temperature
最近主に通勤時間を使って熱力学の教科書を読んでた。清水明先生の「熱力学の基礎」というやつ。
- 作者: 清水明
- 出版社/メーカー: 東京大学出版会
- 発売日: 2007/03
- メディア: 単行本
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ついさっき最後まで読み終わった。
ところで、なぜ温度は大事なんだろうか。SI単位の一つにもなっているじゃないか。清水先生の熱力学の本では温度というのはエネルギーのエントロピーでの微分*1となっている。物質の熱力学的な振る舞いが示量変数のみからなる凸関数であるエントロピーで完全に特徴づけられるとする限り*2、温度はただの微係数に過ぎない。しかし歴史的にはそうではなかった。温度の重要性が強調されてきた。示強変数表示が不完全になる1次相転移に出会っても、Tを基本変数に据えた流儀というのは根強く残っているじゃないか。*3
自然な変数で表示されたエントロピーのエネルギーによるルジャンドル変換は何を与えるだろう。∂S(U,V,N)/∂U=1/T(U,V,N)。エネルギーUは逆温度1/Tに関して強減少なのでルジャンドル変換はh(1/T,V,N)=[S(U,V,N)-U/T(U,V,N)](1/T,V,N)となる。これをU(1/T,V,N)と表せばh(1/T,V,N)=(S(1/T,V,N)T-U(1/T,V,N))/T=-F(T,V,N)/T。ここで当然ながらTと1/Tは1対1に対応していることを用いた。結局得られたのはヘルムホルツの自由エネルギーF(T,V,N)を温度Tで微分したものである。リョーゴ・クボの本によればこれはMassieu関数ちうものらしい。英語版のWikipediaには項目があったものの特に物理的な考察はなかった。