IPv6(Internet Protocol Version6)の普及が進んでいる。米Google(グーグル)によると、同社WebサイトへのアクセスのIPv6使用率は徐々にではあるが右肩上がりで上昇している(図1)。10年前のIPv6使用率はわずか1.26%だったが、2023年5月24日時点では39.59%にまで高まった。IPv4からIPv6への移行は着実に進んでいるようだ。
とはいえ利用者の多くはIPv6を使用している実感がないだろう。そこで今回は、IPv6を利用できる環境を用意した場合、実際にどの程度使われるのかについて、実機を使って調べてみた。
端末はどちらで通信するのか
特殊な環境だけでなく、一般的な企業や家庭でもIPv4とIPv6が併用されていることがある(図2)。IPv4にしか対応しない機器もあるが、多くの機器はIPv6に対応している。また端末の多くにはIPv4とIPv6の両方のIPアドレスが割り当てられている。WebコンテンツについてもIPv4用とIPv6用の両方が用意されていることが多い。
このような状況においてIPv4とIPv6の両方に対応した端末は、どちらのプロトコルを使って通信するのだろうか─。それを調べるのが今回の実験だ。利用者が使用するプロトコルを指示しない場合、端末はどちらのプロトコルを使いたがるのかを見る実験といってもいいだろう。
実験環境は次の通り(図3)。まずIPv4とIPv6に対応した14台の端末を用意した。パソコンだけではなく、スマートスピーカーとスマートフォンおよびタブレットなども実験に使用した。これらをルーター経由でインターネットに接続した。
ルーターには米Fortinet(フォーティネット)のFortGate 80Eを使用。IPv4とIPv6の両方の通信を許可し、通信ログは分析用端末に転送するようにした。
そして各端末をIPv4とIPv6のいずれでも通信できる状態に設定。平日日中帯の8時間放置し、それぞれの通信を詳しく調べた。