コロナウィルスの流行により中国でもライブやコンサートができない日々が続いています。映画館、演劇、野外ステージ等は座席数・規模を制限する形で再開されていますが、アリーナホールを使った大規模なコンサートは再開の見込みが立っていません。海外のアーティストが来てコンサートを開くなど、とてつもなく先のことのように思われます。
日本では、夏頃から無観客による有料ライブ配信が頻繁に行わており、一部は中国向けにも配信されています。
日本アーティストの中で、有料配信ライブをいち早く中国向けにも配信したのは、澤野弘之とKing Gnuだと思います。
2020年8月6日、8月7日「澤野弘之 LIVE “BEST OF VOCAL WORKS [nZk]”」(6月に開催予定していたライブの代替無観客ライブ)
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/hiroyukisawano/liveBVWnZk/
配信プラットフォーム「Stagecrowd」(ステージクラウド)が、中国の動画サイト「bilibili動画」の中に公式アカウントを開設し、bilibili動画上で澤野弘之のライブを有料配信しました。
bilibili動画はアニメ、ゲーム、UGCに強い動画サイトで、日本サブカル好きが特に多く集まるプラットフォームです。澤野弘之は中国アニメファンの間で非常に人気があり、昨年2019年9月の澤野弘之上海コンサートもSMEとbilibili動画の主催で開催されています。
チケット価格は、日本:1日視聴券 3,500円 2日間視聴券 6,800円 (見逃し配信あり)
中国:1日視聴券 199元(約3,100円) 2日間視聴券 399元(約6,200円)(見逃し配信なし)
中国では見逃し配信がない分、若干安い値段で販売されたのではと思われます。
bilibili上で配信されると、中国視聴者はアリペイやWechatペイなど人民元電子決済で簡単に支払いができて、地域制限を受けずに視聴することができます。
同じ方式で、King Gnuと乃木坂46のコンサートも中国配信されています。
2020年8月30日(日)『King Gnu Streaming Live』
日本では、映像配信サービス「Stagecrowd」(ステージクラウド)で配信。チケット価格:3,500円
https://clubgnu.com/1579516647/
中国での配信価格は230元で、日本円に換算すると約3,500円です。
Stagecrowdの有料配信ライブは、基本的に日本と同じ価格で中国向けにも配信するという方針を取っているようです。
中国向け配信購入サイトにも、中国価格230元(一般販売価格3,500円)と明記されています。
「Stagecrowd」(ステージクラウド):https://stagecrowd.live(ソニー・ミュージック系の映像配信サービス)
2020年10月28日(水)乃木坂46 白石麻衣 卒業コンサート
http://www.nogizaka46.com/smph/shiraishimai_graduationconcert/
日本配信一般チケット:3,500円 中国配信価格:229元(日本円に換算すると約3,500円)
中国では「Stagecrowd」のbilibili公式アカウントを通じて配信。
さらに、来週11月3日は嵐の「アラフェス 2020 at 国立競技場」も中国配信される予定です。
アラフェスは、網易雲音楽(NetEase CloudMusic)というアプリ上で中国独占配信されます。
2020年11月3日(火)嵐「アラフェス 2020 at 国立競技場」
https://online.johnnys-net.jp/s/jno/page/ARAFES2020
中国から視聴できるのは、日本時間19:30から始まる「アラフェス 2020 PART2」のみです。
中国では、60元(約1,000円)で「アラフェス 2020 PART2」を同時視聴することができます。(アーカイブ配信なし)
11月3日のアラフェス配信チケットは、日本での一般販売価格は5,800円、人民元に換算すると約350元です。
それが、60元(約1,000円)という日本の5分の1以下の値段に設定されており、一部の中国ファンからは「どうしてこんなに安いの?」と疑問の声が上がっています。
「高すぎる!」という抗議はよくありますが、「安すぎる」といって物議を醸すというのはなかなか珍しい事態です。
ファンの気持ちとしては、
「5人が丹精込めて作ったコンサートをこんなに安い値段で販売するなんて不合理。」
「1000円を5人(嵐のメンバーは5人なので)で割ったら一人200円?」
「新規ファンを引き込むためには値段を低く設定するのはいいのかもしれないけれど、活動休止ライブでそんなことをする必要がある?」
といった疑問が投げかけられています。
しかし冷静な第三者は、「安くて一体何が悪いのか」と反論しています。また、「安すぎると文句を言ってる人は、アーティストに高額をつぎ込むことで自己満足したいだけなのでは?つぎ込むお金の額でしかアーティストへの愛を証明することはできないのか?」という意見もあります。
確かに、中国の有料配信ライブの相場からすると60元でも安くはありません。
また、初の試みなので、トラブルなく配信できるのかという不安もあり、しかもアーカイブ配信もないことから安価に設定しているのかもしれません。
いずれにしても、いくらで配信するかは主催者とプラットフォームの取り決めであり、外部からの憶測では分からない何らかの条件や戦略が反映された金額と思われます。
網易雲音楽(NetEase CloudMusic)は中国の三大音楽配信アプリの一つですが、強力なライバルがいます。
中国音楽アプリのシェア1位はテンセント傘下の「QQ音楽」です。「QQ音楽」は、11月7日に「ONE OK ROCK」のライブを有料配信する予定です。これは同時配信ではなく、10月11月に行われたライブの期間限定配信です。
2020年10月11日『ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE』(ZOZOマリンスタジアム)
https://20201011.oneokrock.com/ja/aid/ticket/list
日本ではプレミアムチケット:6,500円 一般チケット:5,000円で販売されました(3日間のアーカイブ配信付き)。
中国では2020年11月7日19:00~(24時間のアーカイブ配信付き)「QQ音楽」にて独占配信 価格:280元
中国での販売価格は280元、日本円に換算すると約4,700円です。
「ONE OK ROCK」は中国でもかなり知られているバンドで、過去に上海で2回コンサートを開いています。中国のバンド少年は憧れているバンドとしてよく「ONE OK ROCK」の名前を挙げます。
一般の中国人の感覚からすると、有料配信ライブの価格として280元(約4,700円)は「高い」と感じるようです。
ただし、コアな中国ファンは「日本の定価である5,000円よりも少し安い。正当な価格だ。」と主張しています。
また、「ファンではない人が高いとか安いとか口出す必要はない。」「高いと言っている人はその人にとっての音楽の価値が低いだけ。」とのコメントもみられます。
もちろん、中国のアーティストも配信ライブを行っています。配信ライブが始まった時期は比較的早く、5月31日には五月天(メイデイ)、7月11日にはイーソン・チャンが配信ライブを行っています。これらはいずれも無料配信でした。当時はまだ外出・移動規制が厳しかったので、自宅で過ごす人々に向けたチャリティ目的で制作されました。
中国でもライブ・コンサートができない時期が続いている以上、有料配信ライブの動きは広がっています。
配信チケット価格は暗中模索の状態ではありますが、中国大陸のアーティストの場合、20元から30元(約320円~470円)が相場とみらています。
2020年11月3日 霍尊(フオ・ズン/ヘンリー・フオ)の配信コンサート。配信価格:25元(約400円)
霍尊は繊細なソプラノボイスが特徴的な男性歌手。中国ドラマ『大明皇妃』の主題歌『一次心』など多くのドラマOSTを歌っています。180cmのモデルのようなスタイルに長髪の中性的なルックス。
コロナウィルスの影響で日本のエンタメ界にもオンライン化の波が押し寄せました。
「乃木坂46 白石麻衣卒業コンサート」に至っては、ABEMA、hulu、RakutenTVなど9つのプラットフォームで同時配信されました。また、ZAICOなど新しいプラットフォームは、海外視聴者向けの支払い方法にも対応しており、思わぬ形でグローバル化が進んでいます。ただ、異例の事態の中で配信ライブを制作しているので、海外視聴者のことまで考慮しながら企画・制作するのは至難の業なのではと思います。
ジャニーズが中国向けに嵐のライブを同時配信するというのも画期的なことです。しかも60元(約1000円)であれば見てみようという人も少なくないと思います。あらゆる面で過去に例のないチャレンジ、ライブ配信の成功を祈っています。
日本では、夏頃から無観客による有料ライブ配信が頻繁に行わており、一部は中国向けにも配信されています。
日本アーティストの中で、有料配信ライブをいち早く中国向けにも配信したのは、澤野弘之とKing Gnuだと思います。
2020年8月6日、8月7日「澤野弘之 LIVE “BEST OF VOCAL WORKS [nZk]”」(6月に開催予定していたライブの代替無観客ライブ)
https://www.sonymusic.co.jp/Music/Info/hiroyukisawano/liveBVWnZk/
配信プラットフォーム「Stagecrowd」(ステージクラウド)が、中国の動画サイト「bilibili動画」の中に公式アカウントを開設し、bilibili動画上で澤野弘之のライブを有料配信しました。
bilibili動画はアニメ、ゲーム、UGCに強い動画サイトで、日本サブカル好きが特に多く集まるプラットフォームです。澤野弘之は中国アニメファンの間で非常に人気があり、昨年2019年9月の澤野弘之上海コンサートもSMEとbilibili動画の主催で開催されています。
チケット価格は、日本:1日視聴券 3,500円 2日間視聴券 6,800円 (見逃し配信あり)
中国:1日視聴券 199元(約3,100円) 2日間視聴券 399元(約6,200円)(見逃し配信なし)
中国では見逃し配信がない分、若干安い値段で販売されたのではと思われます。
bilibili上で配信されると、中国視聴者はアリペイやWechatペイなど人民元電子決済で簡単に支払いができて、地域制限を受けずに視聴することができます。
同じ方式で、King Gnuと乃木坂46のコンサートも中国配信されています。
2020年8月30日(日)『King Gnu Streaming Live』
日本では、映像配信サービス「Stagecrowd」(ステージクラウド)で配信。チケット価格:3,500円
https://clubgnu.com/1579516647/
中国での配信価格は230元で、日本円に換算すると約3,500円です。
Stagecrowdの有料配信ライブは、基本的に日本と同じ価格で中国向けにも配信するという方針を取っているようです。
中国向け配信購入サイトにも、中国価格230元(一般販売価格3,500円)と明記されています。
「Stagecrowd」(ステージクラウド):https://stagecrowd.live(ソニー・ミュージック系の映像配信サービス)
2020年10月28日(水)乃木坂46 白石麻衣 卒業コンサート
http://www.nogizaka46.com/smph/shiraishimai_graduationconcert/
日本配信一般チケット:3,500円 中国配信価格:229元(日本円に換算すると約3,500円)
中国では「Stagecrowd」のbilibili公式アカウントを通じて配信。
さらに、来週11月3日は嵐の「アラフェス 2020 at 国立競技場」も中国配信される予定です。
アラフェスは、網易雲音楽(NetEase CloudMusic)というアプリ上で中国独占配信されます。
2020年11月3日(火)嵐「アラフェス 2020 at 国立競技場」
https://online.johnnys-net.jp/s/jno/page/ARAFES2020
中国から視聴できるのは、日本時間19:30から始まる「アラフェス 2020 PART2」のみです。
中国では、60元(約1,000円)で「アラフェス 2020 PART2」を同時視聴することができます。(アーカイブ配信なし)
11月3日のアラフェス配信チケットは、日本での一般販売価格は5,800円、人民元に換算すると約350元です。
それが、60元(約1,000円)という日本の5分の1以下の値段に設定されており、一部の中国ファンからは「どうしてこんなに安いの?」と疑問の声が上がっています。
「高すぎる!」という抗議はよくありますが、「安すぎる」といって物議を醸すというのはなかなか珍しい事態です。
ファンの気持ちとしては、
「5人が丹精込めて作ったコンサートをこんなに安い値段で販売するなんて不合理。」
「1000円を5人(嵐のメンバーは5人なので)で割ったら一人200円?」
「新規ファンを引き込むためには値段を低く設定するのはいいのかもしれないけれど、活動休止ライブでそんなことをする必要がある?」
といった疑問が投げかけられています。
しかし冷静な第三者は、「安くて一体何が悪いのか」と反論しています。また、「安すぎると文句を言ってる人は、アーティストに高額をつぎ込むことで自己満足したいだけなのでは?つぎ込むお金の額でしかアーティストへの愛を証明することはできないのか?」という意見もあります。
確かに、中国の有料配信ライブの相場からすると60元でも安くはありません。
また、初の試みなので、トラブルなく配信できるのかという不安もあり、しかもアーカイブ配信もないことから安価に設定しているのかもしれません。
いずれにしても、いくらで配信するかは主催者とプラットフォームの取り決めであり、外部からの憶測では分からない何らかの条件や戦略が反映された金額と思われます。
網易雲音楽(NetEase CloudMusic)は中国の三大音楽配信アプリの一つですが、強力なライバルがいます。
中国音楽アプリのシェア1位はテンセント傘下の「QQ音楽」です。「QQ音楽」は、11月7日に「ONE OK ROCK」のライブを有料配信する予定です。これは同時配信ではなく、10月11月に行われたライブの期間限定配信です。
2020年10月11日『ONE OK ROCK 2020 “Field of Wonder” at Stadium Live Streaming supported by au 5G LIVE』(ZOZOマリンスタジアム)
https://20201011.oneokrock.com/ja/aid/ticket/list
日本ではプレミアムチケット:6,500円 一般チケット:5,000円で販売されました(3日間のアーカイブ配信付き)。
中国では2020年11月7日19:00~(24時間のアーカイブ配信付き)「QQ音楽」にて独占配信 価格:280元
中国での販売価格は280元、日本円に換算すると約4,700円です。
「ONE OK ROCK」は中国でもかなり知られているバンドで、過去に上海で2回コンサートを開いています。中国のバンド少年は憧れているバンドとしてよく「ONE OK ROCK」の名前を挙げます。
一般の中国人の感覚からすると、有料配信ライブの価格として280元(約4,700円)は「高い」と感じるようです。
ただし、コアな中国ファンは「日本の定価である5,000円よりも少し安い。正当な価格だ。」と主張しています。
また、「ファンではない人が高いとか安いとか口出す必要はない。」「高いと言っている人はその人にとっての音楽の価値が低いだけ。」とのコメントもみられます。
もちろん、中国のアーティストも配信ライブを行っています。配信ライブが始まった時期は比較的早く、5月31日には五月天(メイデイ)、7月11日にはイーソン・チャンが配信ライブを行っています。これらはいずれも無料配信でした。当時はまだ外出・移動規制が厳しかったので、自宅で過ごす人々に向けたチャリティ目的で制作されました。
中国でもライブ・コンサートができない時期が続いている以上、有料配信ライブの動きは広がっています。
配信チケット価格は暗中模索の状態ではありますが、中国大陸のアーティストの場合、20元から30元(約320円~470円)が相場とみらています。
2020年11月3日 霍尊(フオ・ズン/ヘンリー・フオ)の配信コンサート。配信価格:25元(約400円)
霍尊は繊細なソプラノボイスが特徴的な男性歌手。中国ドラマ『大明皇妃』の主題歌『一次心』など多くのドラマOSTを歌っています。180cmのモデルのようなスタイルに長髪の中性的なルックス。
コロナウィルスの影響で日本のエンタメ界にもオンライン化の波が押し寄せました。
「乃木坂46 白石麻衣卒業コンサート」に至っては、ABEMA、hulu、RakutenTVなど9つのプラットフォームで同時配信されました。また、ZAICOなど新しいプラットフォームは、海外視聴者向けの支払い方法にも対応しており、思わぬ形でグローバル化が進んでいます。ただ、異例の事態の中で配信ライブを制作しているので、海外視聴者のことまで考慮しながら企画・制作するのは至難の業なのではと思います。
ジャニーズが中国向けに嵐のライブを同時配信するというのも画期的なことです。しかも60元(約1000円)であれば見てみようという人も少なくないと思います。あらゆる面で過去に例のないチャレンジ、ライブ配信の成功を祈っています。