「日本の企業は今、中長期的な視点での抜本的な生産・開発現場の効率化を進めなければ、国際競争で勝てない」--。シーメンス プロダクトライフサイクルマネジメント ソフトウェアJP(シーメンスPLMソフトウェア)の三澤一文 代表取締役社長は、2008年2月7日にマスコミ向けの事業説明会でこう語った。同社は今後、自動車や産業機器、電機業界の企業だけでなく、消費財や流通、医療などの企業にも、製品ライフサイクル管理(PLM)ソフトウエアの販売を強化する方針だ。大企業から中小・中堅企業まで、多くの日本企業にPLMソフトの導入を促す。
日本の企業は「厳しい状況に立たされている」と三澤社長は指摘する。国際競争が激しくなっていることに加え、急速に進歩する技術の取り込み、目まぐるしく変わる消費者動向への対応、環境問題といった規制対応の強化、技術のコモディティ化による製品の価格下落の対策など、企業が抱える課題は山積みだ。これらの課題に対処するために、企業は多くの投資を繰り返すが、投資費用がかさんで利益率が低下する。その結果、「業績が上がらないというジレンマに陥っている」(三澤社長)という。
日本の製造業が生き残るためには、「開発・生産の業務効率化を進めるための、3つの大きな課題を解決する必要がある」と三澤社長は指摘する。
まずは、「戦略に合致したR&D分野の選択と集中」だ。日本の場合、少子化が進んでいることから、今後優秀な技術者の確保が難しくなる。技術者が不足すれば、必然的に海外への依存も高くなる。それだけに、「R&D分野の絞込みがこれまで以上に重要になる」(三澤社長)。
2番目に重要となるのは、「先行技術開発へリソース・シフト」だ。中国やインドといったアジア企業が「確実に台頭してくる」(三澤社長)。日本企業は技術開発に注力し、競争力を持つことが求められている。
最後に、「開発から生産まで一体化したR&D&E(エンジニアリング)マネジメントの仕組みが必要」という。製品ライフサイクルを管理すれば、開発から設計、生産までの期間を短縮し、コスト削減といった効果が生まれる。
この3つの課題をベースに、同社はPLM製品の販売を強化する。今後は、大手ITベンダーやコンサルタント会社などとの協力を深め、積極的にシステムの提案を進める方針だ。
シーメンスPLMソフトウェアは、08年1月、社名を「UGS PLMソリューションズ」から「シーメンス プロダクトライフサイクルマネジメント ソフトウェアJP」に変更した。また、三澤氏は、07年12月付けでシーメンスPLMソフトウェアの社長に就任。前職は、アクセンチュアのエクゼクティブ・パートナーとして日本を含むアジア太平洋地域の自動車業界を統括していた。