廃炉後でもプルトニウムは増える!
しかし10年以上前のことですので、多くの内容を忘れていました。
今年5月に読み直してみましたところ、何故こんなに興味深く印象的な事を忘れていたのだろうか?と思う内容が書かれていました。(読み飛ばしてしまったのか、眠かったのか?)
それは、毒性の非常に強い元素とも言われ、中性子をぶつけると核分裂を起こす、長崎型の原子爆弾(核分裂爆弾。)の材料にもなったプルトニウム239についてです。
プルトニウム239の半減期は2.4万年です。原発が稼働中は原子炉の中のウラン238が中性子を取り込んでプルトニウム239になりますので、プルトニウム239は増え続けます。しかし、なんと、原発が停止して廃炉になった後も、かなり長い期間・・・何万年もの間、プルトニウム239は増え続けるそうなのです。(1万年後には2倍以上になるようです。) その理由は、超ウラン元素(ウランよりも原子番号の大きい元素)であるアメリシウム243などの放射性元素の崩壊によって、新たにプルトニウム239が生成されるからなのです。・・・なるほど・・・
wiki「アクチノイド」より
軽水炉におけるプルトニウム238からキュリウム244の核種変換のフロー
本書には
『使用済み燃料の天然ウランに対する相対毒性は、800年頃までは一旦小さくなり、極小値に達するが、その後増加しはじめ、70万年後に極大値をとる』
とあるので、核廃棄物の管理は100万年以上必要になるのかも知れません。それならばとんでもない話です。
そう言えば、ウランやプルトニウムも属する原子番号の大きいアクチノイド元素群の元素は、質量数も大きく、全て不安定で、(人間が原子炉等で核反応によって作り出した)自然界にはほとんど存在しない放射性元素です。安定するまでには何度も放射線を出して崩壊していくのでしょうから、かなり長い間放射能が残るという事です。非常に長い期間の管理も必要です。
ちなみにネットで検索すると「プルトニウムの化学毒性は、ウランとほぼ同じと考えられ、放射線障害の方が遥かに大きく、化学毒は無視できる」とあります。確かにプルトニウムには半減期の非常に短い同位体が多数存在します。プルトニウムに限らず超ウラン元素には半減期の短い同位体もたくさんあるようです。つまり、比放射能(単位質量当たりの放射能の強さ)が強い同位体がたくさん存在するのです。プルトニウムが地上最強の毒物とは言えないとしても、プルトニウムを含む超ウラン元素は、化学毒は一般の重金属並みとしても、放射性物質としての毒は非常に強いものばかりと言えるでしょう。人間がこんな元素を作り出していいはずがありません。生態系に対する冒涜です。人間にも大きくはねかえってくるでしょう。
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