran?oise~For Richard~Walock
 一般には「リチャードのために/For Richard」として知られている曲の全曲版のライブ演奏です。「カンタベリー物語」というキャラバンのベスト版に修められた曲です。静かなヴォーカルから始まるこの曲ですが、各自の演奏が次第に絡まり始め高まりを見せていくというキャラバンの名曲にして名演奏です。「For Richard」のライブというと、「Caravan & the New Symphonia」というオーケストラとの共演物がありますが、こちらの方がシンプルで、できが良です。「カンタベリー物語」がCD化されていないので、現在どのアルバムでこの演奏が聴けるのか、わかりません。


2.Camel
 Flight of the Snow Goose~Preoeration
 キャメルはカンタベリーじゃないですね。似た感じの曲想だったのでこのテープに収めています。
 この曲はキャメルの出世作「スノーグース」からのものです。灯台守のラヤダーの下で傷を癒したスノーグースが去ってゆき、ラヤダーも戦争に出かてしまう、という悲しい物語の終わりのエンディング部分です。元気になったスノーグースが再び姿を現す「Flight of the Snow Goose」は喜びに満ちあふれています。


3.Gong
 A Sprinking of Clouds
 「見えないラジオの妖精」3部作の最後を締めくくる「You」からの一曲。ハイ・T・ムーンウィードことティム・ブレイクの演奏する「Aサイズのシンシンア」=シンシアサイズA=シンセサイザー中心の、ちょっとトランスかがった曲です。Gongは「カマンベール・エレクトリック」からこの「You」までどの曲も好きなんですが、多分演奏時間的な観点からこの曲を選んだのでしょう。タイトル通り、雲のきらめきのような美しい曲です。


4.David Allen
 Only Make Love If You Want It
 Gongのリーダーだったデビッド・アレンの「Now is the happiest time of your life」からの一曲。 SF的かつヒッピー的な「見えないラジオの妖精」完結後のデビッド・アレンのソロアルバム。リラックスした感じのアコースティックな音作り。とはいえ、この人の事だから、どこかすっ飛んでいます。


5.Gong
 Mandrake
 再びゴング。ですが、こちらはデビッド・アレン脱退後のアルバム「シャマル」からの選曲。宇宙的だったゴングの音が、地球的・・・というか、ワールドミュージック? 方向性を失った渾沌とした時期のアルバムです。この後、ゴングはドラムのピエール・モランを中心に、超絶技巧フュージョンバンドへと変身していくのですが、このあとは聞いていません。
 マンドレイク。麻酔に使われていたそうですが、神経性の毒をもった危険な植物です。この植物を引き抜くときに、悲しい叫び声を発するそうです。その声のあまりの悲しさに、それを聞いた人間は死んでしまうという言い伝えがあります。
 マンドレイク。美しさの中にも、悲しみをたたえた曲です。


6.Khan
Stranded
スティーブ・ヒレッジがゴング参加前に在籍したカーンの「スペース・シャンティ」からの曲。キーボードは、デイブ・スチュアート。宇宙ステーション(?)の描かれた不思議なジャケット。音は、軽めのギターとキーボードが中心となった音作り。つまりカンタベリー・ロックその物といった感じの音です。
 この曲はA面の2曲目。アルバムタイトルになっている「スペース・シャンティ」に続いて始まる軽めの曲。「街の中から逃げ出して、美しい浜辺で君と一緒に暮らそう」(超意訳)みたいな、なんだか宇宙船と関係ない歌ですが、カンタベリー・ジャズ・ロックのなかの佳曲だと思います。


7.Steve Hillage
Aftergrid:Sun Moon Surfing~The Big Wave and Boat of Hermes~The Silverladder~Astral Meadows~The Lafta Yoga Song~Glidding~The Golden Vide/Outglid
 カンタベリーロック最大にして最高の組曲「魚の出て来る日/Fish Rising」。その最後楽章がこのAftergridです。
 エレクトリックジプシー、スティーブ・ヒレッジのソロといいつつも、ゴングのメンバーがしっかり脇を固め、さらにカンタベリー・オールスターズという感のある豪華メンバー。ゴングという枠を取り払って、ステーブ・ヒレッジがギターを弾きまくっています。ゲスト陣もそれに応えて、音楽性と精神性の高まりを感じる一枚。名盤ですね。

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以上がA面の60分。
B面は、またの機会に・・・

子ぎつねヘレン

2006-04-29 06:27:38 | æœ€è¿‘見た映画
先週の日曜日、子どもと約束していた「子ぎつねヘレン」を見に行きました。

最近涙腺ゆるみっ放しなので、どうなることかと思っていましたがあまり泣かずに済みました。原作「子ぎつねヘレンが残したもの」が実話だったから、単なるお涙ちょうだい的なストーリーにならなかったのが良かったのかもしれません
それと、ヘレンの可愛らしさが、家の犬と重なって、感情移入しすぎなかったのもよかったのかもしれません。

原作が実話である分、映画はドラマに脚色しています。最初(というか、最後まで)人間関係が分かりにくかった。というのも、主人公太一のお母さん役が松雪泰子。太一が預けられる動物病院の院長が大沢たかおで、中学生の娘がいる。松雪泰子、大沢たかおが、お母さん役・お父さん役やるのかと、この事にびっくりしました。(特に大沢たかおはお父さんか、お兄さんかとずっと悩んでいました)でも、皆さんそういう年代になってきているんですね。

特筆すべきは、動物病院で預かっているラブラドールレトリバーのロッシ役の犬の演技。素晴らしい演技に笑わされたり、感心させられたりしました。
よく、子どもと動物に勝てない、といわれます。この映画は、まさに子どもと動物達の映画ですが、松雪さん大沢さんはじめ大人の俳優(?)もそれに負けてないと思いました。吉田日出子は、もう少しストーリーに絡んで欲しいと思いましたが・・・

登場人物もそんなに多くないし、ほとんどが動物病院の中での話しだして、こじんまりとした感じのある映画でしたが、「製作費何億円」という映画ばかりが映画じゃないですね。公開してからかなり時間が経っていると思いますが、客席は親子連れで混んでいました。こういうまじめな映画が、ちゃんと評価されているようで、いいですね。

子ぎつねヘレン 公式サイト
ヘレン、やっぱり可愛いですね。

美亜へ贈る真珠 / 梶尾真治

2006-04-27 03:46:02 | æœ€è¿‘聞いた音楽
なんだろう、突然「美亜へ贈る真珠」を思い出しました。
ストーリーはだいたい覚えていたのですが、実はこれが梶尾真治のデビュー作という事はすっかり忘れていました。何かのSFアンソロジーで読んだのだとばかり思っていたのです。ところが、どうやら実際は梶尾真治の「地球はプレーンヨーグルト」に収められていたと知り、びっくりしました。もう25年以上前の事とはいえ、記憶なんて、あやふやなものですね。

「地球はプレーンヨーグルト」は、食べ物の味をつかって異星人とコミュニケートするという、ちと変わったファースとコンタクトもの。このイメージが強かったので「美亜・・・」が、すっかりかすんでいました。

「美亜へ贈る真珠」は、カプセルの中では時間がゆっくりとすすむ「航時機」の中に乗り込んで、未来へとタイムトラベルしているアキ。彼を思いをよせ続ける美亜。「航時機」の外での1日が、アキにとっては1秒にしかならない。「美亜へ贈る真珠」は異る時間の流れの中で、愛し合いながらも決してコミュニケートできないアキと美亜の物語です。真珠が二人の愛の象徴として描かれています。

デビュー作ということで、文体は硬い感じがしますがとても美しいSFです。まるで、過去からタイムトラへルして突然姿を現したかのように、突然この作品を思い出しました。そうしたら、居ても立ってもいられなくなり、早速文庫を買い求めました。


美亜へ贈る真珠/梶尾真治
早川文庫

追記
久しぶりにSF文庫売り場を見ていたら、スタージョンの「夢見る宝石」がありました。スタージョン最近いろいろ出版されていますね。ブームなんでしょうか。久しぶりに読んでみたいですね。
その他、最近亡くなったレムの「ソラリス」も読み返したいし、オールディスの「地球の長い午後」ももう一度読んでみたい(後半のほうほとんど覚えていない)。
P.K.デックも良く読んでたので、再度読んでみたいし・・・
電車の中では、iPod聴いているのいで、本読む時間が減って来ています。

さらに追記
タイトルを「美亜に贈る真珠」から「美亜へ贈る真珠」に変えました。
文庫のたいとるが「へ」になっていたからなんですが、記憶の中では「に」だったんですけど。

黄色

2006-04-26 02:14:51 | äº­ä¸»ç‹¬ç™½
小学校1年4組の部屋には黄色の桜が貼ってありました。1組から5組までそれぞれの色で区別できるようになっていました。たまたま1年性の時に4組みだったせいか、何故か黄色が好きです。しかし、小学校の頃、黄色というのは「キ印の色だ」といわれていてあまり人気ありませんでした。

その後、赤が好きだったり、紫が好きだったりと好きな色が移り変わっていったのですが、やはり黄色というのはいつも好きな色でした。黄色って、見ているとなんとなく元気が回復するような気がしませんか?

それで、最近本屋に行って気がついたのですが、カバーが黄色い本が目立つようになってきました。実は、ちょっと前までてっきり「黄色カバー本」は同じ本だと思い込んでいました。しかし、よく見たらカバーが違う(当たり前ですが)タイトルが違う( 当然ですが)作者が違う。つまり、黄色のカバーの本が増えてるという事。

黄色い本が増えているだけで、なんとなく嬉しくなってしまいます。
が、よく見てみると、黄色カバー本、一冊も買ってませんでした。

ゲド戦記外伝 / アーシュラ・K. ル=グウィン

2006-04-25 04:03:48 | æœ€è¿‘読んだ本
ジブリのおかげで、やっとゲド戦記外伝が物語コレクションになった。

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カレシンが国連に招かれて演説をするというので、休みをとってテレビで観る事にした。カレシンは人間の姿で黒塗りの車から降りてきた。

やがて、演説が始まった。あの誇り高い竜が人間の言葉で話し始めた。
「私たち竜の兄弟にして、魔法使いの子孫である人間の皆さん。今日はお招き頂いて感謝いたします。
「私たち竜と人間の関係はとても古い。私たち竜は、遠い昔人間にロゴスを教えた。ロゴスによって、人間達は物の本当の名前を知りえるようになった。そして、次第に本当の名前が物を縛って居ることに気付き、魔法の術を手に入れた。
「最初、人間達は魔法を頼りにした。しかし、魔法によって世界の均衡は次第に崩れ始めていた。それは、気がつかないぐらい少しずつの変化から始まり、しかし気がついたときには既に手遅れとなっていた。人間達は魔法を嫌うようになり、魔法使いを疎んじるようになった。しかし、自分たちの益のために、魔法を使い、魔法使いを頼りにするようになった。異変がおきた最初の頃、この異変の原因と魔法の間には、漠然とした関係があるように思われていたが、結局人間は自分たちのために魔法を使い、世界の均衡をどんどん崩していってしまった。
「しかし、魔法使い達のなかには、この異変の原因を突き止めて、もとの均衡の保たれた世界へ戻そうと試みる者たちもいた。そして、ロークの魔法学院を造り、魔法使い達をここに集めた。今まで勝手気ままに魔法を使っていた者たちは、ロークの魔法学院の規律に縛られる事になった。そして、均衡を崩すような魔法の使用は禁止され、やがて世界の均衡は再び保たれる様になっていった。そして、ゴントから来た大賢人と、ハブナーの若き国王によって、均衡のとれた世界が長く保たれる事になった。
「しかし、大賢人は去り、やがてハブナーの国王も退くとローク魔法学院の力も徐々に衰え始めていった。やがて、ロークのことは人々の記憶から消え去り、それとともに魔法使い達の事も忘れられていった。そして、魔法の術を記した本も失われ、人間達は魔法を使っていたことさえ忘れてしまった。
「それでも人間達が持っていた魔法使いとしての性質が消えたわけではなく、また、魔法を使いたいという欲望も失われていなかった。やがて、人間達は再び魔法の力を見つけ出す事に成功した。
「こうして再び人間達は魔法を使うようになった。しかし、それは嘗て竜から学んだロゴスによって見つけ出した魔法ではなかった。新しい魔法を手に入れた人間達は、魔法のもたらす益にばかりに目を向けて、魔法の本当の恐ろしさを知らなかった。世界の均衡は再び崩れ始めた。しかも今回は大賢人も居なければ、魔法使いを律する魔法学院も無い。人間達が世界の均衡を崩す事により、西の島では再び若い竜たちが暴れ始めた。やがて人間達を襲いに来る事になるだろう。
「そうならないように、そうならないうちに、再び人間達の魔法を律して世界の均衡を保たなければ成らない。かつて大賢人ゲドが行った事を、今度は私カレシンが背負わなければ成らない。その重荷の事を思うだけで、この竜の身が押しつぶされそうになる。しかし、今逃げ出すわけには行かない。かつて大賢人に若きアレンが力を貸したように、人間の皆さんにも力を貸していただきたい。」

事件が起きたのは、カレシンが建物を出て車に乗ろうとしたときの事だった。一本の矢がカレシン目掛けて飛んできた。木陰にいた男が、矢に向かって呪文を唱えると、矢は二つに折れて地面に落ちた。
その矢は、中世のドラゴンスレイヤー達が使っていた矢だった。
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ゲド戦記外伝 物語コレクション
アーシュラ・K. ル=グウィン 著
清水 真砂子 翻訳
岩波書店

Wish You were here / Pink Floyd

2006-04-23 04:34:19 | Pink Floyd
火・風・土・水という世界を作る4つのエレメントをモチーフにした、ヒプノシスデザインのジャケット。LPではそれがさらに紺色の不透明のビニールに覆われていました。

「狂気」 の所でも書きましたが、ピンクフロイドと出会ったのは、「狂気」発表後の事でした。ということで、リアルタイムで購入した最初のピンクフロイドのアルバムは、この「Wish you were here/炎」でした。とはいえ、75年に「狂気」を発表してから「炎」までの2年間、かなり待たされての新作という感じがありました。

歌詞を読むと「狂気」が普遍的な内容であったのに比べて、「炎」ではシド・バレットおよびピンクフロイド自身に関するものばかり。シドバレットに対するオマージュでもあり、同時に当時のピンクフロイドの置かれた位置にたいする戸惑いの現れともとらえられます。
確かに「狂気」の歌詞は、普遍的な内容で、どのようにでも解釈して当て嵌める事ができました。でも、そうそう毎回道徳の教科書の様なお説教聴かされるのもちょっと勘弁して欲しいと思います。「狂気」は「狂気」1枚で完成しているので、その「パート2」(アニマルズ?)なんて聴きたくありません。
そんな意味でも、歌詞に普遍性がなくても良いのですが、それが身内に向けられているというのはちょっといただけません。いきなり個人的な感情まで、落としすぎではないでしょうか。もう少しアーチストとしての視線というものを保ってもらいたいとも思います。

このアルバムが発表された70年代の半ばというと、シンセサイザーが広まり始めた時期で、シンセサイザー=プログレッシブロックという図式ができ上がった時期でした。この「炎」のなかでもシンセサイザーが大活躍しています。「Welcom to the machine/マシーンへようこそ」のような電子音満載、ギミック満載の曲でも当然シンセサイザーが活躍していますし、パート1~9までに別れた大作「Shine on you crazy diamond/狂ったダイアモンド」でも随所にシンセサイザーが使われています。アルバム全体に、デイブ・ギルモアの泣きのギターとリック・ライトの泣きのシンセサイザーが活躍しています。
当時のシンセサイザーといえば、リック・ウェイクマンの「地底探検」やELPの「展覧会の絵」などでも聴けますが、本当に機械的な音で、それまでの音楽とは異質なモノでした。ピンクフロイドの場合、この「炎」や次作になる「アニマルズ」の「羊」でも聴けるのですが、シンセサイザーで喜怒哀楽の「哀」を表現しようとしているようす。もしかするとこの時期にピンクフロイドの方向性が「哀」に向かっていたということなのかもしれません。「哀」の中に浸っている心地よさ。その心地よさが、その後のピンクフロイドを決定付けてしまったのかもしれません。

シド・バレットとともにサイケデリックシーンから浮上して、「神秘」「原子心母」「エコーズ」「狂気」と、サイケデリックな部分を引きずりながらも大作主義を貫き通していたピンクフロイド。確かに「Shine on you crazy diamond」は大作ですが、「狂気」前に比べて明らかに一般受けする内容になっています。この後ピンクフロイドはロジャー・ウォータース主導で「ウォール」という問題作を発表しますが、ギルモア、ライト、メイスンとの間に亀裂が生じ、ロジャー・ウォータースはピンクフロイドを離れてしまいます。そして、残った3人により「鬱」「対」という「哀」の中に沈んだピンクフロイド的なイージーリスニングなアルバムを発表していきます。「Shine on you crazy diamond」は、「鬱」「対」へと続くピンクフロイドの終わりへの始まりだったような気がします。




73年の「狂気」から75年の「炎」発表の間に、ピンクフロイドは長年住み慣れたEMIから、契約先をCBSに変更しています。同じ時期に、ソフトマシーンがCSBからEMIに移籍しています。60年代に一緒にUFOクラブなどイギリスのサイケデリックシーンで活躍していた二つのバンドが、まるでトレードされたかのようにレーベルを移籍しています。移籍後ソフトマシーンは「収束」という素晴らしいアルバムを作成しています。そして、その後Adiemusへと昇華していきますが、これはまた別のお話になります。

追記:
牛・耳・プリズムのジャケットはそれぞれのアルバムの内容と一致していたのですが、火風土水と「Wish you were here」の関係はどうなっているのでしょう。ジャケットの謎解きがうまくできないのですが。。。





1.Shine on You Crazy Diamond, Pts. 1-5
2.Welcome to the Machine
3.Have a Cigar
4.Wish You Were Here
5.Shine on You Crazy Diamond, Pts. 6-9

さくらさくら

2006-04-15 16:00:43 | äº­ä¸»ç‹¬ç™½
犬を連れて、公園に散歩に行ってきました。

桜はもうほとんど散ってしまって、花びらが溶けずに残る雪の様に地面を覆っていました。

つい2週間前の騒ぎが嘘のように静かになった公園でしたが、あちらの一角にはハナニラが白い花を咲かせていたり、ハナスオウの紫に混じって八重咲きの桜が花を咲かせていました。そして桜が終わるのを待っていたように一斉に若葉を伸ばし始めた木々の新緑。
絢爛豪華な桜の時期とはまた違った美しさがありました。

Relics / Pink Floyd

2006-04-15 03:10:07 | Pink Floyd
輸入盤はこんなジャケットでした。


邦題は「ピンクフロイドの道」。初期のシングルなどをまとめた、一応ベスト盤の形をとっています。

LPのジャケットは、ニック・メイスン画伯の線画でした。
個人的にはこのジャケットが気に入っています。


初期のシングル「アーノルドレイン」「シー・エミリー・プレイ」等が収められているこのアルバム。シド・バレットが在籍していた、初期のサイケデリックな雰囲気がしっかりと伝わってきます。

その中でもひときわ美しい曲といえば、シングル盤でヒットした(らしい)「夢に消えるジュリア」とアルバム「神秘」からの「追想」。耽美主義といわれたピンクフロイドらしい、ほんとうに美しい曲です。

でも、このアルバムの中で一番たくさん繰り返して聴いたのは「星空のドライヴ」でした。ノイジーで凶暴ともいえるギターサウンドで強引に展開するこの曲が、なんとも美しく、またピンクフロイド(あるいはシド・バレット)らしく思えました。ドアを開けて、一歩外に出ると、星が輝く宇宙空間であるような、そんなシュールな世界。こんな作品(だけじゃないかもしれない)を作り上げていたシド・バレットという人は、やはり現実の世界とはうまく折り合いが付かなかったのではないか。それも仕方ないかな、と妙に納得していたことを思い出します。

現在CDになって、ニック・メイソンの絵に基づいた模型の写真になっています。
これはこれで面白いのですが、やはりLP時代のジャケットが好きです。
そして、これもやはりLPサイズで持っていたいジャケットの一つですね。



1.Arnold Layne
2.Interstellar Overdrive
3.See Emily Play
4.Remember a Day
5.Paintbox
6.Julia Dream
7.Careful With That Axe, Eugene
8.Cirrus Minor
9.Nile Song
10.Biding My Time
11.Bike

Highlights From The Plugged Nickel / Miles Davis

2006-04-11 01:53:46 | Miles Davis
うーん、このアルバムが発売されたときの評価はどうだったんでしょう・・・
黄金のカルテットがプラグドニッケルで繰り広げたライブのハイライト版。このCDにおさめられているのは
 Milestones
 Yesterdays
 So What
 Stella By Starlight
 Walkin'
 'Round Midnight
の6曲。どれも名曲ぞろい。しかし、どの曲もマイルス楽団特有の「ライブではテンポが速くなる」です。しかも、尋常じゃないでしょ、このテンポは。

Milestones。オリジナルはビッグバンド風(?)のカッコいいイントロなのに、なんだかヘロヘロと始まったかと思うとテーマが終わらないうちからもうアドリブ。マイルスが延々とソロをとり始める。やがてショーターがソロをとり、ハンコックがソロをとるのですが、これが凄い緊張感でリズムまで変幻自在。

So Whatにしても超高速リズムで最初のテーマが終わるとマイルス→ショーター→トニー→ハンコックの順にソロをとっていくのですが、これSo Whatだよね? と思ってしまうほど曲を解体しきっています。

この感覚、パンク・ニューウェーブですね。
ロック界では、パンク・ニューウェーブが出てきて、それまで感情移入して延々と続いたギターソロというのが、いさぎよいパンクサウンドに取って代わられたんですが、このアルバム、ジャズ界のパンク・ニューウェイブではないでしょうか。
ジャズというと、なんかもったいぶったような、大人の雰囲気がありますが、そんなものを打ち破るニューウェーブジャズ。既存のジャズを解体するパンクパワー。解体したその先に見据えていたものは、やはり電化なのでしょうか。。。



Miles Davis(tp)
Wayne Shorter(ts)
Herbie Hancock(p)
Ron Carter(b)
Tony Williams(ds)

Atom Heart Mother / Pink Floyd

2006-04-09 00:05:36 | Pink Floyd
重厚なブラスとコーラスの音が消え去さると、立ち上がっていってLPを裏返す。するとそこには、A面とは全く違った、つぶやくような声でうたわれる「If」
 白鳥ならば、飛んで逃げてただろうね
 電車ならば、遅れてきてただろうね。
 でも僕はそんなに良いヤツじゃないから
 君とはあまり話をできなかったんだ。
一つの命が誕生する喜びを力強く歌い上げたA面と、女々しくさえ思えるB面。
この格差によって「ほっ」と一息つくアルバム構成。
緊張感の後の解放感。これこそピンクフロイド音楽の神髄であり、それを作り上げた「原子心母」こそ、ピンクフロイドがピンクフロイドとなりえた最高傑作ではないか。と、つい力が入ってしまうほど、このアルバムは大好きです。

僕が最初に「原子心母」を聴いたのは、「狂気」のところで書いたローテルのレシーバーでした。当時NHK-FM土曜の午後3時代は各地の放送局から、ローカルなプログラムを放送していました。NKH-FM水戸では隔週ぐらいにプログレ特集をしていたのですが、電波状態の良いときにしか聴く事ができませんでした。普段はNHK-FM横浜を聴いていたのですが、この日はNHK-FM東京(普段はクラシックを流していました)で、グレングールドとピンクフロイドをとりあげるというので聴いていました。

地響きのような重低音のなかに、キラキラと輝くようなブラスの音が混ざり始め、やがてそれがひとつのメロデーにまとまり始める。そしてファンファーレが鳴り響いたかと思うと、一呼吸ためを置いて、ピンクフロイドの登場。
何度聴いたかわからないほど聞き返した、イントロです。

そしてそれに続くゆったりしたリズム。このゆったり感は「牛」そのものです。
「原子心母」といえば忘れられないのが「牛」のジャケット。

(こちらのかたのページには、中ジャケットの写真もあります)
表ジャケットのこちらを振り向いている牛も印象的ですが、LP時代の裏ジャケット(左側ですね)の3頭。これがかわいいです。特に一番右の牛が楊枝を加えてるみたいなところが、愛嬌があって好きでした。
こちらの写真の方が良くわかるかもしれません
ピンクフロイドといえばヒプノシス(Hipgnosis)との組み合わせ、というイメージが確立したのもこのアルバムからではないでしょうか。(実際には一つ前のウマグマからヒプノシスが担当しています))

A面の「原子心母」からB面ラストの「アランのサイケデリックブレックファースト」まで、個々の曲魅力もありますが、なんといってもジャケットデザインを含めたアルバム構成全てにおいて「ああ、ピンクフロイドだよね」と思えてしまうこのアルバム、やはりピンクフロイドの傑作アルバムではないでしょうか。

例によって歌詞はこちら
 Green is the colour


おまけ
ヒプノシスのジャケットデザインを楽しむという意味でも、ピンクフロイドはLPがいいですね。A面/B面というアルバム構成も、CDなかなか伝わってこないですよね。

おまけその2
webで「原子心母」を検索していたら、こんな店が見つかりました。
ひっとして有名ですか?
バー原子心母

さくらさく

2006-04-02 09:57:04 | äº­ä¸»ç‹¬ç™½
今年の桜は土日が見ごろ。
近所の公園は、大変な人出でした。
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会社のWindowsで見たら真っ暗だったので
写真を少し明るくしてみました。

Meddle / Pink Floyd

2006-04-02 09:24:37 | Pink Floyd
静けさの中に響き渡るピアノの音。それはまるで深い海の底で、仲間を探す潜水艦のソナーの音のように響きます。

傑作アルバム「原子心母」と、超ベストセラー「狂気」にはさまれた「おせっかい」は、ちょっと地味なアルバムではないかと思います。アルバムの作りは「原子心母」とおなじく1面大作でもう一面がアコースティック、というのも、なんだか「原子心母」のコピーみたいです。A面のできはともかく、「エコーズ」が聴けるので、それで満足です。

「エコーズ」は大好きなのですが、我が家ではしばらくの間(もしかしたら今でも?)「家庭内放送禁止」となっていました。理由はおくさんが「怖い」というからです。同じ理由でマイク・オールドフィールドの「チューブラーベルズ」(これは確かに怖いですね)とチック・コリアの「リターン・トゥ・フォエバー」(カモメのチックの1曲目です)が「家庭内放送禁止」となっていました。
「チューブラーベルズ」については、なにかのインタビューで、マイク・オールドフィールド自身が「個人的な感情が入りすぎた」というような事を話していましたが、これら3曲とも「気」というか感情のようなものが強く伝わって来るような気がします。

名曲「エコーズ」を最初に聴いたときのイメージは「青」でした。Meddleのジャケットそのものですね。歌詞を読むと空を飛んでいるアホウドリ(*)だの、珊瑚礁の洞窟だのやはり空や海の「青」をイメージさせる絵画的な表現が並んでいます。その中で主人公の「僕たち」は海の中に潜んで暮らしているのですが、光に向かって登っていく事を試みる。
最後には(と、ここまでに曲は20分ぐらいかかるのですが)、朝日に乗った使者がやってきて「僕」の目を覚ませる。そして僕は窓を開けて遥か彼方の「君」に呼びかける。

あらためて、歌詞を読み返してみたのですが、珊瑚礁のラビリンクのように深いですね。最初、光に向かって登っていくときには
 And no-one showed us to the land
と複数形を使っています。

それが最後には
 And no-one sings me lullabies
 And no-one makes me close my eyes
と単数系になります。

「us」がいつ「me」になったのかと詩をたどってみたら
 Strangers passing in the street
 By chance two separate glances meet
 And I am you and what I see is me
これは、夢の中で、無意識のyouと自己としてのmeが別れて、その後
 Inviting and inciting me to rise
されて、やがて目覚める。

こんな解釈をして、地下のフロイト先生からおしかりを受けるかもしれませんが、ずっと気になっていた「エコーズ」の解釈がやっとできたような気がします。
そしてついでに「Meddle」=「おせっかい」の意味も「他者からの干渉」と解釈すれば、すっきりしそうです。

アルバム「Meddle」は名曲「エコーズ」のイメージそのものと言ってよいと思います。(A面には目をつぶろう)
そして、「エコーズ」は、深い海の底で自分自身を探す潜水艦のエコーの音から始まり、自分探しの旅へと続きます。
「Meddle」が「エコーズ」を持ってしても「地味」と感じられるのは、実は「エコーズ」の持っている内省的なイメージが強いからではないかと思います。


1. One of These Days
2. A Pillow of Winds
3. Fearless
4. San Tropez
5. Seamus
6. Echoes



歌詞はこちら
www.pink-floyd.org:ファンサイト

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*ところで、アホウドリ。日本語ではかわいそうな名前ですが、ゴルフでは「イーグル」よりさらに一打少なくてホールアウトするという凄い事を「アルバトロス」といいます。英語の世界ではアホウドリはワシより「凄い」んでしょうか?