不織布や電気カーペット,人工芝などの製品を製造・販売するワタナベ工業は2008年1月,製品出荷を管理する新たなWebシステムを稼働させた。特徴は,製品を倉庫からホームセンターなどの取引先に納品する際に作成する納品伝票を,各拠点で出力できるようにしたこと。

 従来は,岡山県の同社の拠点に置いた汎用機の出荷管理システムで,取引先ごとに体裁が異なる納品伝票を印刷していた。岡山県外の取引先から製品の注文を受け付けると,この拠点で印刷した納品伝票を,取引先に近い倉庫に郵送したりバイク便で送ったりする必要があった。「伝票が届いてから納品作業に取り掛かっていたので,効率がよいとは言えなかった」と,ワタナベ工業の岡貴光氏(管理部チーフ)は振り返る。

 新しいWebシステムでは,インターネット経由で,印刷する帳票のレイアウトに関するデータや,印字データをPCに取り込める。取り込んだデータを使って,あらかじめ罫線などが印刷された納品伝票に,納品先や製品名,個数などを印刷できる。ドットインパクト・プリンタをPCに接続しておけば,複写用紙に印刷可能だ。印刷機能は,アイ・コンの帳票印刷ソフト「風神レポート」を採用して実現した。

 当初,印刷のイメージをPDFファイルとして作成するフリーの帳票印刷ソフトの導入を検討したが,見送った。「納品伝票は,1回で400枚連続して印刷するケースもある。もしPDFファイルを作成するソフトで印刷しようとすると,400枚分の印刷イメージを作成する処理に時間がかかり,すぐに印刷できないことが分かった」(岡氏)からだ。風神レポートでも印刷イメージは作成するが,印刷担当者が画面上で確認するのに必要な部分のみ作成するといった工夫により,処理時間を短縮している。

 ワタナベ工業では現在,3拠点で納品伝票を印刷している。取引先ごとにレイアウトが異なる納品伝票であっても,レイアウトや印字位置などを,PCの画面で確認した上で印刷する。「納品伝票を各拠点で印刷することで,郵送の手間などが省けて,すぐに納品作業に取り掛かれるようになった。今後は他の拠点でも印刷できるようにしていく予定である」(岡氏)。