米アップルはiPhoneやiPadの生産において、部品メーカーや外部の生産拠点を厳選し、徹底した品質管理や監査をすることで知られています。有力取引先を囲い込む、このグローバル系列とも呼べる独自形態は「バリアード・キャッスル(防御された城)」と表現されています。

 この体制で各製品の大量生産・販売を支えてきましたが、ここに来て転換点も見えてきました。

 アップルのティム・クックCEO(最高経営責任者)は中国を訪問し、中国という巨大市場を切り開き業績拡大に弾みをつけたい考えです。一方、米誌のインタビューで「米国の雇用も大切」と語り、現地生産の拡大も進めています。これまでは「中国で作り、米国で売る」のが世界の産業界の常識でしたが、アップルはその逆を行こうとしています。先進国で作り、新興市場で売る新たな“防御された城”を本当に築けるのかどうかが今後の経営を占うポイントになりそうです。