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プルトニウム238

別名:Pu-238
英語:plutonium

プルトニウム同位体一種放射性物質で、半減期は約87年

プルトニウム238が放つ放射線アルファ線であるため、容易に遮蔽できる。高純度のプルトニウム238は、原子力電池材料として利用されることがある原子核崩壊エネルギー利用して電力取り出しまた、長期にわたり電池交換をせずに駆動することができる。

プルトニウム【plutonium】

読み方:ぷるとにうむ

アクチノイド属す超ウラン元素の一。ウラン重水素衝撃させて作った人工放射性元素単体銀白色金属で、発火しやすい。質量数239同位体は、ウラン238中性子吸収してでき、容易に核分裂するので原子爆弾水素爆弾利用核燃料としても重要で、半減期は約2万4360年。毒性きわめて強い。冥王星(めいおうせい)の英語名Plutoにちなむ。元素記号Pu 原子番号94。→アクチノイド


プルトニウム


プルトニウム


物質名
プルトニウム
英語名
Plutonium
元素記号
Pu
原子番号
94
分子量
239
発見
1940年
原子半径(Å)
1.64
融点(℃)
639.5
沸点(℃)
3235
イオン化エネルギー(eV)
5.8


プルトニウム

(plutonium から転送)

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/07/17 06:17 UTC 版)

ネプツニウム プルトニウム アメリシウム
Sm

Pu

不明
94Pu
外見
銀白色
一般特性
名称, 記号, 番号 プルトニウム, Pu, 94
分類 アクチノイド
, 周期, ブロック n/a, 7, f
原子量 [244]
電子配置 [Rn] 5f6 7s2
電子殻 2, 8, 18, 32, 24, 8, 2(画像
物理特性
固体
密度室温付近) 19.816 (α-Pu) g/cm3
融点での液体密度 16.63 g/cm3
融点 912.5 K, 639.4 °C, 1182.9 °F
沸点 3505 K, 3228 °C, 5842 °F
融解熱 2.82 kJ/mol
蒸発熱 333.5 kJ/mol
熱容量 (25 °C) 35.5 J/(mol·K)
蒸気圧
圧力 (Pa) 1 10 100 1 k 10 k 100 k
温度 (K) 1756 1953 2198 2511 2926 3499
原子特性
酸化数 7, 6, 5, 4, 3(両性酸化物
電気陰性度 1.28(ポーリングの値)
イオン化エネルギー 1st: 584.7 kJ/mol
原子半径 159 pm
共有結合半径 187 ± 1 pm
その他
結晶構造 単斜晶系
磁性 常磁性[1]
電気抵抗率 (0 °C) 1.460 μΩ⋅m
熱伝導率 (300 K) 6.74 W/(m⋅K)
熱膨張率 (25 °C) 46.7 μm/(m⋅K)
音の伝わる速さ 2260 m/s
ヤング率 96 GPa
剛性率 43 GPa
ポアソン比 0.21
CAS登録番号 7440-07-5
主な同位体
詳細はプルトニウムの同位体を参照
同位体 NA 半減期 DM DE (MeV) DP
238Pu syn 87.74 y SF 204.66[2] -
α 5.5 234U
239Pu trace 2.41×104 y SF 207.06 -
α 5.157 235U
240Pu syn 6.5×103 y SF 205.66 -
α 5.256 236U
241Pu syn 14 y β 0.02078 241Am
SF 210.83 -
242Pu syn 3.73×105 y SF 209.47 -
α 4.984 238U
244Pu trace 8.08×107 y α 4.666 240U
SF -

プルトニウム: Plutonium 英語: [pluːˈtoʊniəm])は、原子番号94の元素である。元素記号Puアクチノイド元素の一つ。

名称

原子番号92のウラン、93のネプツニウムがそれぞれ太陽系惑星天王星海王星に因んで命名されていたため、これに倣って当時海王星の次の惑星と考えられていた冥王星 pluto から命名された。発見者のグレン・シーボーグは冗談で元素記号に Pu を選んだ。子供が臭いときに叫ぶPee-Yoo!を連想するからだが[3]、特に問題にならずに周期表に採用された。

表記ゆれ

プルトニュウム[4][5]など。

概要

ウラン鉱石中にわずかに含まれていることが知られる以前は、完全な人工元素と考えられていた。超ウラン元素で、放射性元素である。プルトニウム239プルトニウム241その他いくつかの同位体が存在している。半減期はプルトニウム239の場合約2万4000年(α崩壊による)。比重は19.8で、金属プルトニウムは、ニッケルに似た銀白色の光沢を持つ大変重い金属である(結晶構造は単斜晶)。融点は639.5 °C沸点は3230 °C(沸点は若干異なる実験値あり)。硝酸濃硫酸には酸化被膜ができ、溶けない。塩酸希硫酸などには溶ける。原子価は+3〜+6価(+4価が最も安定)。金属プルトニウムは、特に粉末状態において自然発火することがある。塊の状態でも、湿気を含む大気中では自然発火することがあり、火災の原因となる。プルトニウムとその化合物の化学的な毒性は、他の一般的な重金属と同程度である[6]。またプルトニウムは放射性崩壊によってα線を放出するため、ヒトを含む動物の体内、特にに蓄積されると強い発癌性を示すとされている。

原子炉において、ウラン238中性子を捕獲してウラン239となり、それがβ崩壊してネプツニウム239になり、さらにそれがβ崩壊してプルトニウム239ができる(原子炉内では他のプルトニウム同位体も多数できる)。ウラン238は天然に存在するのでネプツニウム239とプルトニウム239は微量ながら天然にも存在する。また半減期が約8000万年とプルトニウム同位体の中では最も長いプルトニウム244も微量ながら天然に存在する。なお、プルトニウム239およびプルトニウム240とそれらの放射壊変物の飛沫の吸引は 世界保健機関(WHO)の下部機関IARCにより「発癌性がある」(Type1)と勧告されている。

プルトニウムは主に核兵器の原料や、プルサーマル原子力発電におけるMOX燃料として使用される。人工衛星の電源として原子力電池として使用されたこともある。核テロリズム原子力事故防止のため、プルトニウムの所在は国際機関や各国政府により厳しく監視・管理されている。日本は2020年末時点で、英仏への再処理委託により生じた分を含めて国内に約8.9トン、海外に約37.2トン、合計で約46.1トンのプルトニウム(うち核分裂性は約30.5トン)を保有している[7]

特性

金属プルトニウムは銀白色であるが、酸化されると黄褐色となる。金属プルトニウムは温度が上がると収縮する。また、結晶構造の対称性が低いため、時間経過と共に脆くなる。

水溶液中では以下の5種類の酸化数を取りうる。

プルトニウム塩は様々な色を示す。
註:プルトニウム塩水溶液の色は、酸化数だけでなく配位する陰イオンの種類にも依存する。


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