軍事評論家=佐藤守のブログ日記

軍事を語らずして日本を語る勿れ

盧溝橋事件の真相を示す著作紹介

平河総研のメルマガに,大東亜戦争に関する研究中の論文を発表しているが,熱心な読者から『盧溝橋事件について,明確な文書でその張本人は中国共産党であった事が立証できれば、それは日本の教科書に書かれるべきだ』と言うコメントが届いた.
そこでこのブログの読者にも,良い機会なので大いに勉強してもらいたく,参考書を列挙しておきたい.
①盧溝橋事件…日本の悲劇 寺平忠輔著 読売新聞社昭和45年
 この本は第1級史料だと私は思う.但し犯人が『中国共産党だ』と断定はしていないが,読者には推察できる.
②新資料 盧溝橋事件 葛西純一編・訳 成祥出版社1974年
 この本の著者は,終戦後八路軍に入って共産軍幹部として行動している経歴の持ち主である。内部資料が豊富で共産党の仕掛けであることが明白である.古本屋にも余りない.
③日本はなぜ戦争を始めたのか 益井康一著 光人社2002年
 元毎日新聞記者であった著者は,冷静に平易に分析していて読みやすい.この中に上記②にも紹介されている、盧溝橋事件を裁く東京裁判で,東條,梅津両被告の弁護人として呼び出された桂鎮雄氏の記録がある.中国側の梅汝敖判事から呼び出され,盧溝橋事件について証言する予定になっていたが,突如通州事件のみの証言に変更された、という.後で判明したのは,中国共産党の劉少奇副主席が『7・7事件(盧溝橋事件)の仕掛け人は中国共産党で,現地責任者はこのオレだった』と証拠を示して西側記者団に発表したためだった、という.やがて当時の西側記者団のメモか記録が出てくるから判明するだろうが,慌てた法廷検事団は,巣鴨に拘留中の河辺正三(当時北京歩兵旅団長),牟田口廉也(当時の第1連隊長)の両被告を,理由も告げずに釈放した,と書かれている.
 これだけでほぼ充分だが、その他に、
④盧溝橋事件…日中戦争の実相 岡野篤夫著 旺史社1988年
 兵士の目から見た戦場記録で,小説風だから読みやすい.
⑤大東亜戦争の序曲・シナ事変の真因 笠原正明著 国民会館叢書 三 平成4年
 これは神戸市外語大教授による研究書で,短いが良く整理できていて入門には最適である.
⑥大東亜戦争とスターリンの謀略 三田村武夫著 自由社平成16年
 この書は昭和25年に『戦争と共産主義』という題で初刷りが発表されたが,占領下であったためGHQから発売禁止処分を受けたものの再版本である.直接盧溝橋事件に関する内容ではないが,大東亜戦争の背景が浮き彫りになる,研究者必読の書である.

21世紀に生きる青年方の『正史研究!』の一助となれば幸いである.