トヨタ自動車が2024年8月、オープンソースソフトウエア(OSS)の利活用を推進する組織であるOSPO(Open Source Program Office)を東京・大手町の「トヨタ大手町」に設置したと発表した。製造業などITベンダー以外の企業がOSPOを設けるのは、日本ではまだ珍しい。その狙いはどこにあるのか。
「従業員がOSSを使ったり、オープンソースコミュニティーに貢献したりするのをサポートするのが私たちの役割だ」――。トヨタ自動車のOSPOで、同社の先進技術開発カンパニーの中に設けられたオープンソースプログラムグループ (TOYOTA OSPO)の遠藤雅人グループ長はこう説明する。
実際にTOYOTA OSPOを設けたのは2024年1月のこと。様々な部署と連携して、コミュニティーへの貢献を促進するために社内外で開催するイベントを企画したり、適切にOSSを利用できるよう、ソフトウエアの部品表であるSBOM(Software Bill of Materials、エスボム)関連のツールを導入したりする活動を進めている。
遠藤グループ長は「自動車業界においてソフトウエア、中でもOSSの重要性が増していることがOSPOを設けた背景にある」と語る。専門組織であるOSPOを設けることによって、OSS開発に参加するエンジニアなどに適切なサポートを提供することを目指す。
社内カルチャーを変革し、OSSへの貢献を促す
これまでもOSSの利用については、法務・知財部門やセキュリティー部門などがリスクチェックの面などでサポートしていた。一方、OSS開発への参加といった貢献活動については、ボランティアベースの社内コミュニティーをつくって、業務の傍らでエンジニアからの問い合わせなどに対応していた。OSPOを設けることによって今後は、「貢献の方をドライブする」(遠藤グループ長)