上海阿姐のgooブログ

FC2ブログ「全民娯楽時代の到来~上海からアジア娯楽日記」の続きのブログです。

中国女子アイドルグループSNH48の現在~上海版AKBからの“自立”

2017年04月28日 | エンタメの日記
「AKB48の上海版」としてスタートした中国アイドルグループSNH48。AKBの中国展開としてSNH48が設立されたのは2012年の10月、上海の専用劇場での定期公演がスタートしたのは2013年の後半です。
まず、一期生たちによるチームSができました。それからすぐに二期生のチームNが結成され、三期生、四期生・・・と積極的に展開してきました。

第3回総選挙(2016年7月) 第1位は鞠婧禕(キクちゃん)


2016年6月、日本のAKBサイドとSNH48の中国運営側が決裂したというニュースが流れました。今から1年ほど前のことです。

どうなることかと思いましたが、約1年が過ぎたいま、結果的にいうとSNH48はこれまでどおり上海で活動しています。

SNH48は5チーム体制で活動しており、七期生が各チームに配属され、全員合わせるとメンバーは100人近くに上ります。

さらに「姉妹グループ」北京BEJ48、広州GNZ48があり、最近は新しく沈陽SHY48もできました。
今後も中国の地方都市に拡大していく構想のようです。

結果的にいうと、日本側と提携関係が解消されても、SNH48のメンバー大量脱退はありませんでした。
メンバーがやめない(或いはやめることができない)以上、運営側に何らかの変化があったとしても、ファンは離れません。

これまでSNH48はAKBから提供された楽曲の歌詞を中国語に変えて歌っていました。
専用劇場での公演では、秋葉原のAKBシアターで上演されていたのと同じセットリストを、中国語版でやっていたのです。
「最終ベルが鳴る」や「シアターの女神」などをやっていました。

AKBの曲を使えなくなって、SNH48側は自力で楽曲を用意できるのか?というの疑問が持たれました。

これも結果的にいうと、現在オリジナル曲で公演をやれています。

今年に入ってから、各チームが次々と「SNH48オリジナルセットリスト」を発表しました。
チームH「美麗世界」、チームX「夢想的旗幟」、XⅡ「代號XII」など各チームのオリジナルセットリスト公演を観ましたが、構成や演出に改善の余地はあるものの、全体的にいうと悪くないです。

すごく感動するような名曲かといわれると、そこまでではないのですが、一定のレベルはクリアしています。

衣装や振り付けも、目を奪われるとまではいえませんが、なかなかよくできていると思います。

現在SNH48の常設劇場での公演チケットは非常に入手しにくくなっています。
(北京BEJ、広州GNZ、沈陽SHYは完売しない公演も多いです。)

チケット発売方法は、完全実名制が実施されています。
チケットを購入するためには、まず公式サイトでユーザー登録をし、身分証明書、パスポートなど写真付き身分証の画像をアップロードし、認証を受ける必要があります。
身分証でチケットを会場で発券し、入場する際に再度身分証チェックがあるという、かなり厳しい本人確認があります。

会場のチケット発券機。



会場ロビー。現在SNH48は5チーム体制で活動しています。




毎週火曜日の夜8時に翌週の公演のチケットを発売します。
平日(主に水、木)は夜19:30開演で、終演は22:30頃です。
金曜日は開演が30分早く、夜19時からです。
土日は、14時公演と19時公演の2公演。

上海の場合、5チームあるので各チームが日替わりで公演します。
先着制の公演と抽選制の公演がありますが、抽選販売が徐々に増えています。

5チームの中で圧倒的に人気が高いのがチームNです。総選挙で上位に食い込むメンバーが大量に所属するエース集団です。

一期生の多いチームSも人気があります。

各チームにエース級の人気メンバーがいますが、人気があるメンバーは特にひと目見て納得するかわいさです。

SNH48の中国での知名度はかなり上がっており、イメージキャラクターとして広告やイベントに出たり、女優としてネットドラマに出演したりしています。

メンバーの中には、芸能活動に対して明らかに貪欲な子と、欲はあるけれど表には出さない子と、あまり執着のない子がいると思います。

■これからのSNH48

SNH48は何もかもが順調というわけでは決してなく、常に変化と波乱、或いはトラブルと共存しています。

まず、いま心配されているのは劇場のことです。
SNH48の専用劇場がある地区は急ピッチで再開発が進んでおり、いつ立ち退きになってもおかしくない場所にあります。

もともと商店を兼ねた集合住宅が密集する旧市街地です。いまでは地下鉄も2路線開通し、再開発の波がすぐそこまで押し寄せています。
1ブロック先の地下鉄駅に近いエリアはもう立ち退きがほぼ完了しています。

SNH48専用劇場「SNH48星夢劇場」歴史建築物を改造して作られた劇場。



劇場のある十字路。



次に心配なのは、「AKBのセットリストをやる」という制約が外れたために、徐々にパフォーマンスのレベルが下がっていくのではという点です。
これまではAKBのセットリストをやっていたので、セットリストにある曲をこなさなければなりませんでした。
ひとつのパフォーマンスを完成させるには、覚える側には練習時間がかかり、教える側には労力がかかります。
時間と手間のかかる楽曲を披露するより、ステージ上でトークや簡単なゲームをして時間をつぶす方がずっと楽です。
いまはまだ「AKB式の公演」を維持していますが、そのうちに楽な方向に流れるのではと心配です。公演に覇気がないと、観ている側もなんとなくつまらなくなってきます。

SNH48が本格的に活動を開始したのは2013年後半です。あの時期は尖閣諸島問題で日中関係は非常に冷え込んでいました。
SNH48にとっても逆風でした。あの時期を乗り越えるのは本当に大変だったと思います。

現在中国ではSNH48は女子アイドルグループの成功例として認識されており、SNH48の亜流のようなグループがたくさんあります。

SNH48がここまで来れたのは、最初にAKBのフォーマットがあったからというのは疑いようがありません。
常時公演という概念からはじまり、ユニット、生誕祭、握手会、総選挙といった数々のイベントのノウハウがあったからこそです。

もう一つ気になるといえば、ファンは以前の方が元気でした。
売れてなかった頃の方が、会場が盛り上がっていました。
以前は、常時公演は7割くらいしか埋まっていませんでした。
それでも、いまよりもコールの声がずっと大きく、ファンが真剣に応援していました。客の半分以上が常連でした。サイリウムの振り方も力がこもっていました。
いまは公演中もスマホをいじっているお客さんが多いのが気になります。
コメント (9)
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官僚の汚職に迫る中国“反腐敗ドラマ”『人民的名義』大ヒット放送中

2017年04月20日 | エンタメの日記
いま中国では「人民的名義」というドラマが大人気です。2017年3月28日からテレビ放送開始(湖南テレビ)、大手動画サイトでも同時配信されています。
ドラマ「人民的名義」(人民の名義/人民的名义 /IN THE NAME OF PEOPLE)



監督:李路 脚本:周梅森 全55話(1話約50分) 出演:陸毅、呉剛、許亜軍、胡静、張志堅 、李光復など大量のベテラン俳優が出演。

京州市という中国の架空の都市の政府官僚による汚職をテーマにしたドラマです。
この種のドラマは「反腐敗ドラマ」というジャンルにあたります。

陸毅(ルー・イー)が演じる反汚職総局の若き局長・侯局長。検察官である親友の不審な事故の謎を追うため、京州市に赴任します。
急速な経済成長を遂げた京州市は、あらゆる領域で汚職が巣食っています。
複雑な人間関係を持つ役人たちの、いったい誰が汚職の黒幕なのか---。



反汚職総局(中国語:反貧総局)は実際に存在する政府機関です。検察機関に属する、官僚・役人の汚職を摘発するための機関です。
地名は架空の省、架空の市になっていますが、警察(公安)、検察、共産党組織、ドラマに登場する政府機関はいずれも実在する機関です。

警察、検察、市長、区長、省委員会(共産党組織)など多数の官僚・役人が登場しますが、誰が汚職の黒幕なのか、なかなか分かりません
汚職はすでに刑事犯罪の域に及んでいます。黒幕つまり犯人は誰かを推理するというミステリー的な側面もあります。

登場人物はいずれも有能な高級官僚ですが、誰が汚職の黒幕であってもおかしくない、つまり全員怪しいというミステリアスなムードの中、話が進みます。

誰が汚職の黒幕なのか?汚職に至った理由と経緯は?
汚職に関わる人物は一人とは限らず、誰が誰を何のために幇助し、どういう利害関係が絡みあっているのか・・・。

脚本とベテラン俳優たちの演技が秀逸で、大人の心理ドラマが繰り広げられます。

分かりやすいヒーローである反腐敗総局の局長よりも、市政府の高官・李達康書記が大人気です。



直情的なところがあるけれど、庶民のためを思う心を持ち、社会と国の発展を願う人間味にあふれた人物です。多くの名ゼリフはネット上でも大流行。



一見普通の大学の恩師と教え子、夫婦、上司部下にみえても、その背後に複雑で意外な人間関係が隠されています。
大人の人間ドラマであり、恋愛要素はほとんどありません。

現実を鋭く描いてはいますが、ドラマとしてのエンタメ要素もあり、汚職役人の隠し財産を暴くシーンなどは、

漫画か!?

と叫びたくなる誇張された展開でした。しかしこんな漫画さながらの賄賂隠匿も「実際にありえる」との声もあります。
なお、予算をふんだんに使った重厚なドラマなので、こんなふうに誇張されたシーンでもチープになりません。

別荘に賄賂を隠匿。冷蔵庫に札束が。





白状した犯人。2階の寝室にもまだお金を隠してあるというので行ってみると・・・。

壁一面の人民元。



ベッドの下にも。



これは本当に漫画チックで驚きを通り越して爆笑のシーンなのですが、そのあと、現場でお金が全部でいくらあるのか、札束を数えるシーンになります。

そのシーンでは、おそらく本当の銀行業務経験者をキャスティングして、お札を高速で数えるさまざまなスキルが映し出されます

こういったディテールのリアリティがすごいのです

その優れた脚本を十二分に表現できるベテラン俳優たちの演技も素晴らしいです。

汚職は現代中国のもっとも大きな問題のひとつです。
ドラマの中では汚職を生み出す社会のありさまがリアルに描かれています。

汚職は急速な経済発展を遂げる上での必要悪なのか。
社会に矛盾があるから汚職が生まれるのか。それとも汚職があるから社会が歪むのか。
もし汚職役人を残さず逮捕したら、出勤できる人が一人もいなくなって本気で困ったことになるのでは・・・。

ということを考えさせられます。

本質的なテーマは、人間にとって本当の幸せとは何かということだと思います。

人々がお金しか信じない。
人間も政府も何も信じない。

という社会はいくら物質的に豊かになっても幸せな社会といえるのか。
理想を失わずに生きることは、本当に不可能なことなのか。

ということを、ドラマ『人民的名義』は描いています。

【おまけ】最近の中国ドラマのヒット作


『三生三世十里桃花』。2017年1月放送。古装ファンタジー。中国で最もヒットしやすいのがこのジャンルのドラマです。
架空の王朝や時代を背景とする色鮮やかな衣装と豪華なセット、CGを駆使した美しい映像が特徴。中国版特撮・・・?
主演は楊幂(ヤン・ミー)と趙又廷(マーク・チャオ)。


楊幂(ヤン・ミー)は中国で最も人気のある女優の一人。潤んだ大きな瞳と整った形の唇がトレードマーク。背が高く古装ものが似合うのが強み。


『微微一笑很傾城』2016年8月放送。
中国イケメン俳優の代表格・楊洋(ヤンヤン)主演。ヒロインは中国女優の鄭爽(ジェン・シュアン)。
オンラインゲームで知り合った大学生の男女が、ゲームの世界と現実を交差しながら恋に落ちるという現代ラブストーリー。
中国では大学生を主人公にしたドラマは意外と少なく、その中でもヒットする作品は更に少ないです。
ヒットしたのは楊洋(ヤンヤン)と鄭爽の人気と支持率の高さの表れといえます。



キャンパスライフとオンラインゲームの世界が巧みに絡み合います。オンラインゲーム、IT、大学生活、非常に中国らしい作品です。

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東野圭吾『容疑者Xの献身』が中国で映画化--『嫌疑人X的献身』を観てきました

2017年04月13日 | エンタメの日記
東野圭吾の小説『容疑者Xの献身』が中国で映画化されました。
2017年3月31日より中国全土で公開され、公開から10日間で興行収入3.6億人民元(日本円で約58億円)を突破したと報道されています。
これは中国映画としては上々の成績です。

中国映画版『容疑者Xの献身』--中国語タイトル『嫌疑人X的献身』

  

『容疑者Xの献身』は、2008年に日本で映画化、2012年に韓国で映画化されています。

中国映画版で主人公の物理学者・湯川(中国版では唐川)を演じたのは、王凱(ワンカイ)という俳優です。

王凱(ワンカイ)1982年生まれ、身長182cm、北京出身。
王凱はいま中国でものすごく売れてる俳優です。2015年の大ヒット中国ドラマ『琅琊榜』(ろうやほう)の靖王役で知名度が一気にアップし、スター俳優に。


数学の天才・石神役(中国版では石泓)を演じたのは張魯一。
1980年生まれ、北京戯劇学院出身、身長182cm。俳優としてのキャリアは10年以上ですが、ここ2~3年の間に『麻雀』などヒット作品に恵まれ、第一線で活躍しています。



花岡靖子役(中国版では陳婧)は林心如(ルビー・リン)が演じました。林心如は20年以上第一線で活躍する、中華圏では誰もが知っている有名な台湾出身の女優です。



監督:アレックス・スー
アレックス・スー(蘇有朋)は台湾出身で元々俳優です。多くのドラマ、映画に出ています。3人組アイドルグループ「小虎隊」のメンバーとしてデビュー。最近は映画監督としても活躍。
写真左がアレックス・スー。本人は出演していません。中央が王凱、右が張魯一。



音楽:大島ミチル。作中では吹奏楽が重要な要素として出てきます。人物、特に石神の心情を表す上でも音楽の果たす役割は大きいです。

東野圭吾の小説は中国でものすごく人気があります。
大手書店の売上ランキングでは、常に東野圭吾の作品がランクインしています。
『容疑者Xの献身』を映画化する以上、話の面白さは保証されているのだから、出来が悪かったら完全に制作スタッフのせい。と思われており、制作側は大変なプレッシャーだったのではと思います。

また、主人公の物理学者・湯川は、日本版では福山雅治が演じて当たり役となっています。
福山雅治はアジア圏のファンの間では「理想の男性」の具現者として崇拝されており、このこともプレッシャーの一つになったのでは。

東野圭吾ファン、福山ファン、既存の日本・韓国の映画を観た人々からの期待と厳しい目に晒されながらの映画化となりましたが、中国版はとても丁寧に作られた良い映画でした

今回の中国での映画化にあたり、東野圭吾先生からは次のようなメッセージが寄せられています。



メッセージの中でも「映画大国」と言われているとおり、2013年前後から中国の映画制作力は飛躍的に向上しました。

特に映像技術は、最新・最高級の設備と技法を取り入れ、本当に立派な映画を作れるようになっています。
俳優、女優の層も厚くなりました。

王凱(ワンカイ)をキャスティングしたのは、王凱本人が人気と実力を備え、お客さんを呼べるスター俳優だということもありますが、
福山の影響が大きかったのではと思います。「福山が演じた役」のイメージを傷つけない中国俳優・・・というと人選が限られます。
王凱の持つ、ストイック、知的、清潔感といった持ち味がこの役にも大いに生かされています。

■中国版のアレンジと解釈

基本的には原作に忠実に作られていますが、中国社会の現状に合わせるため、細かい設定がローカライズされています。

人物設定でも若干の変更があり、中国版では、湯川は警察大学の物理学の教授という設定になっています。
そのため、犯罪の謎を解くことに対する使命感がより強まっています。

そして、ラストに挿入されるシーンは中国版独自の解釈だと思います。
最後に湯川と石神の二人のシーンが挿入されたことによって、石神の性格の印象がだいぶ変わってきます。

中国版『容疑者Xの献身』は湯川と石神がダブル主人公のような形で描かれています。
友人であり、ライバルであり、理解者であり、追い追われる立場となる二人の男が命をかけた頭脳戦を展開する・・・という側面が鮮明になっており、「デスノート」みたいな雰囲気があります。
この2人で「デスノート」を始めても全然違和感がありません。

ちなみに、湯川の周辺には女性がまったく登場しません。

湯川と石神が二人で山登りに行くシーンがあります。これは日本映画版の雪山に登るシーンを踏襲したものと思われますが、中国版では登山日和のピクニックになっています。
男二人が山でピクニックするシーンを観ることになり、「何のためのシーンだったんだろう??」と後になって疑問が沸いてきます。



あと、ラスト近くで王凱(湯川)が河辺をランニングするシーンは、あれは王凱ファンのためのサービスシーンなのでしょうか・・・?

中国では多くの新作映画が作られているのに、日本ではほとんど公開されません。
一般公開が難しいとしても、映画祭、若しくはチャンネル銀河などで、この映画が上映・放送されることを願っています。
日本の観客、東野圭吾の読者が観たら、いまの中国映画に対して新たな認識が生まれるのではと思います。

【おまけ】王凱(ワンカイ)の出演作品。 イケメン役しか見たことありません。
中国の俳優は比較的年齢が上がってからブレークするケースが珍しくありませんが、王凱もそれに該当するといえます。
全国的に知名度を得るきっかけとなった2015年の大ヒットドラマ『琅琊榜』(ろうやほう)靖王役。



汪兆銘政権時代を舞台とする戦時スパイもの『偽装者』(2015年)。
胡歌 靳東、王凱など『琅琊榜』(ろうやほう)のメインキャストが出演。『琅琊榜』の爆発的人気により『偽装者』も注目を集めました。



難解な事件にあたる警察官の心理ドラマ『如果蝸牛有愛情』(蝸牛が恋に落ちたら)(2016年)では、有能な刑事役で主演。

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中国9人組ボーイズグループ X玖少年団「以己之名」上海コンサートに行ってきました

2017年04月06日 | エンタメの日記
「X玖少年団」という中国の9人組ボーイズアイドルグループの上海コンサートに行ってきました。
4月2日(日)の夜、上海大舞台で開催された公演は彼らにとって初の単独ライブになります。ライブの状況はテンセント動画でネット生中継されました。
「X玖少年団」については1個前の投稿をどうぞ。



中国のボーイズグループが上海大舞台という1万人クラスの会場で単独ライブができるのは快挙といっていいです。

韓国や日本と違って、中華圏にはいわゆる男性アイドルグループは少なく、台湾・香港を含めても、過去20年間に売れたグループは、小虎隊、F4、飛輪海、棒棒堂、TFBOYSなど、数えるほどしかありません。

ライブ当日、会場の周りには早くからファンの女の子たちが集まっていました。メンバーごとに私設ファンクラブが形成されています。

こんなにファン活動が盛り上がっていて楽しそうな現場は久しぶりです。

ファンはほぼ100%女の子で、20代が中心です。想像していたよりもファンの年齢層が高く、大学生以上、社会人が主力だと思います。
恐らく他のK-POPグループでの「ファン活動暦」を持つ、アイドルファンとしての経験値が高い子たちです。

特に人気があるのはリーダーの伍嘉成です。
歌、ダンス、トークなど幅広く才能があり、性格は明るく、華奢な体形で愛嬌のある顔立ちです。アイドルとしての素質に大変恵まれています。



万能リーダー 伍嘉成 という意味です。バックは赤いカーネーション、文字部分は白いカーネーションでできています。



伍嘉成と年が近く、名前もよく似ているメンバー・谷嘉誠とセットで「嘉成兄弟」として応援している人が多いです。



すべてファン有志によるものです。



「嘉成兄弟」ファンが応援を練習中。動画を撮影していました。


地下鉄1号線/4号線の上海体育館駅に出された「嘉成兄弟」ファンの手によるコンサート応援広告。





長身のイケメン・肖戦のファンクラブ


透明感のあるダンサー・郭子凡のファンクラブ


“水のような少年”メインボーカルの一人・趙磊のファンクラブ


ダンスリーダー・夏之光のファンクラブ


グッズ販売に並ぶ長蛇の列。本当に長蛇の列でした。


上海大舞台は約1万人収容できますが、「X玖少年団」のライブではアリーナ席が満席、1階スタンド席がほぼ満席、2階スタンドは正面エリアの前列のみ埋まっていました。

オープニングからデビューEPに収録されている「永字八法」と「以己之名」と続けて歌いました。

そして、3曲目からはカラオケでした。

五月天(メイデイ)の「離開地球表面」、ジェイ・チョウの「可愛女人」、王力宏(ワン・リーホン)の「盖世英雄」など、中国人なら誰でも知っている超メジャーなC-POPのカラオケ大会です。
ここでジェイ・チョウや五月天、蘇打緑の曲を使えるのは、「X玖少年団」のプロデュースにテンセントという強力な会社が加わっているおかげと思われます。

そもそも、このグループはEPを1枚出しただけで、オリジナル曲が4曲しかないので、カラオケになるのは仕方のないことなのです。

むしろ、安易にトークやゲームなどに走らずに、歌・ダンスのパフォーマンスで2時間埋めたのは立派だったと思います。

また、単なるメジャーC-POPのカラオケではなく、ユニット、ソロなどもあり、なかなか工夫が凝らされていました。
とくに「極楽浄土」を9人でやるセンスには感服です。あの衣装、あの振り付けで「極楽浄土」をやったのは大拍手です。

普段からネット媒体で活動を展開しており、ファンの声が届きやすいためでしょうか、ファンサービスに富んでいました

テンセント動画 「X玖少年団」4月2日上海コンサート





BLというわけではないですが、とにかく伍嘉成と谷嘉誠のカップリング人気がすごいです。
ファンの期待に応えて(?)「嘉成兄弟」男同士のピアソラタンゴ。


ダンス担当・夏之光と郭子凡のダンス「大魚」。すごかった。


K-POPの実力のあるグループと比べると、技術的には劣るかもしれませんが、ダンス、歌ともに、アイドルとして人を楽しませる分には十分だと思います。
そして、メンバーはすごくスタイルがいいです。とにかく細い。足がマッチ棒のように細いです。
平均身長も高く、180cmを超えていると思われるメンバーが4人ほどいます。

ライブを実際に見てみて、いままであまり注目していなかったメンバーの良さが分かりました。
夏之光(※メンバーの名前です)は、まだ17歳なのに大人っぽいダンスが魅力です。ダンスのセンスが良く、余裕がみられます。
焉栩嘉は最年少ながら舞台度胸があり、あざとい可愛さを振りまいています。メンタル強そうです。

「X玖少年団」のオリジナル曲は悪くない、というか、かなりいいのですが、個性的とは言いがたく、EXOとSuperJuniorの中間のような楽曲です。
「Be A Man」や「B.O.Y.S」はすごくいい曲だと思うのですが、雰囲気がSuperJuniorにそっくりです。

彼らは主にネット媒体で活動しているにもかかわらず、映像の作りがあまり良くないのが気になります。
ライブはネット生中継され、生中継終了後は無料で動画を視聴できますが、映像よりもライブの方が全然よかったです。
カメラワーク、画質などがいまひとつ良くないので、もったいないです。

9人それぞれ個性もあり、素質もあるので、もっと売れてほしいです。
いまはK-POPの影響が強すぎるのが弱点になるかもしれませんが、パフォーマンスを披露する場が増えて、彼ら自身の個性を表現できることを期待しています。

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