(イラスト・アニメーション:岸本 ムサシ)
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今回の回答者: 武馬 慎 総務省 総合通信基盤局 電気通信事業部 データ通信課 課長補佐 |
動画サイトの人気などに伴い,国内のインターネットでやりとりされるトラフィックは年々増えています。こうした傾向を具体的に把握するため,総務省は2004年から,国内のインターネットのトラフィックを半年ごとに集計しています。
集計するといっても,国内すべてのユーザーのトラフィックを調査することは不可能です。そこで,大手プロバイダ6社と,主要IX(internet exchange)事業者3社から提供してもらったデータから推計しています。IXとはプロバイダのネットワークが相互接続する地点のことです。
インターネットにアクセスするには,FTTHなどのブロードバンド回線による接続やダイヤルアップ接続など,接続手段がいくつかあります。また,送信と受信の2種類の通信があります。推計には,ブロードバンド・ユーザーが受信したトラフィックのデータを使います。ここでいうブロードバンド・ユーザーとはDSLとFTTHのユーザーです。
計算方法を見ていきましょう。まず,IXでやりとりされたトラフィックのうち,6社のプロバイダから入ってきたトラフィックの割合を求めます。この割合を6社のシェアとします。次に,6社のブロードバンド・ユーザーが受信したトラフィックを計算します。こうして求めた「6社のシェア」と「実際のトラフィック」から,全体のトラフィックを推定するのです。
実際の数値を当てはめてみましょう。2008年11月時点で,国内6社のシェアは43.8%でした。一方,プロバイダ6社のブロードバンド・ユーザーが受信したトラフィックの合計は,1日の平均値として見ると432.9Gビット/秒でした。43.8%のシェアを持つプロバイダ6社で432.9Gビット/秒のトラフィックが受信されたことから,432.9Gビット/秒を0.438で割ることで,全体のトラフィックは1日平均988.4Gビット/秒であると計算できます。
2009年8月に発表する5月時点の集計結果では,いよいよ1Tビット/秒を超えると見ています。