インド映画『Dangal/ダンガル』(中国語タイトル『摔跤吧,爸爸!』 )が中国で大ヒットしています。
『摔跤吧,爸爸!』 は「レスリングパパ」という意味で、アマチュアのレスリング選手だったインドの田舎町に住む父親と、レスリング選手として大成する二人の娘の物語です。実話をベースにしています。
エスニック色の強いインドの田舎町を舞台とし、インパクトとメリハリのある映像に引き込まれます。
映画大国インドの役者の演技、演出、カメラワークは一流の水準です。
視覚的にはスパイスが効いていながら、情緒面では、家族愛、女性の地位、経済格差、夢の実現など普遍的なテーマが取り上げられており、自然に共感することができます。
『Dangal』にはインド映画おなじみの、登場人物が唐突に歌い踊りだすシーンはありませんでした。
中国公開版は140分で、インド原版は161分といわれています。約20分がカットされたことになります。
全体のテンポを上げるためインド制作側が編集処理を行ったと言われていますが、カットされた部分の中には歌・踊りのシーンがあったのかもしれません。
『Dangal』は6月30日までの時点で興行収入12.9億人民元を記録しています。
中国の2017年度の興行ランキングで4位です。(2017年の現1位は『ワイルドスピード8:アイスブレイク』の26.94億元=約430億円)
歴代の映画興行成績の中では、16位につけています。
ランキングの上位は常に中国本土・香港、アメリカの作品で占められているので、米中以外の映画が上位に食い込んだこと自体、画期的なことです。
中国でも『3 idiot』(邦題『きっとうまくいく』)が高く評価されており、インド映画に対する関心・信頼の土壌があったこと、
今年の上半期は似たようなハリウッド大作ばかりが続き、人間ドラマを描いた『Dangal』はとりわけ歓迎されるタイミングであったことなども、ヒットの要因になっていると思われます。
昨年2016年の12月、中国で『君の名は。』が公開され大ヒットしました。
『君の名は。』の中国での興行成績は5.76億元です。日本円にすると約92億円です。
この数字であっても、2016年度全体でみると25位にしかならないのです。
これはどう評価するべきなのでしょうか。
中国で『君の名は。』は大ヒットしました。しかし興行成績の数字からみると、このインドの映画の半分以下ということになります。
『Dangal』のヒットによって、「中国市場では、ハリウッド・中国以外の作品で最も競争力があるのはインド映画」という評価ができてしまうのです。
歴代映画興行成績のトップは、2016年正月映画として公開された、チャウ・シンチー監督の『美人魚』(マーメイド)の33.9億元です。
日本円に完全すると542億円になり、お化けのような数字です。この記録はなかなか破られないだろうと言われています。
映画は、商業映画である以上、ヒットしなければならないのでしょうか?
中国で「ヒット」といえるためには、10億元(約160億円)を軽々突破しなければヒットとは呼べません。
そのためには、作品の力だけではなく、上映期間やシネコンでのスケジューリングで優遇される必要があり、大資本のバックを持つ国内映画・ハリウッド映画が必然的に有利となります。
商業的に「大ヒット」といえなくても、評価と話題を集める作品も少しずつ出てきています。
現在上映中のチベット巡礼を描いた作品『岡仁波斉』(Paths of the Soul)は、上映館が限られる中、口コミで話題になり興行成績を伸ばしています。
日本では邦題『ラサへの歩き方 祈りの2400km』として去年公開されました。
http://www.moviola.jp/lhasa/
2017年下半期は、何本かの日本映画の中国公開も予定されています。
『深夜食堂2』2017年7月18日公開予定
公開が待たれる『銀魂』実写版。 『君と100回目の恋』
映画の存在意義は決して興行成績だけではありません。
しかし、いまの日本映画が「日本カルチャー好き」という特定カテゴリの中国人以外も魅了することができるのか---?
その答えは、興行成績の数字として表れるのではと思います。
『摔跤吧,爸爸!』 は「レスリングパパ」という意味で、アマチュアのレスリング選手だったインドの田舎町に住む父親と、レスリング選手として大成する二人の娘の物語です。実話をベースにしています。
エスニック色の強いインドの田舎町を舞台とし、インパクトとメリハリのある映像に引き込まれます。
映画大国インドの役者の演技、演出、カメラワークは一流の水準です。
視覚的にはスパイスが効いていながら、情緒面では、家族愛、女性の地位、経済格差、夢の実現など普遍的なテーマが取り上げられており、自然に共感することができます。
『Dangal』にはインド映画おなじみの、登場人物が唐突に歌い踊りだすシーンはありませんでした。
中国公開版は140分で、インド原版は161分といわれています。約20分がカットされたことになります。
全体のテンポを上げるためインド制作側が編集処理を行ったと言われていますが、カットされた部分の中には歌・踊りのシーンがあったのかもしれません。
『Dangal』は6月30日までの時点で興行収入12.9億人民元を記録しています。
中国の2017年度の興行ランキングで4位です。(2017年の現1位は『ワイルドスピード8:アイスブレイク』の26.94億元=約430億円)
歴代の映画興行成績の中では、16位につけています。
ランキングの上位は常に中国本土・香港、アメリカの作品で占められているので、米中以外の映画が上位に食い込んだこと自体、画期的なことです。
中国でも『3 idiot』(邦題『きっとうまくいく』)が高く評価されており、インド映画に対する関心・信頼の土壌があったこと、
今年の上半期は似たようなハリウッド大作ばかりが続き、人間ドラマを描いた『Dangal』はとりわけ歓迎されるタイミングであったことなども、ヒットの要因になっていると思われます。
昨年2016年の12月、中国で『君の名は。』が公開され大ヒットしました。
『君の名は。』の中国での興行成績は5.76億元です。日本円にすると約92億円です。
この数字であっても、2016年度全体でみると25位にしかならないのです。
これはどう評価するべきなのでしょうか。
中国で『君の名は。』は大ヒットしました。しかし興行成績の数字からみると、このインドの映画の半分以下ということになります。
『Dangal』のヒットによって、「中国市場では、ハリウッド・中国以外の作品で最も競争力があるのはインド映画」という評価ができてしまうのです。
歴代映画興行成績のトップは、2016年正月映画として公開された、チャウ・シンチー監督の『美人魚』(マーメイド)の33.9億元です。
日本円に完全すると542億円になり、お化けのような数字です。この記録はなかなか破られないだろうと言われています。
映画は、商業映画である以上、ヒットしなければならないのでしょうか?
中国で「ヒット」といえるためには、10億元(約160億円)を軽々突破しなければヒットとは呼べません。
そのためには、作品の力だけではなく、上映期間やシネコンでのスケジューリングで優遇される必要があり、大資本のバックを持つ国内映画・ハリウッド映画が必然的に有利となります。
商業的に「大ヒット」といえなくても、評価と話題を集める作品も少しずつ出てきています。
現在上映中のチベット巡礼を描いた作品『岡仁波斉』(Paths of the Soul)は、上映館が限られる中、口コミで話題になり興行成績を伸ばしています。
日本では邦題『ラサへの歩き方 祈りの2400km』として去年公開されました。
http://www.moviola.jp/lhasa/
2017年下半期は、何本かの日本映画の中国公開も予定されています。
『深夜食堂2』2017年7月18日公開予定
公開が待たれる『銀魂』実写版。 『君と100回目の恋』
映画の存在意義は決して興行成績だけではありません。
しかし、いまの日本映画が「日本カルチャー好き」という特定カテゴリの中国人以外も魅了することができるのか---?
その答えは、興行成績の数字として表れるのではと思います。