絵画部門
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/05/18 04:14 UTC 版)
絵画部門には、7,500点を超える絵画作品が収蔵されている。13世紀から1848年までの作品がコレクションされており、12名のキュレーターがその展示に責任を負っている。絵画作品のうち、およそ3分の2がフランス人画家の作品で、残りの絵画のうち1,200点以上が北方ヨーロッパ(アルプス以北のヨーロッパ)の作品となっている。イタリア絵画はフランソワ1世とルイ14世のコレクション由来の作品が大部分となっており、その他のイタリア絵画は未返還になっているナポレオン1世の収奪絵画が多く、少ないながら正式に購入した作品も存在する。イタリア絵画のコレクションはフランソワ1世が始めたもので、ラファエロ、ミケランジェロらルネサンス期の巨匠の作品を購入し、のちにレオナルド・ダ・ヴィンチを自身の宮廷に迎えた。フランス革命で没収、国有財産化されたこれらの王室絵画コレクションが、ルーヴル美術館の中核となった。1986年に、それまで鉄道駅舎として使用されていたドルセー駅がオルセー美術館(ミュゼ・ドルセー)として生まれ変わり、ルーヴル美術館の絵画コレクションのうち1848年以降に完成した絵画作品がオルセー美術館に移された(一部の印象派絵画など例外あり)。フランス絵画と北ヨーロッパ絵画はリシュリュー翼に、スペイン絵画とイタリア絵画はドゥノン翼2階に展示されている。 初期のフランス絵画に、アンゲラン・カルトン (en:Enguerrand Quarton) の『ヴィルヌーヴ=レザヴィニョンのピエタ』(1455年ごろ)がある。フランス王ジャン2世の肖像で、作者未詳の『善良王ジャン』(1360年ごろ)は、古代以降の作品としては、おそらく最古の個人肖像画といわれている。その他フランス絵画には、シャンパーニュの『1662年の奉納画』、ポルビュスの『フランス王ヘンリー四世の後継者マリー・ド・メディシス』リゴーの『ルイ14世』、ダヴィドの『ナポレオン1世の戴冠』、ドラクロワの『民衆を導く自由の女神』などがある。 アルプス以北の北方絵画には、フェルメールの『レースを編む女』や『天文学者』、カスパー・ダーヴィト・フリードリヒの『カラスのいる木 (en:The Tree of Crows)』、レンブラントの『エマオの晩餐』『ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴』『屠殺された雄牛』などがある。 イタリア絵画では、特にルネサンス期のコレクションに重要な作品が多い。ルネサンス初期の画家マンテーニャとベッリーニの『キリスト磔刑』には写実主義と詳細な表現の萌芽がみられ「精神世界を表現した重要な場面が描かれている」とされている。そのほか、フラ・アンジェリコ、フィリッポ・リッピ、ドメニコ・ギルランダイオ、サンドロ・ボッティチェッリ、ピエトロ・ペルジーノらの名作が多く所蔵されている。ルネサンス盛期の絵画コレクションには、レオナルド・ダ・ヴィンチの『モナ・リザ』、『聖アンナと聖母子』、『洗礼者聖ヨハネ』、『岩窟の聖母』、ラファエロの『美しき女庭師』、ティツィアーノの『田園の奏楽』、『キリストの埋葬』、『荊冠のキリスト』、ヴェロネーゼの『カナの婚礼』など巨匠たちの代表作の数々が所蔵されている。バロック期の絵画コレクションにはカラヴァッジョの『女占い師 (en:The Fortune Teller (Caravaggio))』、『聖母の死 (en:Death of the Virgin (Caravaggio))』など重要作が所蔵されている。 美術品収集家の医者ルイ・ラ・カズ (en:Louis La Caze) が1869年に遺贈した絵画584点は、通称「ラ・カズ・コレクション」と呼ばれ、個人が寄付した絵画点数としてはルーヴル史上最大のコレクションとなっている。ラ・カズ・コレクションには、ヴァトーの『ピエロ』(旧称『ジル』)が含まれている。2007年にはラ・カズ・コレクションを主とした展覧会である「1868年:ルイ・ラ・カズ・コレクション - ルーヴルが所蔵するヴァトーとシャルダン」が開催された。
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