おいみず亭 Family & Friends

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Floating World Live / Soft Machine

2006-06-10 12:30:43 | Canterbury tree
Fifthアルバムの録音とともに、エルトン・デーンがバンドを去ります。こうして、ソフトマシーンを支えてきたエルトンディーン-ヒューホッパー帝国の一角が崩れ去ります。

かわりに参加したのがカール・ジェンキンス。5thから参加したジョン・マーシャルに続きニュークリアスからの移籍組です。新メンバーになってソフトマシーンはまた動き始めます。まず、いままで、序数(3rdとか5th)でつけられていたアルバムタイトルが数字に変わり6そして7。そしてレコード会社の移籍。8にあたるアルバムには「Bundles/収束」というタイトルが付けられ、その後は音楽性も大きく変化していきます。

アルバム6は、3rdと同じLP2枚組。しかも半分はライブで、半分はスタジオ録音とこれも3rdとおなじ。そして3rd同様、新メンバーによる音楽の模索が為されています。その分、全体のまとまりがなく、ちょっと散漫な感じがします。

7。これはLP時代5に続けて買ったアルバムです。なんと、とうとうヒュー・ホッパーが抜けて、かわりに時々ゲスト参加していたロイ・バビントンが加わります。
ヒュー・ホッパーのベースが、ゴリゴリと大地に穴を掘って沈んでいくようだったのに対し、ロイ・バビントンのベースは、ともすれば浮遊してどこかに行ってしまいそうなバンドを大地につなぎ止める鎖のゴリゴリ感といいますか・・・奔放さを保ちつつ、しっかり地に足がついている感じがします。
リズム隊が代わることによって、バンドの性格が変わることがよくありますが、ジョン・マーシャル/ロイ・バビントンさらにバンドの頭としてのカール・ジェンキンスによって、7は今までアルバムとは印象が異る作品となっています。
まず1曲目からしてアップテンポでシンセサイザーが使われています。これはウェザーリポート意識している? というソフトマシーンにしては珍しい曲です。2曲目では一転して幻想的なスローナンバー。そして3曲目からアルバムの終わりまでが圧巻。5thで作り上げた幽玄の世界とはまた違った、どこか別の世界を旅しているような幻想的な雰囲気が広がります。その世界を歩くテンポを決めているのが、ロイのベース。そしてカール・ジェンキンスのペラペラしたオーボエの音。もう、何度繰り返し聴いたことかわかりません。

7の1曲目で、電子化の兆しを見せたソフトマシーンは「収束」でさらに電子化フュージョンバンドへの道を進みます。7を介して「ロイバビントンのベースライン=ソフトマシーン」という図式が造られないまま「収束」を聴くと今までのソフトマシーンとはまるで別物と思われるかもしれません。
そして「収束」の最大の聞き物はあのアラン・ワールズワースがギターとして参加していること。その指使いの速いこと速いこと。
でも、テクニックにばかり走った訳ではありません。6以降のソフトマシーンは、短い曲を組み合わせた演奏が多かったのですが、「収束」でその形が完成したように思います。
LP時代のA面はパート1から4に別れた「予期せぬ出来事」と短い「ゴーン・セイリング」という曲で構成されています。B面は「収束」から始まる組曲ドラムソロを経て、それまでの興奮を鎮めるかのような「フローティング・ワールド」。アルバムの最初から最後までが一つのコンセプトの下にまとまっていて、ここの曲の個性によって、全体が大きなうねりのなかでメリハリが利いている。昔ながらのソフトマシーン音楽を期待すると、全然違うものになっていますが、それでも聴いてみて納得させられてしまう、音楽としての名盤だと思います。

「収束」のあとは、ホールズワースが抜け、かわりにプログレバンドのウルフのぎたりすとジョン・エサーリッジが加入。次作「ソフツ」はさらにフュージョン色を強めた作品となっています。そして「アライブ&ウェル」。ホールズワースを彷彿とさせるエサーリッジの早引きと、息もつかせぬ演奏は相変わらずですが、アンコール曲のように付けたし(?)で収録されている「ソフト・スペース」。フローティング・ワールドをさらにトランスにしたような、フュージョンとも違った方向への前進を予感させつつ、ソフトマシーンは事実上解散してしまいます。実際のラストアルバムは「ランド・オブ・コカイン」ですが、これは聴いたことありません。
(その後カール・ジェンキンスはアディエマスで大ヒットをしばしますが、それまでにはまだ長い時間がかかります)

さて、3回にわたる長いイントロも終わり、やっと本題の「Floating World」。後期ソフトマシーンの絶頂期「収束」のメンバーによるライブです。購入したのは輸入盤ですが、ソフトマシーンレガシーの来日に合わせ、国内盤が出ていました。
収録曲は「収束」のB面を中心にして、いよいよ「予期せぬ出来事」、どんな展開になるのかと思ったところで、フェードアウト。録音が、ブレーメンのラジオ局とのこと。放送時間の都合でフェードアウトしているそうです。でも、録音された物はちゃんと最後まで演奏されているはず。CD化するときに放送の時のままというのは何だか納得できないですね。やっぱり最後まで聴きたい、どうしても聴きたい。是非完全版を出してほしいし、どこかに音源が残っていればきっと出てくると思います。
ライブということで、ベースソロやドラムソロという見せ場が入っていますが、全体としては「収束」の緊張感そのまま、聴き比べればスタジオ版よりかなり熱い演奏になっていると思います。「収束」のCDの入手が困難となったいまでは、完全版の発売を望みつつこのアルバムを聴いていることにしましょう。


Allan Holdsworth: electric guitar, violin
Mike Ratledge: Lowrey Organ, Fender Rhodes, synthesizers
Karl Jenkins: oboe, soprano sax, recorder, electric & acoustic piano
Roy Babbington: electric bass guitar
John Marshall drums: percussion

1. The Floating World
2. Bundles
3. Land of the Bagsnake
4. Ealing Comedy
5. The Man Who Waved at Trains
6. Peff
7. North Point
8. Hazard Profile
9. J.S.M.
10. Riff III
11. Song of Aeolius
12. Endgame
13. Penny Hitch (Coda)



「6」

Hugh Hopper: Bass guitar ( sound effects on 1983 )
Karl Jenkins: Oboe, baritone and soprano saxophones, electric piano and grand piano, celeste
John Marshall: Drums
Mike Ratledge: Organ, electric piano and grand piano, celeste

1. Fanfare / Between / Riff / 37 1/2
2. Gesolreut / E.P.V / Lefty / Stumble / 5 from 13 (for Phil Seaman with love and thanks) / Riff II
3. The Soft Weed Factor
4. Stanley Stamps Gibbon Album ( for B.O. )
5. Chloe and the Pirates
6. 1983


「7」

Roy Babbington: Bass guitar, Double bass
Karl Jenkins: Oboe, Baritone and soprano saxophones, recorder and electric piano
Mike Ratledge: Organ, synthesizer and electric piano
John Marshall: Drums and percussion

1. Nettlebed
2. Carol Anne
3. Days Eye
4. Bone Fire
5. Tarabos
6. D.I.S.
7. Snodland
8. Penny Hitch
9. Block
10. Down the Road
11. The German Lesson
12. The French Lesson


「Bundles」

Roy Babbing ton: bass guitar
Allan Holdsworth: electric, acoustic and 12 string guitar
Karl Jenkins: oboe, piano, electric piano, soprano saxophone
John Marshall: drums, percussion
Mike Ratledge : organ, electric piano, synthesizer
Ray Warleigh : alto flute and bass flute ( on Floating World only )

1. Hazard Profile Part 1
2. Part 2
3. Part 3
4. Part 4
5. Part 5
6. Gone Sailing
7. Bundles
8. Land of the Bag Snake
9. The Man Who Waved at Trains
10. Peff
11. Four Gongs, Two Drums
12. The Floating World



「Softs」

Roy Babbington: Bass
John Etheridge: Acoustic & Electric guitar
John Marshall: Drums, Percussion
Alan Wakeman: Soprano & Tenor saxophone
Karl Jenkins: Piano, Electric piano, Pianette, String & Mini moog
Mike Ratledge: Synthesizer on 4

1.Aubade
2.The Tale of Taliesin
3.Ban-Ban Caliban
4.Song of Aeolus
5.Out of Season
6.Second Bundle
7.Kayoo
8.The Camden Tandem
9.Nexus
10.One over the Eight
11.Etka


「Alive & Well」


John Marshall: drums and percussion
Karl Jenkins: piano, electric keyboards and synthesizer
John Etheridge: guitars
Rick Sanders: violin
Steve Cook: bass guitar

1. White Kite
2. Eos
3. Odds Bulletts and Blades pt I
4. Odds Bulletts and Blades pt II
5. Song of the Sunbird
6. Puffin
7. Huffin
8. Number Three
9. The Nodder
10. Surrounding Silence
11 Soft Space



その1


その2

Live at the Proms 1970 / Soft Machine

2006-05-28 10:29:31 | Canterbury tree


1. Out - Bloody - Rageous
2. Facelift
3. Esthers Nosejob
 a. Pig
 b. Orange Skin Food
 c. A Door Opens and Closes
 d. Pigling Bland
 e. 10:30 Returns to the Bedroom

 Mike Ratledge: keyboards
 Hugh Hopper: bass
 Elton Dean: alto sax / saxello
 Robert Wyatt: drums / Voice


デビッド・アレン、ケビン・エアーズのいたころを「神話」の時代とするならば、Volume1と2はその「神話」を説き広める広報活動のようなものでした。やがて「神話の時代」から時を経るに従い、「人の国」としてのソフトマシーン作りが始まります。ソフトマシーンが新しい国として選んだのは、ジャズロックという国でした。3rdアルバムは、そんな新しい国造りの宣言ととらえることができると思います。

さて、Live at the Promsですが、形の上では以前紹介したTurns on Paradisoにエルトン・ディーンが加わっただけ。しかも録音が1年しか違わないのですが、内容は全く違っています。Turns on Paradisoが「神話」の説法であるのに対して、こちらは全くのジャズロック、新しい国造り宣言となっています。
収録曲を見ると1曲目と2曲目が3rdからのもの。3曲目はParadisoにも収録されているが、エルトン・ディーンがリードをとることによって見事なジャズロックに変身しています。
2曲目Faceliftも3rdアルバムに収録されたものよりも力強く、明快な演奏になっていると思います。3rdに比べてホーンセクションが抜けた分、エルトン・ディーンが大活躍。ヒュー・ホッパー、マイク・ラトリッジのミニマルミュージック的な繰り返しリズムの上に、サックスのフリーブローが乗っかるという、その後5thまで続くソフトマシーンのフォーマットが、ここで既にでき上がっていたことがわかります。

このアルバム、ほとんど文句の無いできなのですが、若干の不満もあります。録音の都合か、意図的なものかわからないのですが、ロバート・ワイアットのボーカル(というよりボイス・パフォーマンス)がほとんど聞き取れず、不思議な空白の時間帯ができていたりします。そのため、せっかく緊張感のある演奏が、間延びしたものに聞こえてしまいます。
とはいえ、3rd,4thではゲストミュージシャンが参加と5thの録音にはロバート・ワイアットが参加していないということもあり、この4人のメンバーのみで演奏されたソフトマシーン。非常にすっきりとしたアレンジで、かつ力強い。3rdアルバムがどちらかというと実験的であったがゆえに退屈と感じた方はこちらのライブをお薦めしたいです。


この時期のオリジナルアルバム
 3rd: 1970
 4th: 1971
 5th: 1972

3rd:
LP2枚組の実験的な大作。前作までのサイケデリックポップロック的な部分を残しつつ、全体的にジャズロックに向かって歩み出した記念碑的な1枚。マイク・ラトリッジという人、音楽的な背景がどのようなものなのか詳しくないのですが、ミニマルミュージックのような短いフレーズの繰り返しが好きなようです。ヒュー・ホッパーのベースもリフの繰り返しが多いので、この二人のバッキングを聴いていると、現代音楽のような雰囲気があります。ソフトマシーンが、ちょっと知的なジャズロックに聞こえるのは、このふたりのセンスに因るものではないでしょうか。
この3rdアルバム、世間的にはソフトマシーンの傑作アルバムと言われているようですが、前述したように実験的な部分が大きくて、ちょっと退屈になることがあります。実験が全て成功しているわけでも無くて、LP2枚組大作というボリューム全体が一つにまとまっているとは言い難いと思います。まだバラバラ部分も残っていますが、ソフトマシーンというバンドの性格付けができ上がったということで、新たな一歩を歩み出したアルバムというルと思います。
実はソフトマシーンにとって、この「新たな一歩」というのが大きな意味を持っています。どのアルバムを聴いても、前作と似ていて、必ず違った部分が付け加えられています。同じところに立ち止まらず、常に移動し続けていること、それがソフトマシーン。そこに留まるバンドメンバーも、追いかけるファンも大変です。


1. Facelift
2. Slightly all the Time
3. Moon in June
4. Out-Bloody-Rageous

Mike Ratledge : organ and piano
Hugh Hopper : Bass guitar
Robert Wyatt : Drums and vocal
Elton Dean : Sax and saxello
Rab Spall : Violin
Lyn Dobson : Flute ans soprano sax
Nick Evans : Trombone
Jimmy Hastings : Flute and bass clarinet

4th:
1曲目Teethなんて、カッコいいです。ゲストミュージシャンが沢山参加しているので、全体的にビッグバンド的な音作りになっています。正式なメンバーとなったエルトン・ディーンの影響が強くなったのか、フリージャズ的な要素も強く出ています。
しかし、このアルバム聴くたびになんとなくもの悲しい気分になります。ジャケットの写真のせいでしょうか。ロバート・ワイアットが、脱退してしまったせいでしょうか。


1. Teeth
2. Kings and Queens
3. Fletchers Blemish
4. Virtually Part 1
5. Virtually Part 2
6. Virtually Part 3
7.Virtually Part 4

Hugh Hopper - Bass guitar
Mike Ratledge - Organ and piano
Robert Wyatt - Drums
Elton Dean - Saxophone and saxello
Roy Babbington - Double bass
Mark Charig - Cornet
Nick Evans - Trombone
Jimmy Hastings - Alto flute and bass clarinet

5th:
黒字に黒文字で大きく5と書かれたジャケット。一見真っ黒けのこのジャケットに惹かれて最初に買ったソフトマシーンがこのアルバムでした。
ドラムはロバート・ワイアットに代わってA面はフィル・ハワード、B面はジョン・マーシャルという変則的な組み合わせ。しかも、録音直後にエルトン・ディーンが脱退するという、バンドとしては最低(?)の状態。にも関わらず、こういうときに傑作が生まれるのが世の常。このアルバムも、新しい国造りを薦めてきたエルトン・ディーン/ヒュー・ホッパー帝国の完成形といって良いでしょう。

この時期、ジャズロックバンドの目指したものは、電化マイルスバンドだったのだと思います。マイルス・デイビスがビッチズ・ブリュー以降の電化の中で、よりファンキーなもの近づいていったのに比べ、ソフトマシーンはよりクールな物を追い続けていたのではないでしょぅか。5thでは、エルトン・ディーンのフリーブロウが前面に出てきていますが、幻想的でよりクールな世界を作り上げています。ソフトマシーンが辿り着いた幽玄の世界。何物にも束縛されないユートピア音楽であることは間違いありません。


1. All White
2. Drop
3. MC
4. As If
5. LBO
6. Pigling Bland
7. Bone

Elton Dean - Alto sax, saxello, electric piano
Hugh Hopper - Bass guitar
Mike Ratledge - Organ, electric piano
Phil Howard - Drums
John Marshall - Drums
Roy Babbington - Double bass


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参考: SOFT MACHINE


その1

その3


Turns on Paradiso (March 29,1969) / Soft Machine

2006-05-20 20:24:10 | Canterbury tree
先週、新宿に行ったついでにHMVを覗いてきました。ソフトマシーンの「収束」のCD(LPは持っているのですが)があれば買おうかな、と思っていたのですが置いてありませんでした。そのかわり、というか、アメリカのmoonjuneというソフトマシーンファンが作ったレコード会社から出ている「Floating World Live」というライブ版を購入しました。ギターがアラン・ホールズワース。そうです、「収束」の時期のライブです。これは購入せざるを得ないですよね。

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家に帰って、ソフトマシーンCDを探してみると、音源発掘シリーズのようなライブ版が2枚見つかりました。コレクターやマニアでは「ない」ので、あまり音源発掘ライブ版は購入しないのですが、マシーンに関してはこれで時期の違う3枚が揃いました。
いままであまり聴いていなかったのですが、この機会にちょっとばかりまとめて聴いてみました。

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3枚のうち一番時期的に古いのが、このTurns on Paradiso。

こちらのジャケットはよくCD屋で見かけるのですが、同じものだったんですね。

今回初めて気がつきました。

メンバーは
Robert Wyatt: drums / vocals
Hugh Hopper: bass
Mike Ratledge: keyboards
2ndアルバム「Volume2」からホーンがいなくなり、エルトン・ディーンが正式に加入する前のライブになるそうです。
 (後日記:勘違いしていました。ホーンが沢山入っていたのは3rdで、Volume2は3人だけでした)

収録曲は
1. Hulloder
2. Dada was here
3. Thankyou Pierrot Lunaire
4. Have You Ever Been Green?
5. Pataphysical Introduction Pt II
6. As Long As He Lies Perfectly Still
7. Fire Engine Passinf With Bells Clanging
8. Hibou, Anemone and Bear
9. Fire Engine.... (reprise)
10. Pig
11. Orange Skin Food
12. A Door Opens and Closes
13. 10:30 Returns to the Bedroom
ですが、iPodに取り込むためにiTunesでCDを開く(なんだか違和感のある表現ですが・・・)と、1から8までが1トラック、9から13までが1トラックになっていました。尤も、演奏は切れ目無く延々と続いているので、CD全体で一塊みたいなものです。
曲目を調べてみると、全てVolume2からの物でした。ということで、音はVolume2と同様、ラトリッジのオルガンがガーガーゴーゴーと鳴り響き、ワイアットの手数が多いけどでしゃばらないドラムと鼻歌のようなボーカル、そしてヒュー・ホッパーの繰り返しの多いベースによる、サイケデリックなポップス、といった感じです。

最初聴いたときは「これはちょっときついな」と思ったのですが、繰り返し聴くうちに、すっかり慣れてしまい、ラトリッジのキーボードが心地よく感じられるようになりました。(ソフトマシーン中毒症状でしょうか)


この時期のオリジナルアルバム
 The Soft Machine(Volume1): 1968
 Volume2: 1969

Volume1は、幻のオリジナルメンバーからデビッド・アレンが抜けたトリオ。GW中にVolume1のカセットテープを聴いてみたのですが、ソフトマシーン中毒度が低かったためか、今一つピンと来ませんでした。全体的にサイケデリックな時代のポップな感じがするのは、ケビン・エアーズの影響か?

Volume2では、ケビン・エアーズが抜けてヒュー・ホッパーが参加。
人間のタイプ、大きくわけて、とにかくやってみるタイプと、まず考えるタイプに分けられると思います。Volume1のメンバーはどちらかというと前者ではないでしょうか。ヒュー・ホッパーって(ベーシストタイプといいますか)後者なのではないかとおもいます。Volume1と少し毛色が違ってきたのは、ベーシストのタイプの違いかなと思います。
ヒュー・ホッパーの参加とホーンの参加によりジャズ色が強くなりました。サイケデリック・ジャズ・ロック? アシッド・ジャズってやつの走りですかね。

Volume1

1.Hope For Happiness
2.Joy Of A Toy
3.Hope For Happiness (Reprise)
4.Why Am I So Short?
5.So Boot If At All
6.A Certain Kind
7.Save Yourself
8.Priscilla
9.Lullabye Letter
10.We Did It Again
11.Plus Belle Qu'une Poubelle
12.Why Are We Sleeping
13.Box 25/4 Lid

Volume2

RIVMIC MELODIES
1. Pataphysical introduction pt 1
2. A Concise British Alphabet pt 1
3. Hibou, Anemone and Bear
4. A Concise British Alphabet pt 2
5. Hulloder
6. Dada was Here
7. Thank You Pierrot Lunaire
8. Have You ever Been Green?
9. Pataphysical introduction pt 2
10. Out of Tunes

ESTHERS NOSE JOB
11. As long as he lies perfectly still
12. Dedicated to you but you weren't listening
13. Fire engine passing with bells clanging
14. Pig
15. Orange skin food
16. A door opens and closes
17. 10:30 returns to the bedroom

参考: Connect to Soft Machine

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追記:
エルトン・ディーンが今年の2月に亡くなったということを最近知りました。
ソフトマシーンレガシー、今後どうなるんでしょう。


その2


その3

カンタベリー物語 第2章

2006-05-01 11:17:39 | Canterbury tree
B面の始まりです。
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1.Hatfiels and The North
 Lumps
 カンタベリーのスーパーグループ、ハットフィールド・アンド・ザ・ノースの2枚目「ロッターズクラブ」からの曲です。
 ハットフィールド・アンド・ザ・ノースといえば、ベース:リチャード・シンクレア、ギター:フィル・ミラー、ドラム:ピップ・パイルそしてキーボード:デイヴ・スチュワートと、カンタベリー系のど真ん中に位置する4人が集まったバンドとして有名です。カンタベリー入門盤としても、コアマニア向けにもお勧めの1枚です。ただし、真っ向勝負なので、斜に構えたファンにはお勧めしません。 



2.Slapp Happy/Henry Cow
 Europa
 スラハピとヘンリーカウの合体アルバム「悲しみのヨーロッパ」から。ダグマー・クラウゼの突き抜けたボーカルが、落ちぶれたヨーロッパの精いっぱいの「見栄」の様で、哀愁を誘います。
 超知性派アバンギャルドポップスのスラップ・ハッピーと超武闘派インプロビゼイション集団ヘンリーカウの合体は、どう展開するかと思いきや、カウのクリス・カトラーは、ダグマー・クラウゼ奪い取り、アート・ベアーズを立ち上げて、ウシからクマへ乗り換えて、音楽という政治活動へと進んでいってしまったのでした。
離散集合はカンタベリーの得意技とはいえ、スラップ・ハッピーとヘンリー・カウの合体は何だったのでしょう。



3.Matching Mole
 Instant Kitten
 こちらも離散集合の結果生れたバンド、マッチングモールの1stアルバム「マッチング・モール/そっくりもぐら」からの選曲。
 アルバムジャケットの可愛らしさと、1曲目のポップナンバー「オー・キャロライン」にだまされて聞き進んでいくと、あっという間にソフトマシーン初期の渾沌とした世界に引きずり込まれます。フリージャズの影響を受けて、インプロビゼイションに基づいて展開されていく「インスタント・キッチン」。
 2ndアルバム「リトル・レッド・レコード/マッチング・モールの毛語録」では、ロバート・フリップがプロデスュースを引き受け、さてこれからというときに、好事魔多しというのか、パーティーで酔っぱらったロバート・ワイアット、2階から転がり落ちて脊髄を傷めて「天才」といわれたドラマー人生を転換する事を余技なくされてしまいました。(4に続く)



4.Robert Wyatt
 Sea Song
 不慮の事故で、ドラマー生命を絶たれてしまったロバート・ワイアット。人生のどん底を眺めた事でしょう。しかし、人生の海の底の底からはい上がって来たときに、「Rock Bottom」という名盤を引き連れてきてくれました。
 思い起こせば、ロバート・ワイアット、マイク・ラトリッジ、ケビン・エアーズ、パイ・ヘスティングといった連中中心になって活動を始めたワイルドフラワーズ。その活動の中心がカンタベリー。カンタベリー・ツリーと呼ばれるカンタベリー派のミュージシャン群の根っことなったのがこの人。「Rock Bottom」良き仲間に恵まれた永遠の名作です。



5.Gilgamesh
 We Are All~Someone Else's Food~Jamo and Other Boating Disaster~From The Holiday of the Same Name
 ナショナル・ヘルスで名を馳せた、アラン・ゴウエン率いるギルガメシュの1stアルバム「ギルガメシュ」からの1曲。
 2ndアルバムは、ベースにヒュー・ホッパーが加わり、ソフトマシーンに近くなったので良く聞いたのですが、この1stアルバム実はほとんど記憶がありません。曲の記憶も、聞いたという記憶もほとんど無いです。なんとなく趣味に合わないというだけなんですけど。
 その中で、このWe Are Allは輝いて聞こえました。スピード感と緊張感がある良い曲だと思います。



6.Soft Machine
 Snodland/Penny Hitch/Block/Down the Road/The German Lesson/The Franch Lesson
 初期のサイケデリックがかったポップス期。しだいにヒュー・ホッパー/エルトン・ディーン色が強くなった中期。そしてカール・ジェンキンス加入によりよりジャズロック/フュージョンに傾倒した後期。古くからのソフトマシーンのファンには、この後期がいたく評判悪いのですが、この「7」や次作「収束」は素晴らしいと思います。
 アルバムで言うと「6」から参加したジェンキンスが、ベースにロイ・バビントンを迎え、ソフトマシーンを完全にコントロールしたのが「7」。「6」までに比べるとリズム感が一変し、フュージョン系のバンドに変身しました。
 とはいえ、そこはイギリスのバンド、RTFやウェザー・レポートとは違い、知的に屈折しています。カールジェンキンスのオーボエの音がどこか遠く、懐かしい世界から聞こえてくるようなに響きます。



7.Soft Machine
 Memory
 初期メンバーによる、デビュー前の作品。いろいろな名前で発売されているアルバムのようですが、これは「At the beginning」というアルバムタイトルでした。このアルバムは、ソフトマシーン1stに近い自由奔放な内容です。
 そんな中で
  I know I cannot leave this place
  full of memories
  Things like the way they knew us
  all over town
と、世界一悲しい声でロバート・ワイアットが切々と歌い上げるこの曲が、とても印象的でした。

カンタベーリー物語

2006-04-30 01:25:35 | Canterbury tree
手元に1本のカセットテープがあります。
ソニーの D というシリーズで120分テープです。多分、中学か高校の頃に買ったテープだと思います。120分テープなんて今もあるのでしょうか? 120分テープは、録音時間を長くとるために、ベースとなるフィルムが薄くて、伸びたり絡まったりしやすいと聞いた事がありました。じっさい、このテープも一度カセットデッキに絡まってしまい、中ほどでしわが寄ったりはげたりして音飛びが起きます。
そんなテープですが、先代の車に乗っていたとき、繰り返し良く聞きました。

テープの中身はというと、大学時代に買いあさっていたカンタベリー系列のジャズロック。
カンタベリー・ロックというのは「チューブラーベルズ」で有名になったヴァージンレコードが積極的に開拓した、キャラヴァン/ソフトマシーン系列のバンドを指します。いろいろなバンドがありますが、各バンドの離散集合が激しく、パーソネルをみているとだいたいどのアルバムも、同じような人たちが参加しています。従って、音楽性も似たり寄ったりで、キーボード(オルガン)を主体としたジャズロックというだいたい同じような音を出しています。その、ちょっとくぐもったオルガンの音と、暑苦しくないジャズロックに惹かれて、カンタベリー系のアルバムを随分買ったものでした。
このテープは、これらのカンタベリー系バンドの気に入った曲を集めて作った私家版のアンソロジーです。自分の好きな曲ばかリ集めているので、車の運転にちょっと疲れたな、というときに気分転換のために良く聞いていました。

では、中身の紹介。まずはA面から。
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1.Caravan
 Can't Be Long Now~Fran?oise~For Richard~Walock
 一般には「リチャードのために/For Richard」として知られている曲の全曲版のライブ演奏です。「カンタベリー物語」というキャラバンのベスト版に修められた曲です。静かなヴォーカルから始まるこの曲ですが、各自の演奏が次第に絡まり始め高まりを見せていくというキャラバンの名曲にして名演奏です。「For Richard」のライブというと、「Caravan & the New Symphonia」というオーケストラとの共演物がありますが、こちらの方がシンプルで、できが良です。「カンタベリー物語」がCD化されていないので、現在どのアルバムでこの演奏が聴けるのか、わかりません。


2.Camel
 Flight of the Snow Goose~Preoeration
 キャメルはカンタベリーじゃないですね。似た感じの曲想だったのでこのテープに収めています。
 この曲はキャメルの出世作「スノーグース」からのものです。灯台守のラヤダーの下で傷を癒したスノーグースが去ってゆき、ラヤダーも戦争に出かてしまう、という悲しい物語の終わりのエンディング部分です。元気になったスノーグースが再び姿を現す「Flight of the Snow Goose」は喜びに満ちあふれています。


3.Gong
 A Sprinking of Clouds
 「見えないラジオの妖精」3部作の最後を締めくくる「You」からの一曲。ハイ・T・ムーンウィードことティム・ブレイクの演奏する「Aサイズのシンシンア」=シンシアサイズA=シンセサイザー中心の、ちょっとトランスかがった曲です。Gongは「カマンベール・エレクトリック」からこの「You」までどの曲も好きなんですが、多分演奏時間的な観点からこの曲を選んだのでしょう。タイトル通り、雲のきらめきのような美しい曲です。


4.David Allen
 Only Make Love If You Want It
 Gongのリーダーだったデビッド・アレンの「Now is the happiest time of your life」からの一曲。 SF的かつヒッピー的な「見えないラジオの妖精」完結後のデビッド・アレンのソロアルバム。リラックスした感じのアコースティックな音作り。とはいえ、この人の事だから、どこかすっ飛んでいます。


5.Gong
 Mandrake
 再びゴング。ですが、こちらはデビッド・アレン脱退後のアルバム「シャマル」からの選曲。宇宙的だったゴングの音が、地球的・・・というか、ワールドミュージック? 方向性を失った渾沌とした時期のアルバムです。この後、ゴングはドラムのピエール・モランを中心に、超絶技巧フュージョンバンドへと変身していくのですが、このあとは聞いていません。
 マンドレイク。麻酔に使われていたそうですが、神経性の毒をもった危険な植物です。この植物を引き抜くときに、悲しい叫び声を発するそうです。その声のあまりの悲しさに、それを聞いた人間は死んでしまうという言い伝えがあります。
 マンドレイク。美しさの中にも、悲しみをたたえた曲です。


6.Khan
Stranded
スティーブ・ヒレッジがゴング参加前に在籍したカーンの「スペース・シャンティ」からの曲。キーボードは、デイブ・スチュアート。宇宙ステーション(?)の描かれた不思議なジャケット。音は、軽めのギターとキーボードが中心となった音作り。つまりカンタベリー・ロックその物といった感じの音です。
 この曲はA面の2曲目。アルバムタイトルになっている「スペース・シャンティ」に続いて始まる軽めの曲。「街の中から逃げ出して、美しい浜辺で君と一緒に暮らそう」(超意訳)みたいな、なんだか宇宙船と関係ない歌ですが、カンタベリー・ジャズ・ロックのなかの佳曲だと思います。


7.Steve Hillage
Aftergrid:Sun Moon Surfing~The Big Wave and Boat of Hermes~The Silverladder~Astral Meadows~The Lafta Yoga Song~Glidding~The Golden Vide/Outglid
 カンタベリーロック最大にして最高の組曲「魚の出て来る日/Fish Rising」。その最後楽章がこのAftergridです。
 エレクトリックジプシー、スティーブ・ヒレッジのソロといいつつも、ゴングのメンバーがしっかり脇を固め、さらにカンタベリー・オールスターズという感のある豪華メンバー。ゴングという枠を取り払って、ステーブ・ヒレッジがギターを弾きまくっています。ゲスト陣もそれに応えて、音楽性と精神性の高まりを感じる一枚。名盤ですね。

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以上がA面の60分。
B面は、またの機会に・・・