ひょうめん‐ちょうりょく〔ヘウメンチヤウリヨク〕【表面張力】
表面張力
表面張力
表面張力
表面張力
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/05/15 05:43 UTC 版)
表面張力,水面張力,水表面張力 surface tension | |
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量記号 | γ |
次元 | T-2 M |
SI単位 | キログラム毎秒二乗 (kg/s^2) |
CGS単位 | ダイン毎センチメートル(dyn/cm) |
表面張力(ひょうめんちょうりょく、英語: surface tension)(水面張力,水表面張力)は、液体や固体が、表面をできるだけ小さくしようとする性質のことで、界面張力の一種である[1]。定量的には単位面積当たりの表面自由エネルギーを表し、単位はmJ/m2または、 dyn/cm 、mN/mを用いる。記号にはγ, σが用いられることが多い。
ここで[界面]とは、ある液体や固体の相が他の相と接している境界のことである。このうち、一方が液体や固体で、もう一方が気体の場合にその界面を表面という。
歴史的にはトマス・ヤングによる1805年の報告「An Essay on the Cohesion of Fluids」がその研究の始まりである[2]。
定義
表面張力の定義には、よく用いられる3つの説明がある[3]。
- マクスウェルの枠(コの字形の枠と可動する棒の間に張られた液体の膜)を考える。可動する棒には表面に平行に、膜を収縮させる向きに力が働く。単位長さあたりのこの収縮力を表面張力という。トマス・ヤングを始まりとする考え方。
- 同様にマクスウェルの枠の可動棒を動かし、表面を単位面積だけ増大させるときに必要となる仕事量。この考え方はA. デュプレ(1869)が最初であるとされる。
- 熱力学においては自由エネルギーを用いて定義される。この考え方は19世紀末からW. D. ハーキンス(1917)の間に出されたと考えられている。この場合表面張力は次式[4]で表される:
表面分子と内部分子 分子と分子の間には、分子間力と呼ばれる引力が作用している。液体中の分子は、あらゆる方向から他の分子からの分子間力の作用を受けて自由エネルギーが低い状態にある。一方、表面上にある分子は内部の分子からは作用を受けるが、気体の分子からはほとんど作用を受けない。すなわち、表面上にある分子は内部の分子と比べて大きな自由エネルギーを持つことになり、より不安定な状態にあると言える。その結果、表面をできるだけ小さくしようとする傾向が現れる。表面張力は、その界面が不安定であればあるほど大きくなるため、界面活性剤などの影響により変化する。
表面張力を理論的に求めようとする各種の式がある。
- トマス・ヤングによれば表面張力はファンデルワールスの状態方程式における内部圧[注釈 1]と関係があるとされる[6]。
- S. SugdenはパラコールPという因子を導入し、次式で表面張力を計算できるとした[7]:
ヤング式 詳細は「濡れ」を参照濡れとは、固体と接する気体が液体で置き換えられる現象である。 表面の濡れやすさの程度は接触角θで表される。接触角とは、固体表面が液体及び気体と接触しているとき、この3相の接触する境界線において液体面が固体面と成す角度のことである[16]。接触角は各界面の表面張力と関係があり、表面張力の大きい固体は濡れやすく、液体が付着したときの接触角が鋭角になる。反対に、表面張力の小さい固体は濡れにくく、接触角が鈍角になる。この関係を表すトマス・ヤングによる次の式をヤングの式という。
毛管現象・毛細管現象 ヤングが表面張力の存在を明らかにする前から観察されていた現象が毛管現象/毛細管現象である。毛管現象とは、液体中に入れた細い管の内部で、液面が外側の自由表面より上昇(下降)する現象である。
液体に垂直に差し込んだ半径rの円管の場合を考える。管内の液面が外側に対してhだけ高くなったとする。液体の密度をρ、重力加速度をgとすると、鉛直方向の力のつり合いより、高さhは、
- ドゥジェンヌ; ブロシャール‐ヴィアール; ケレ『表面張力の物理学―しずく、あわ、みずたま、さざなみの世界―』吉岡書店、2003年。ISBN 978-4842703114。
- 『ぬれと超撥水、超親水技術、そのコントロール』技術情報協会、2007年7月31日。ISBN 978-4861041747。
- 中江秀雄『濡れ、その基礎とものづくりへの応用』産業図書株式会社、2011年7月25日。ISBN 978-4782841006。
関連項目
「表面張力」の例文・使い方・用例・文例
表面張力と同じ種類の言葉
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