■25％関税で揺らぐ日韓Tier1／Tier2部品メーカー30社のリスクマップ

ニュースソース

6月29日の米TVによるトランプへのインタビュー要約を Axios が配信。要点は──

• 「Dear Mr. Japan, 25％の関税を払え」と期限延長を否定
• 7月9日以降もレターで国別に税率を通知する方針を明言

https://www.axios.com/2025/06/29/trump-tariffs-pause

https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2025-06-29/SYMIYYDWX2PS00

アメリカ国内で人気の日本・韓国それぞれの自動車産業は、関税影響を免れない。

• 日本：日系自動車メーカー6社、2025年度業績に及ぼす関税影響の見通しを公表（JETROビジネス短信 2025/05/18）https://www.jetro.go.jp/biznews/2025/05/18eb10d8b5913fb5.html
• 韓国：More Auto Parts Likely to Face 25% US Tariff（KBS WORLD／YONHAP 2025/06/27）https://world.kbs.co.kr/service/news_view.htm?Seq_Code=194096&lang=e

関税が突きつける現実

25％の追加関税は完成車にとどまらず主要部品にも及ぶ。米向け輸出比率が高く、北米工場を持たないか単一拠点しかないサプライヤーは、粗利を直撃される。ICE部品は電動化による需要縮小と合わせ、二重苦に陥る。

リスク評価の視点

• 米向け売上／輸出比率
• 北米自社生産体制の規模と多拠点化
• ICE依存度（エンジン・排気・燃料系など）
• 財務体力（自己資本比率・営業CF）

これら四条件が重なるほど、短期で資金繰りが悪化しやすい。

要警戒30社の輪郭

日本発 20社

• 関東本社のブレーキ専業。北米再建途上で再投資余力が薄い
• 東海の総合部品グループ傘下シート骨格メーカー。メキシコ国境近くに単一拠点
• 愛知のウレタン内装材老舗。北米比率35％、電動化で新規案件減
• 二輪クラッチ首位。米現地生産ゼロで為替・関税フル直撃
• 大手ばねメーカー。米は一工場のみで集中リスク
• フレームプレス専業。輸出依存46％で価格転嫁力弱い
• シート骨格製造、OEM一社依存度が高く交渉力が低い
• サブフレーム骨格大手。ジョージア州に単一拠点、EV案件未獲得
• 燃料系部品トップ。ICE比率が高く需給縮小
• 排気系モジュール専業。エンジン縮小と関税の二重逆風
• 配管／チューブ専門。米売上比率42％、投資余力乏しい
• メタル軸受け中堅。北米生産は受託委託のみ
• CVT専業。電動化で市場自体が減少
• ランプ完成品を日本から輸出。単価高く関税影響大
• 大型プレスラインに巨額投資中。財務余力が薄い
• 完成車系シート会社。工場集約度が高くBCPリスク
• プレス部品で輸出比率35％。為替と関税でダブルパンチ
• サスペンション専業。南部2拠点のみで拡張余地乏しい
• EV化で需要減の補機部品を主力とする中堅
• 破綻再建中の総合部品大手。米チャプター11申請で資金繰り逼迫

韓国発 10社

• 内装樹脂モジュール大手。米アラバマ単一拠点＋メキシコ1拠点
• ランプ・シャシーモジュール大手。アラバマ工場のみで集中リスク
• ボディプレス専業。米南部に新工場計画も稼働前
• ハブ・トランスアクスル中堅。輸出比率54％で為替影響大
• ホイールベアリング大手。米現法は販売会社のみ
• ICEパワートレイン専業。EV転換が遅れ需給縮小
• 韓国第3位タイヤメーカー。韓国・中国工場からの輸出依存
• 空調モジュール大手。テネシー州に一工場で増産余力なし
• エンジン部品・アクスル大手。北米新工場は26年稼働予定
• ステアリング・ブレーキ中堅。米現地化率30％と低水準

まとめ

国境調達率ルールを満たすための新投資は時間との勝負。25～26年にかけてのキャッシュアウトを乗り切れない企業は、OEMへの値上げ要求もままならず、合従連衡が加速する。北米工場を複数拠点化し、EV向け高付加価値部品へポートフォリオを移行できるかが、生き残りの分水嶺となる。

Permalink | 記事への反応(1) | 06:51

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