紀州のドン・ファン事件に新展開だ。覚醒剤中毒で怪死した“紀州のドン・ファン”こと和歌山県田辺市の資産家野崎幸助氏(享年77)の「遺言状」が見つかったというのだ。遺産相続人の若嫁への影響はいかに――。

 これまで見つからなかった遺言の存在をスクープしたのは、8日発売の週刊文春だ。首都圏で発見されたという遺言は2013年に書かれたもので、その主な内容は自身と会社の全財産を田辺市に寄付するというものだ。内容の真偽はこれから精査されていくという。

 野崎氏の資産は不動産や預貯金や絵画などを合計して、10億円は下らないとも言われてきた。子供のいない野崎氏の莫大な遺産を相続するのは、死亡のわずか数か月前に入籍した22歳のSさんと、野崎氏の兄弟姉妹たちだった。

 遺産の分配は、妻のSさんが4分の3。残る4分の1を兄弟姉妹たちが分け合う。しかし、野崎氏の遺言が正当なものだった場合、この取り分比率が変わってくる。野崎氏は全財産を田辺市に渡すと記述したものの、法定相続人には最低限の取り分が保障される。結果、Sさんへの遺産は当初の半分となり、兄弟姉妹はもらえるものがゼロとなる。

「遺産を譲り受けるには、Sさんが権利を主張した場合に限られます」(法曹関係者)。Sさんとしてはソロバンをはじきなおす必要があるわけだ。

 地元関係者は「野崎さんはこれまでも田辺市に1000万円単位で数回にわたって寄付を続けてきました。実のお母さん以外は誰も信用しないで生きてきた人なので、特定の誰かの手に渡らないような方法を考えたのでしょう。遺言の内容もふに落ちます」と話した。