超メモ帳(Web式)@復活

小説書いたり、絵を描いたり、プログラムやったりするブログ。統失プログラマ。

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宮崎駿監督最新作の「君たちはどう生きるか」を観てきた。

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宮崎駿監督最新作の「君たちはどう生きるか」を観てきた。


このブログ記事は宮崎駿監督の「君たちはどう生きるか」のネタバレを含みますので、未見の方は回避してください。


やべやべ毎日更新が途切れる。やっぱ旅をしながらブログを書くというのは相当に忙しい作業になるであるね。ホテルから22時ごろに急いで今日のブログのを執筆しているところであるよ。


旅に出て、いつも暮らしてる地元では見られない風景を見て、色々と美味しいものを食べた。やはりいつも住んでいる地元と違う場所ではまったく違う環境で変わったものを見ることができる。


旅先の街でなぜか映画館に入り、宮崎駿監督最新作の「君たちはどう生きるか」を観てきた。この旅ではとくに目的を設けてる訳ではなく、見知らぬ街で見知らぬ人たちの流れを眺め、そして感じるままに行動するということをしている。旅館でPCを眺めていたら、「君たちはどう生きるか」のネタバレ記事が大量に流れてきており、このままではこちらは映画を見てないのに無遠慮なネタバレ記事に蹂躙されるなと感じて早々に映画館の予約を取って観てきた。


しかし、この作品を最後まで見た後で思うことなのであるのだが、どうも今回の宮崎駿監督の作品というのは、ネタバレしたからといってそれが大きな問題になるような構造にはなってないような気がするんだよな。今回の「君たちはどう生きるか」は、円熟期を迎えた宮崎駿監督の創作意欲を無遠慮に、手加減もなしに全部ぶち込んできたという風な作品であり、文章で書かれた作品評のようなものがまったく無意味になってしまうような作品であると思うからだ。見た人が何を感じるかということは、多分、見た人々それぞれでまったく違うような印象を感じるような作品であると思うし、作品を言語化した時点で宮崎監督が表現しようとしたものがキャンセルされるような作品であると思うのだ。


なので、ひとまずまだ未見の方についてはさっさと見たほうが良いと思うんだよ。どうにもこの作品に関しては言葉で表現することは無粋というか、宮崎駿氏のアニメでの表現を楽しむための作品である。100万語をつくそうとも作品の表層を撫でてるだけであり、その本質の血肉の部分というのは実際に見た人にしか伝わらないように作られていると思うのである。


そこんところをダラダラと書いただけではただブログが冗長になってしまうだけなので、単純に僕自身が「君たちはどう生きるか」を映画館で見て、感じたことのみを書かせてもらおうかなと思う。どうも、なんとなく思うことなのであるけど、宮崎監督は評論家が作品に対していろんな表層上だけの言葉でなんやかんやと論じることに対して、嫌がらせをするために今回この物語をこのようなスタイルで発表しようとしたのではないかと思う。この作品は、どうもそういう衒学的に物語を分解して語るようなロジックに対する嫌がらせが存在するように感じられる。


物語全体の構造としては、「行きて帰りし物語」の主人公が向こう側の世界に行って何かを手に入れて帰ってくるというストーリの型をほとんどそのままなぞってる感じなのだけど、そこの向こう側の世界の表現であるとか、こちらと向こう側がつながる世界のルールなどを徹底的に深化させてしまってるのである。


僕も小説を書いたりなどする創作者であるからわかることであるけど、無意識の底にあるような原形質なものをそのまま表現しようとすると浅くなってしまう。創作者の仕事というのは、海の底に潜ってお宝を拾い上げてくる潜水士のようなところがあるのだけど、深いところにある物語の核というのは見つけたときはものすごい光り輝くお宝のように感じられる。だけど、それを拾い上げて海上に戻ってみると、深海にあった時の光は失われて陳腐なガラクタになってることがよくあるのだ。


宮崎監督の「君たちはどう生きるか」は、その海の底の光り輝くお宝を、そのままの状態で地上にひっぱりあげちゃったような作品である。しかも、そのことに対してなんの説明も行わずに、ただただお宝を素の状態で全世界に公開しちゃったのだから扱いに困る。


なんとも分かりにくい言葉で本質の周辺部をなぞるようなことばかりを書いてるけど、こういう作品に対してはこういうアプローチでしか表現することはできない。言葉で表現しようとするとチープになるような作品であるからだ。端的にいうと「宮崎監督が見たよくできた夢の話」であり、その夢の話が話を聞かされてる人にとってもおもしろいものであるのが頭を悩ませるところである。


他人から聞かされるおもしろい夢の話というのは、大抵の場合、つまらなくて聞きたくない話のランキングの上位に入る。普通の人の夢の話というのは、要領を得ないものであり話の筋が通らないものだ。宮崎監督の「君たちはどう生きるか」もそのような要領を得ない夢のような話である。しかし、どういうことか見てる人にはその辻褄というのが合うことがしっかりと理解できていて、しかもその夢の話がおもしろい。


おんなじような宮崎駿監督作品の中では、「崖の上のポニョ」が傾向としては一番近い。無意識の核に近い話を説明もなしに放り出してきて、それでなんとなく作品全体の筋としては間違ってない感じがするという説明に困る作品である。ひとまず、実際に映画館で見てから自分がどんな風に感じるかを確認した方が良いはずである。

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