米Microsoftは,米国時間7月27日に「beta 1」版を公開したWebブラウザ「Internet Explorer 7.0(IE 7)」について,正式版の出荷時点でWorld Wide Web Consortium(W3C)勧告に対する互換性テスト「Acid2」に合格できないという見通しを示した。Microsoft社のIE開発責任者であるChris Wilson氏が7月29日に,開発者向けネットワークMicrosoft Software Developer Network(MSDN)のIE関連ブログで明らかにしたもの。
Acid2は,Web技術の互換性推進を図る団体Web Standards Project(WaSP)が開発したWebブラウザ向けテスト。W3Cの策定した各種Web関連勧告への対応状況を調べることができる。
同テストについて,Wilson氏は「CSS2.1とHTML 4.01だけにとどまることなく,テスト作成者は“実装希望機能”として幅広い機能や標準技術をカバーした」と指摘する。「我々にとって,実装を希望するリストとしては重要かつ有益だが,それがそのままIE 7の優先事項リストになるわけではないと理解している」(同氏)
さらに同氏は以下のように述べる。「IEのCSS対応状況がほかのWebブラウザより遅れていることはよく認識している。我々は,Acid2テストの結果を詳細に調べ,IEの問題を分析し,関係するバグと機能をピックアップした。ところがかなり大がかりで難しい実装作業が必要となり,それらすべてをIE 7の最優先事項には挙げられない」
ただし同氏は,「適切なWeb標準に完全対応するプラットフォームを作る」との姿勢を表明している。特にCSS 2(CSS 2.1が勧告化された場合は2.1準拠とする)に対応する予定という。
米メディアの報道(CNET News.com)によると,IE 7以外のWebブラウザでは,ノルウェーOpera SoftwareのOperaがまもなくAcid2テストに合格する状態にあり,米Apple ComputerのSafariは既に準備段階のビルドで合格済みだ。米Mozilla FoundationはFirefoxでAcid2完全対応を表明しているが,時期については明らかにしていないという。
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