《姉殺害に求刑超え懲役20年判決 発達障害で「社会秩序のため」》(47NEWS)
大阪地裁は30日、求刑の懲役16年を上回る懲役20年の判決を言い渡した。
判決理由で河原俊也裁判長は、約30年間引きこもり状態だった被告の犯行に先天的な広汎性発達障害の一種、アスペルガー症候群の影響があったと認定。その上で「家族が同居を望んでいないため社会の受け皿がなく、再犯の可能性が心配される。許される限り刑務所に収容することが社会秩序の維持にも役立つ」と量刑理由を説明した。 (2012/07/30)
■《精神科への入院、原則1年以内に…厚労省が方針》(2012年6月29日、読売新聞)
入院治療の必要性がない患者を早期に退院させ、地域で暮らせるようにするのが狙い。退院支援に携わる精神保健福祉士らを配置するなどの取り組みを、早ければ来年度から始める。
■《「認知症の人を地域で」 厚労省が本腰 精神科病院の抵抗》*1(2012年07月24日、WEDGE編集部)
「病床削減するなら受け皿の整備が先だ。そうしないと入院患者がホームレスになりかねない」(日精協・山崎会長)。
以上の記事を合わせて読むと、
-
- 精神科や福祉で面倒は見ない → 親族も拒否(負荷over) → 事件化 → 刑事行政が福祉面をカバー
という暗黙のフレームが。
刑務所の福祉施設化は、以下の書籍などに詳しい。
- 作者: 山本譲司
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2009/03/30
- メディア: 文庫
- 購入: 22人 クリック: 332回
- この商品を含むブログ (86件) を見る
人は基本的に、お互いに不快な存在でしかない。
うまくやれない者は、悲惨のなかに放置される。
「引き取り手のない犯罪者や障碍者は、なるだけ長く刑務所に」 という判決文は、
有権者多数の “庶民感情” にも合致するだろう。*2
あつれきの間に立って、膨大な任務がワーカーさんに のしかかる。
しかし低賃金・不安定就労で、圧倒的な人手不足(参照)。*3
罪を犯せば、「秩序維持のために」、刑務所が養ってくれる。
社会保障機能を起動するには、犯罪をやらかすのが最短距離。
――今回の判決は、そういう判断にお墨付きを与えたかもしれない。
- 追記:
- 【判決要旨(主文)の写し、PDF 】
- 【大阪地裁判決に関する緊急声明】(2012年8月7日、日本児童青年精神医学会)