中国は恐らく世界で一番「国産スマホ」の競争が激しい国です。国産スマホとして、HUAWEI(ファーウェイ/華為/华为)、OPPO(オッポ)、Xiaomi(シャオミ/小米)、Vivo(ビボ)、honor(栄耀、※ファーウェイから分離)などのメーカーが激しいシェア争いをしており、どのメーカーもこぞって「売れてるイケメン俳優」をイメージキャラクターに起用しています。
中国のスマホはSIMカードと本体が分離しているため、通信会社は関係なくスマホメーカーが単独で広告を出しています。
iPhoneの中国シェアはここ数年約20%(約2.5億ユーザー)を維持しており依然として巨大市場ですが、iPhoneは特定の芸能人を使った派手な広告を出すことはありません。
サムスンの中国市場シェアは現在1%に満たず、中国市場から追い出された形になっています。
したがって、iPhoneを除外した約8割のシェアを中国スマホ各社が争う様相となり、「売れてる芸能人」を起用してブランドイメージの維持向上に務めています。
HUAWEI(ファーウェイ) nova12シリーズ 若手俳優の易烊千玺 (イー・ヤンチェンシー/ジャクソン・イー)がイメージキャラクター。2018年からの長期広告提携。
易烊千玺 (イー・ヤンチェンシー)2000年11月28日生まれ。湖南省出身。アイドルグループ「TFBOYS」の最年少メンバーとして10代前半から芸能活動を開始。
2019年に公開された映画「少年の君」の演技が評価され主演俳優として多数の賞を受賞。以後「1950 鋼の第7中隊」(原題:長津湖)、「1950 水門橋決戦」(原題:長津湖の水門橋)、「満江紅」など立て続けに大作映画に主演。「長安二十四時」(2019年放送)に出演以降、ほとんどドラマには出ておらず、もっぱら映画俳優として活動している。
2022年7月に国家話劇院の入職資格試験の件で叩かれたことがあるが、それ以外にはスキャンダルやネガティブなニュースがほとんどない優秀なアイドル。
OPPO(オッポ)Reno11シリーズ 美形俳優の朱一龍(チュー・イーロン)がイメージキャラクター。
朱一龍(チュー・イーロン) 1988年4月16日生まれ、武漢出身。ブロマンスドラマ「鎮魂」の教授役でブレイク。
主演映画「星明かりを見上げれば(人生大事)」(2022年公開)、「ロスト・イン・ザ・スターズ/妻消えて(消失的她)」(2023年公開)が立て続けに大ヒット(Netflixで配信中)。これまでの温和で紳士的なイケメンのイメージを壊して演技の幅を広げた。
シャオミ(Xiaomi)Redmiシリーズ イメージキャラクター王一博(ワンイーボー) 2019年からXiaomiの商品ラインRedmi(レッドミー/紅米)の長期イメージキャラクターを務めている。
ドラマ「陳情令」のヒットで俳優活動がメインになっているが、元々はボーイズグループのメンバーで実力のあるダンサー。1997年8月5日生まれ、10代で中韓混合グループ「UNIQ」の一員としてデビュー。数多くの企業の広告に出ており、所属事務所YUEHUA(楽華)の稼ぎ頭。
honor(栄耀)栄耀100シリーズ 俳優・楊洋(ヤンヤン)。
1991年9月9日生まれ、上海出身、名門の解放軍芸術学院で舞踊学校で舞踊を学ぶ。
オンラインゲームと古装ファンタジーを絡めた恋愛ドラマ「シンデレラはオンライン中!」(原題:微微一笑很傾城)(2016年配信)で大ブレイク。それ以前にも「左耳」「盗墓筆記」など多数のドラマに出演。2007年16歳のとき「紅楼夢」の主人公・賈寶玉の子ども時代役を演じてドラマデビュー。幼い頃から舞踊を学んでおり芸歴は長い。
楊洋(ヤンヤン)は比較的若い頃から売れた俳優で、中国ウェブドラマの発展を牽引したイケメン俳優。最近では「且試天下」などファンタジー時代劇にも出ている。
honor(栄耀)は元々ファーウェイ傘下のラインナップ。ファーウェイ本体のPシリーズ、Mateシリーズより低価格の商品ラインだった。米国制裁の影響もありファーウェイはhonorを2020年に分離。
honorのイメージキャラクターはこないだまで「山河令」でブレイクした俳優・龚俊(ゴンジュン)でしたが、新シリーズの発売に合わせて新たなイメージキャラクターを立てることも珍しくありません。
そして最近、中国スマホ広告戦線にまたニューフェイスが加わりました。
Vivoが新商品S18シリーズの広告に、若手イケメン俳優の張凌赫(チャン・リンホー)と張晚意(チャン・ワンイー)を起用したのです。
写真左:張晚意(チャン・ワンイー) 写真右:張凌赫(チャン・リンホー)
張凌赫(チャン・リンホー) 1997年12月30日生まれ、江蘇省出身 ドラマ「蒼蘭訣」(2022年配信)に出演して一躍有名に。
公称身長190cmの長身。南京の難関大学「南京師範大学」卒業の秀才キャラでもある。最近では「寧安如夢」、「雲之羽」など立て続けに古装ドラマの主役を演じている。また、アニメ化された耽美小説「天官賜福」のドラマ版で主役の一人・花城役で出演すると言われており、他にも放送待ちのドラマが多数ある。
張晚意(チャン・ワンイー) 1994年4月22日生まれ、湖北省出身。ヤン・ズー主演のドラマ「長相思」(2023年放送)出演を機に大ブレイク。新人というわけではなく、10代の頃から俳優活動をしておりキャリアは長い。どちらかというと遅咲きだが、中国は若いときからキャリアを積み、30歳前後になってブレイクする俳優は少なくない。
張凌赫と張晚意はこの1、2年の間にメジャーになった俳優で、易烊千玺や王一博と比べると一般的な知名度はやや劣ります。
しかし、Vivoは相対的に低価格路線で若年ユーザーをターゲットとしており、上昇気流に乗っている新手のイケメンを投入するというのがVivoの戦略です。
なお、Vivo、OPPO、Xioamiなどの中国スマホは東南アジアで高いシェアを占めています。
スマホ各社は熾烈な競争をしているとはいえ、広告スタイルとしてはかなりの横並びといえます。
まず、各社揃ってイケメン俳優、つまり男性を広告に起用しています。過去にディリラバ(ウイグル出身の美人女優)がOPPOの広告に出ていたこともありましたが、基本的にスマホ広告はイケメン若手俳優に占拠されています。
いま中国スマホの広告に出ているタレントは、いずれも素晴らしい成果を収めてきた人たちです。
10代の頃から中国芸能界で活躍してきた易烊千玺や王一博、コロナ規制の中でも主演映画をヒットさせた朱一龍、新手のイケメン俳優として頭角を表す張凌赫らは中国芸能界の開拓者であり成功者です。
スマホは生活、仕事、娯楽の必需品であり、スマホ一台でビジネスを興すことも不可能ではなく、スマホ決済、オンラインバンク利用率が極めて高い中国ではスマホは金銭取引に直結し、あらゆることがスマホで処理されます。
スマホの広告に成功の象徴といえる「いま一番売れている芸能人」を起用するのは、ユーザーに成功のイメージを植え付けることが狙いの一つであると思われます。
なお、中国では広告にもセンサーシップ(検閲審査)があり、屋外広告物の掲出は関連当局に申請する必要があります。
広告に使用する単語、文言についてもNGキーワードが多数あり、センサーシップをスムーズに通過させるためにも、屋外広告物には文字自体があまり使用されず、メッセージ性のある広告はほとんどありません(政府広告は除く)。
結果的に、商品と芸能人を隣に並べただけの単純な構図の写真広告となり、広告として創意工夫があるとは言えません。
だからこそ、広告は芸能人自身の持つ知名度やイメージに大きく依存しており、起用する芸能人がどれだけインパクトを与え、商品認知に貢献できるかが重要となります。
中国のスマホはSIMカードと本体が分離しているため、通信会社は関係なくスマホメーカーが単独で広告を出しています。
iPhoneの中国シェアはここ数年約20%(約2.5億ユーザー)を維持しており依然として巨大市場ですが、iPhoneは特定の芸能人を使った派手な広告を出すことはありません。
サムスンの中国市場シェアは現在1%に満たず、中国市場から追い出された形になっています。
したがって、iPhoneを除外した約8割のシェアを中国スマホ各社が争う様相となり、「売れてる芸能人」を起用してブランドイメージの維持向上に務めています。
HUAWEI(ファーウェイ) nova12シリーズ 若手俳優の易烊千玺 (イー・ヤンチェンシー/ジャクソン・イー)がイメージキャラクター。2018年からの長期広告提携。
易烊千玺 (イー・ヤンチェンシー)2000年11月28日生まれ。湖南省出身。アイドルグループ「TFBOYS」の最年少メンバーとして10代前半から芸能活動を開始。
2019年に公開された映画「少年の君」の演技が評価され主演俳優として多数の賞を受賞。以後「1950 鋼の第7中隊」(原題:長津湖)、「1950 水門橋決戦」(原題:長津湖の水門橋)、「満江紅」など立て続けに大作映画に主演。「長安二十四時」(2019年放送)に出演以降、ほとんどドラマには出ておらず、もっぱら映画俳優として活動している。
2022年7月に国家話劇院の入職資格試験の件で叩かれたことがあるが、それ以外にはスキャンダルやネガティブなニュースがほとんどない優秀なアイドル。
OPPO(オッポ)Reno11シリーズ 美形俳優の朱一龍(チュー・イーロン)がイメージキャラクター。
朱一龍(チュー・イーロン) 1988年4月16日生まれ、武漢出身。ブロマンスドラマ「鎮魂」の教授役でブレイク。
主演映画「星明かりを見上げれば(人生大事)」(2022年公開)、「ロスト・イン・ザ・スターズ/妻消えて(消失的她)」(2023年公開)が立て続けに大ヒット(Netflixで配信中)。これまでの温和で紳士的なイケメンのイメージを壊して演技の幅を広げた。
シャオミ(Xiaomi)Redmiシリーズ イメージキャラクター王一博(ワンイーボー) 2019年からXiaomiの商品ラインRedmi(レッドミー/紅米)の長期イメージキャラクターを務めている。
ドラマ「陳情令」のヒットで俳優活動がメインになっているが、元々はボーイズグループのメンバーで実力のあるダンサー。1997年8月5日生まれ、10代で中韓混合グループ「UNIQ」の一員としてデビュー。数多くの企業の広告に出ており、所属事務所YUEHUA(楽華)の稼ぎ頭。
honor(栄耀)栄耀100シリーズ 俳優・楊洋(ヤンヤン)。
1991年9月9日生まれ、上海出身、名門の解放軍芸術学院で舞踊学校で舞踊を学ぶ。
オンラインゲームと古装ファンタジーを絡めた恋愛ドラマ「シンデレラはオンライン中!」(原題:微微一笑很傾城)(2016年配信)で大ブレイク。それ以前にも「左耳」「盗墓筆記」など多数のドラマに出演。2007年16歳のとき「紅楼夢」の主人公・賈寶玉の子ども時代役を演じてドラマデビュー。幼い頃から舞踊を学んでおり芸歴は長い。
楊洋(ヤンヤン)は比較的若い頃から売れた俳優で、中国ウェブドラマの発展を牽引したイケメン俳優。最近では「且試天下」などファンタジー時代劇にも出ている。
honor(栄耀)は元々ファーウェイ傘下のラインナップ。ファーウェイ本体のPシリーズ、Mateシリーズより低価格の商品ラインだった。米国制裁の影響もありファーウェイはhonorを2020年に分離。
honorのイメージキャラクターはこないだまで「山河令」でブレイクした俳優・龚俊(ゴンジュン)でしたが、新シリーズの発売に合わせて新たなイメージキャラクターを立てることも珍しくありません。
そして最近、中国スマホ広告戦線にまたニューフェイスが加わりました。
Vivoが新商品S18シリーズの広告に、若手イケメン俳優の張凌赫(チャン・リンホー)と張晚意(チャン・ワンイー)を起用したのです。
写真左:張晚意(チャン・ワンイー) 写真右:張凌赫(チャン・リンホー)
張凌赫(チャン・リンホー) 1997年12月30日生まれ、江蘇省出身 ドラマ「蒼蘭訣」(2022年配信)に出演して一躍有名に。
公称身長190cmの長身。南京の難関大学「南京師範大学」卒業の秀才キャラでもある。最近では「寧安如夢」、「雲之羽」など立て続けに古装ドラマの主役を演じている。また、アニメ化された耽美小説「天官賜福」のドラマ版で主役の一人・花城役で出演すると言われており、他にも放送待ちのドラマが多数ある。
張晚意(チャン・ワンイー) 1994年4月22日生まれ、湖北省出身。ヤン・ズー主演のドラマ「長相思」(2023年放送)出演を機に大ブレイク。新人というわけではなく、10代の頃から俳優活動をしておりキャリアは長い。どちらかというと遅咲きだが、中国は若いときからキャリアを積み、30歳前後になってブレイクする俳優は少なくない。
張凌赫と張晚意はこの1、2年の間にメジャーになった俳優で、易烊千玺や王一博と比べると一般的な知名度はやや劣ります。
しかし、Vivoは相対的に低価格路線で若年ユーザーをターゲットとしており、上昇気流に乗っている新手のイケメンを投入するというのがVivoの戦略です。
なお、Vivo、OPPO、Xioamiなどの中国スマホは東南アジアで高いシェアを占めています。
スマホ各社は熾烈な競争をしているとはいえ、広告スタイルとしてはかなりの横並びといえます。
まず、各社揃ってイケメン俳優、つまり男性を広告に起用しています。過去にディリラバ(ウイグル出身の美人女優)がOPPOの広告に出ていたこともありましたが、基本的にスマホ広告はイケメン若手俳優に占拠されています。
いま中国スマホの広告に出ているタレントは、いずれも素晴らしい成果を収めてきた人たちです。
10代の頃から中国芸能界で活躍してきた易烊千玺や王一博、コロナ規制の中でも主演映画をヒットさせた朱一龍、新手のイケメン俳優として頭角を表す張凌赫らは中国芸能界の開拓者であり成功者です。
スマホは生活、仕事、娯楽の必需品であり、スマホ一台でビジネスを興すことも不可能ではなく、スマホ決済、オンラインバンク利用率が極めて高い中国ではスマホは金銭取引に直結し、あらゆることがスマホで処理されます。
スマホの広告に成功の象徴といえる「いま一番売れている芸能人」を起用するのは、ユーザーに成功のイメージを植え付けることが狙いの一つであると思われます。
なお、中国では広告にもセンサーシップ(検閲審査)があり、屋外広告物の掲出は関連当局に申請する必要があります。
広告に使用する単語、文言についてもNGキーワードが多数あり、センサーシップをスムーズに通過させるためにも、屋外広告物には文字自体があまり使用されず、メッセージ性のある広告はほとんどありません(政府広告は除く)。
結果的に、商品と芸能人を隣に並べただけの単純な構図の写真広告となり、広告として創意工夫があるとは言えません。
だからこそ、広告は芸能人自身の持つ知名度やイメージに大きく依存しており、起用する芸能人がどれだけインパクトを与え、商品認知に貢献できるかが重要となります。