かんばん方式(かんばんほうしき)
Just-in-time production system
かんばん方式は、トヨタ自動車が1960年代から採用している工場生産の方式だ。日本型生産方式の代表例として世界的に有名だ。「必要なものを必要なときに必要な数量だけつくる」という考えにもとづいている。
トヨタの生産工程では、部品工場との発注連絡に、「かんばん」を用う。かんばんとは、部品箱についているプレートのことを指している。およそ3万点もある部品のそれぞれの部品箱には、すべてかんばんがつけられている。工場の製造ラインで部品を補充するさいに、かんばんを取り外して部品下請工場に戻する。
かんばんには部品の品番や数量、行き先、納入時間が記載されていて、部品下請工場では作業指示票としての役割をする。部品下請工場は、かんばんの指示に従って部品を製造し、翌日には注文量を工場の製造ラインに納入する。
工場の製造ラインは必要量をそのつど部品下請工場に注文し、部品下請工場は必要な数の部品だけを製造する。このため生産工程で部品の余剰在庫がほとんど生じない。製造工程での在庫コストや廃棄コストの削減は、商品の価格競争力となって反映されている。
かんばん方式発祥の地である愛知県豊田市には、トヨタ関連の工場が集積している。部品下請工場で注文された部品は、集配トラックだぐに工場の製造ラインに配送される。かんばん方式は、いわば地の利を生かして発展したといえる。
(2000.10.24更新)
かんばん方式
かんばん方式
トヨタ自動車の創業者の豊田喜一郎は、1938年に完成した挙母工場の建設に際し、各部品製造ラインが最終組立ラインに同期化して部品を供給できるように、各ラインが相互に連結した工場レイアウトを採用し、その工場で必要なものを、必要なときに、必要なだけ生産するジャスト・イン・タイム生産を提唱して試行した。しかし、その試みは、軍需生産に傾斜するなどにより試行は中断された。 1950年代に、資金や材料が乏しいなかでムダなものを生産しないようにするためジャスト・イン・タイム生産が改めて試行された。それを実現する道具として1960年代に「かんばん」が考案され、実用化された。後工程は、部品使用時に外した「かんばん」に表示された必要数を前工程に引き取りに行き、前工程は部品引き取り時に外した「かんばん」に表示された必要数を生産するというように、「かんばん」は後工程の運搬指示と前工程の生産指示の道具として広く利用されるようになった。 ジャスト・イン・タイム生産では、「流れによる生産」が大切である。多種類の部品を同一ラインで生産する場合、後工程に引き取られた部品を遅滞なく生産するために、単位時間毎の生産個数を平均化する必要がある。そのため1971年に、多機種を組み付けるエンジン工場で、機種表示プレートをロータリー装置に配置し、回転により順次プレートをテレビに写してオンラインで組み付け機種を指示するロータリー式仕掛機が採用された。 |
保管場所 | : | 産業技術記念館 (〒451-0051 愛知県名古屋市西区則武新町4丁目1番35号) |
製作(製造)年 | : | 1960 |
製作者(社) | : | トヨタ自動車工業株式会社 |
資料の種類 | : | 複製 |
現状 | : | 展示(静態)・公開 |
型式 | : | かんばん |
会社名 | : | トヨタ自動車株式会社 |
製作年 | : | 1960 |
その他事項 | : | 記入部課名:技術管理部 (電話番号)0565-23-6345;記入者名:大須賀 和男;関連工業会:社団法人自動車技術会;1.資料名称:生産方式;2.所在地(組織名称):産業技術記念館;2.所在地(住所):〒451-0051 愛知県名古屋市西区則武新町4丁目1番35号;3.管理所有者(電話番号):052-551-6115;4.担当者(所属):産業技術記念館;資料の種類:複製;現状:展示・静態;公開・非公開の別:公開; |
かんばん方式
ジャストインタイム生産システム
(かんばん方式 から転送)
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2023/10/20 00:22 UTC 版)
ジャストインタイム生産システム、ジャスト・イン・タイム生産システム(ジャストインタイムせいさんシステム、just-in-time, JIT)は、生産過程において、各工程に必要な物(部品など)を、必要な時に、必要な量だけ供給することで在庫(あるいは経費)を徹底的に減らして生産活動を行う技術体系(生産技術)をいう[1]。
- ^ a b 藤井春雄『よくわかる「ジャスト・イン・タイム」の本』日刊工業新聞社、2009年、7頁。
- ^ 藤井春雄『よくわかる「ジャスト・イン・タイム」の本』日刊工業新聞社、2009年、9頁。
- ^ 藤井春雄『よくわかる「ジャスト・イン・タイム」の本』日刊工業新聞社、2009年、7-8頁。
- ^ QRコードは当初、電子カンバンでの使用を念頭に日本電装(当時)で開発された。
- ^ ~アイシン精機で工場火災(1997)~ - サイドローズ > データベース > 失敗百選(2015年10月8日閲覧)
- ^ a b c d 「なぜ大型トラックは路駐するのか 後を絶たない追突事故」『毎日新聞』、2021年8月8日。2021年8月8日閲覧。
- ^ インタビュー:中曽宏さん(大和総研理事長・前日本銀行前副総裁)金融危機また来るか/最悪想定し安全網 地味な実務の巧拙 決定的な意味持つ『朝日新聞』朝刊2022年9月28日オピニオン面(2022年10月22日閲覧)
- 1 ジャストインタイム生産システムとは
- 2 ジャストインタイム生産システムの概要
- 3 概要
- 4 電子カンバン
- 5 関連項目
かんばん方式
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』 (2022/03/08 09:55 UTC 版)
一般にはジャストインタイム生産システムとして知られている。ジャストインタイムで生産するために考えられた方式で、元々は「スーパーマーケット方式」と呼ばれた。これは作業の前工程をスーパーマーケット、後工程をスーパーの顧客に見立て、スーパーマーケットである前工程は「顧客」にとって必要十分な量の部品を予想して生産し、顧客である後工程は必要に応じて「スーパーマーケット」に部品を受け取りに行くというもの。 これによりそれまで生じていた部品の需供の不一致の解消を図り、無駄を削減した。この方式で後工程が前工程に部品を受け取りに行くときに発行する帳票を「かんばん」と称したことから、この方式はかんばん方式と呼ばれる。 なお、サプライ・チェーン・マネジメントでは類似したアイデアを前工程・後工程の二段階ではなく多段の工程に対して連鎖的に適応する。またMRP/MPR2では前工程を基準に考えていく「押し出し方式」なのに対し、かんばん方式では後工程から遡って逆順に考えるので、かんばん方式は「引っ張り方式(プル方式)」とも呼ばれる。
※この「かんばん方式」の解説は、「トヨタ生産方式」の解説の一部です。
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「かんばん方式」の例文・使い方・用例・文例
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