風評被害では無かった。
確かにデマによる風評被害もあったでしょう。しかし、実際に被害に遭っている場合でも「風評被害」と報道されてきた例も多々あると思われます。原発推進派や国や県は、デマによる「風評」と実際の「被害」と考えられる事例をはっきりと区別せずに一緒くたにして「風評被害」と言っています。そして本来ならば東京電力や国が責任を負うべき原発災害による被害までを「風評被害」に抱き合わせて、市民の中で被害を訴える人と訴えていない人との分断を図っているように思えます。
福島第一原発事故の後、そのような事例は色々あると考えられますが、
前回の記事【原発廃棄物の盲点】2023/05/31 に書いた、オンラインセミナー:「核分裂後の化学的毒性物質テルル」山田國廣 を受けて思い当たった事例を一つだけ挙げさせて頂きます。
福島第一原発事故での「風評被害」と言われているものの代表の一つに、放射線の健康被害に関するものがあります。
福島県郡山市での放射能被害の相談会に行った時の事です。(私は相談に行ったわけではなく、相談会に呼ばれた講師の方に頼まれて、その場所にご案内して、一緒に講演と相談会を聞いたのです。)
原発が爆発して間も無く、郡山市で「金属臭、金属味」を感じた人が出て、霧のようなものが観察された日があった後のことです。ある夫婦の小学校低学年くらいの娘さんが、鼻血が止まらなくなった・・と夫婦が泣いて訴えていました。
「放射性微粒子が鼻粘膜に沈着して鼻血が止まらなくなることがある。・・鼻を良くかんで、鼻の中を水で良く洗い落とせば、症状は良くなる」・・という事を放射能被害を研究している方の書物かネットで読んだことがあったので、相談会の後に私はその事を夫婦にお伝えしました。
後に、御用学者などが、 「放射性微粒子が鼻粘膜に沈着したとしても、速やかに体外に排出され鼻粘膜に障害を与えるような、鼻血をきたすような放射線量に達しない」と言っている事を知りました。
その御用学者の方々は、鼻血を出した個々人が、どのくらい「被ばく」をしたかも分からないのに、個別に調べもせずに一緒くたにそんな事を断言していいはずがありません。
私は、「鼻粘膜に放射性微粒子が沈着したら、鼻血が止まらなくなる症例がある筈だ」と思いました。
そして、前回の記事【原発廃棄物の盲点】2023/05/31 に書いたように、山田國廣氏のオンラインセミナー:「核分裂後の化学的毒性物質テルル」を受けて、鼻に放射性微粒子が付着しなくても、テルルなど化学毒で鼻血が出る場合もある事を知りました。
福島県郡山市に福島第一原発爆発後の風が達したのとちょうど同じ頃、トモダチ作戦に参加した空母、ロナルド・レーガンの乗組員達も、毒性テルルを「内部被ばく」し、発症したのです。ロナルド・レーガンの乗組員達は、鼻血どころでは済まない重傷を負いました。・・風向は逆:海岸沿いに建つ原発の東側(海)でロナルドレーガンが被ばく、西側(内陸)で、郡山市が被ばくしたのですから、風向によって時間帯に差はあった事でしょう。
トモダチ作戦に参加したロナルドレーガン
原発事故での「被ばく被害者」を「風評被害」で一緒くたに切り捨てることは許されざることだと思います。
※原発事故での「被ばく」は放射能の「被曝」とは限らないし、爆弾の「被爆」でもないので、「ばく」の字は敢えて平仮名で「被ばく」と記しています。
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