私たちの生活に欠かせない存在となっている100円ショップですが、ビジネスの視点で見ると、商品単価が安い分かなり多くの種類や数を売る必要があります。しかし、主に女性をターゲットにして人気が高い100円ショップ「セリア」は、小売業の「生命線」とも言える客層分析をきっぱりやめたということが大きな話題となりました。メルマガ『理央 周 の 売れる仕組み創造ラボ 【Marketing Report】』の著者でMBAホルダーの理央さんは、100円ショップ「セリア」のこの決断をどう分析したのでしょうか?
客層分析をやめたセリアの英断に学ぶ、これからの「CRM」
今号のテーマは「CRM」。ビッグデータ分析をもとに、顧客関係性とのマネジメントすることで、顧客の動きを予測し、販売促進につなげたり、新製品開発に活かしたりする考え方です。
アマゾンのレコメンデーションや、航空会社のロイヤルティプログラムなどが、CRM活用の代表的な事例です。
年齢性別は顧客分析に必要か?
11月3日の日経MJの一面に、「客層分析、セリアやめるってよ」という記事が載っていました。
記事によると、100円ショップ大手のセリアが、どのような顧客が、いつ、何を、いくら買ったか、という購買データの分析をする中で、「客の性別と年代を集めることをやめた」という内容でした。
顧客データは、再購入・リピートを促すために、必要な要素だと考えられてきましたが、「特定の顧客層にしか刺さらない商品は、自社にとって死に筋とも言える。ヒット商品をつくるには、顔の見えないデータよりも、SNSや街の消費者の生の姿を見ていくことが重要」という判断が基本にあったと記事にあります。
ターゲットとする顧客想定をする場合に、
- 年齢・性別・職業などの「属性」
- 住居、働く場所などの「地域」
- 顧客が重要視するであろう「価値観」
- 顧客が普段行う「行動」
の4カテゴリーを洗い出すこと、すなわちセグメンテーションから始め、「都心に住む(地域)、健康志向で(価値観)、ダイエットとジム通い等をする(行動)20代のOL(属性)」といった具合です。
セリアはこのうちの、性別と年齢データを取得することをやめた、ということなのです。