CGS単位系とは? わかりやすく解説

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シージーエス‐たんいけい〔‐タンヰケイ〕【CGS単位系】

読み方:しーじーえすたんいけい

基本単位として、長さセンチメートルcm)、質量グラム(g)、時間に秒(s)を採用した単位系


CGS単位系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2024/01/25 02:49 UTC 版)

CGS単位系(シージーエスたんいけい)は、長さの単位としてのセンチメートル (centimetre)、質量の単位としてのグラム (gram)、時間の単位としての(second)を基本単位とする、一貫性のあるメートル法系の単位系である。

概要

"CGS" は基本単位の頭文字をつなげたものである。力学の単位は3つの基本単位からの組み立てにより定義されるが、電磁気の単位については複数の組み立て方がある[1][2][3]

CGS単位系は、メートルキログラム、秒を基本単位とするMKS単位系、およびそれを拡張した国際単位系(SI)に置き換えられた。科学工学の多くの分野ではSIのみが使用されているが、特定の分野ではCGS単位系の単位が残っている。

力学にのみ関わる単位(長さ、質量、エネルギー圧力など)ではCGS単位系とSIの違いは単純で、特定の変換係数を乗除するだけで変換できる。変換係数は 100 cm = 1 m および 1000 g = 1 kg であることに由来する10の累乗数である。例えば、CGS単位系の力の単位は 1 g⋅cm/s2 と定義されるダインであるため、SIの力の単位であるニュートン (1 kg⋅m/s2) は100,000ダインに等しい。

一方、電磁気の単位(電荷電界磁界電圧など)のCGS単位系とSIとの変換は単純ではない。電磁気学の物理法則(マクスウェルの方程式など)は、使用する単位系に応じて変える必要がある。これは、力学の単位の場合のような、SIの電磁単位とCGSの電磁単位の間に1対1の対応がないためである。

さらに、CGS単位系の中でも、ガウス単位系、電磁単位系、静電単位系、ローレンツ=ヘビサイド単位系など、様々な電磁気量の単位系が存在する。これらの中で、今日最も一般的なのはガウス単位系であり、よく使用される「CGS単位」は特にCGSガウス単位系を指す。

歴史

CGS単位系は、物理学におけるを距離・質量・時間の3つの独立な次元によって表すという、ドイツの数学者カール・フリードリヒ・ガウス1832年の提案に遡る[4]。ガウスは、基本単位としてミリメートルミリグラム、秒を選択した[5]1873年、物理学者ジェームズ・クラーク・マクスウェルウィリアム・トムソン(ケルヴィン卿)らからなる英国科学振興協会英語版の委員会は、センチメートル、グラム、秒を基本単位として採用することを推奨し[6]、これらの基本単位から誘導される電磁気量の単位を、特別の名称が定まるまでの仮称として"C.G.S. unit of ..."(○○のCGS単位)を用いることを推奨した[6]。センチメートルが基本単位として採用されたのはグラムとともに用いることで、水の密度がほぼ1に等しくなるためである。ストーニーはセンチメートルを基本単位とすることに強く反対し、メートルを基本単位とすべきと主張したことが報告書で付記されている[6]

CGS単位系のほとんどの単位の大きさは、実用には不便であることが判明した。例えば、人間、部屋、建物など、多くの日常的な物体は、長さが100 - 1000センチメートル台である。そのため、CGS単位系は、科学の分野以外で広く一般的に使用されることはなかった。1880年代から20世紀半ばにかけて、科学における単位はCGS単位系からMKS単位系に次第に置き換えられ、それが現代のSIに発展した。

1940年代にMKS単位系が、1960年代に国際単位系(SI)が国際的に採用されて以来、CGS単位系の使用は世界中で徐々に減少している。現在、CGS単位系は、ほとんどの科学雑誌、教科書、および標準化団体による標準では受け入れられていないが、アストロフィジカルジャーナルなどの天文学の雑誌では今でも一般的に使用されている。CGS単位系の単位は、特にアメリカ合衆国における材料科学電磁気学、天文学の分野の技術資料で、時折使用される。また、磁気および関連する分野では、磁束密度Bと磁場Hが自由空間で同じ単位を持ち、公開された測定値をCGSからMKSに変換する際に多くの混乱が見込まれることから、CGS単位系が継続して使用されている[7]

力学の単位

CGS単位系における力学の単位は、SIの単位と同じ方法で組み立てられる。2つの単位系の違いは、3つの基本単位のうちの2つ(センチメートルとメートル、グラムとキログラム)の大きさだけである。時間の単位(秒)は、どちらの単位系でも同じである。

CGSとSIの基本単位の間には1対1の対応があり、力学の法則はどちらの単位系を使用したかに影響されない。従って、3つの基本単位の組み立てによる派生単位(組立単位)の定義は両方の単位系で同じであり、それぞれの単位系の派生単位にも明確な1対1の対応がある。


CGS単位系

出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2019/08/18 02:38 UTC 版)

人名に由来する物理単位の一覧」の記事における「CGS単位系」の解説

CGS単位系は、以下のとおりエトヴェシュ重力勾配) -- エトヴェシュ・ロラーンド エルステッド (oersted)(磁場強さ) -- ハンス・クリスティアン・エルステッド (Hans Christian Ørsted) カイザー (kayser)(波数)-- ハインリッヒ・カイザー ガウス (gauss)(磁気誘導) -- カール・フリードリヒ・ガウス (Carl Friedrich Gauss) ガル (gal)(加速度) -- ガリレオ・ガリレイ (Galileo Galilei) ギルバート (gilbert)(起磁力) -- ウィリアム・ギルバート (William Gilbert) クラウジウス (clausius)(エントロピー) -- ルドルフ・クラウジウス (Rudolf Clausius) ストークス (stokes)(動粘度) -- ジョージ・ガブリエル・ストークス (George Gabriel Stokes) デバイ (debye)(電気双極子モーメント) -- ピーター・デバイ (Peter Debye) ビオ (biot)(電流) -- ジャン=バティスト・ビオ (Jean-Baptiste Biot) フランクリン (franklin)(電荷) -- ベンジャミン・フランクリン (Benjamin Franklin) ポアズ (poise)(粘度) -- ジャン・ポアズイユ (Jean Poiseuille) マクスウェル (maxwell)(磁束) -- ジェームズ・クラーク・マクスウェル (James Clerk Maxwell) マッヘ (mache)(放射能濃度) -- ハインリッヒ・マッヘ (Heinrich Mache) ラングレー (langley)(太陽放射) -- サミュエル・ラングレー (Samuel Langley) ランバート (lambert)(輝度) -- ヨハン・ハインリッヒ・ランベルト (Johann Heinrich Lambert) レイリー (rayl)(音響インビーダンス) -- ジョン・ウィリアム・ストラット (第3代レイリー男爵) (Lord Rayleigh)

※この「CGS単位系」の解説は、「人名に由来する物理単位の一覧」の解説の一部です。
「CGS単位系」を含む「人名に由来する物理単位の一覧」の記事については、「人名に由来する物理単位の一覧」の概要を参照ください。

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