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2012.06.30
では、子どもの〈見えない学力〉地頭、読む力に親は何ができるのか?
少しだけ、前の記事
読めないとはこういうこと→勉強できない子をあぶりだす5つの質問 読書猿Classic: between / beyond readers
のつづきを書く。
では、どうすれば読めるようになるのか、親は何ができるのか、という話である。
引き続き、この本から。
子どもの〈見えない学力〉、いまなら地頭とかいうものは、親の文化水準×子どもの経験の質によると、岸本裕史はいう。
これだけだったらネットでいくらも見かける(俗流)文化の再生産論である。これでおしまいなら次のような笑えない問答に尽きてしまう。
問:勉強ができるようになるにはどうすればいいですか?
答:親を選びなさい
けれども再生産のプロセスを細かく見れば、例えばどんなことが子どもの読書体験につながるのかが分かれば、(教養や読書習慣のない親であっても)活用できるものを拾い上げることができるかもしれない。
先の本は、この手のネタの宝庫なのだが、いくつか拾い上げてみる。
1.親が子供の本を読む
親が読書の習慣がない場合は、親が子供の本を読むことからはじめる。
中でも岸本は、教科書を読むことを勧める。
ぶっちゃけ教科書の文章は、市販の大抵の本よりも、短くやさしいからだ。
2.親が音読をはじめる
親が読むのに慣れていないなら、親がゆっくりと声を出して読んでみる。
最初は無理に子どもに聞かせようとしなくていい。
むしろこそこそと、しかし少し大きめ声を出して読む。
その方が子どもは(からかい半分にでも/親がへんなことをはじめたと)関心をもつ。
子どもがからかってきても相手にせず、決めた時間(毎日10分でもいい)は読むことに専念する。
何日か続けて、親が声を出して教科書を読むのを、子どもが気になって仕方がないようになったら、(少々もったいつけて)どうしてもというなら、ここで聞いていてもいいよ、と許可を出す。
ここまで来れば、読み聞かせができる
3.音読に耳を傾ける
読み聞かせが続き出したら、音読当番を大人だけが独占する必要はない。
交代したり順番にしたりして、子どもにも音読させる。
これまで、下手な音読を子どもが聞いてくれたのだから、親も子どもの音読をしっかり聞く。
論評はしない。感想も控える。
あれこれ言うくらいだったら、その後、自分が続きを音読する。
子どもの音読を聞いて、もっと大きな声がいいな、と思ったなら、大げさ過ぎない範囲で、大きめな声で自分が音読する。
4.聞き写しさせる
読書好きは、9歳の壁は越えることができる。
しかし書くことをやっていかないと段々ときつくなる。
中学になっても書くことをおろそかにしていると、成績が頭打ちして下がりだす。
知識と情報をもっと精確に効率良く取り扱い活用できるようになるには、書くことを学ぶ必要がある。
書くトレーニングで家でも簡単に行えるものに、読み聞かせの延長である〈聞き写し〉がある。
文字通り、親が読んで、子どもがそれを聞いて紙に書いていく。
最初はノートより、一文字ずつ書ける原稿用紙がいい。
「自分がかける一番きれいな字で書きなさい」と言っておく。
親は子どもの書くスピードに合わせてゆっくりと読み上げる。カギ括弧や句読点も読む。
子どもが間違ったり、悩んだりしたら、立ち止まって手助けする。
これをやると、子どもが何を知らないか、何が書けないか、聞いても分からないか、が一目瞭然に分かる。
子どもも親も、なれないとかなり大変なので、1日200字もできればいい。
きついだけあって、毎日やると、どちらも子も親もメキメキ力がついてくる。
5.読み写しさせる
聞き写しがしっかりできるようになったら、子ども一人で本を見て、自分で書き写すことをやる。
最初は一文字ずつ写したりして、とても時間がかかる。
聞き写しは、今まで読み聞かせでなれた親の声がサポートしてくれるが、今度は文字を見て、覚えて、書いて、間違いに気付くところまで自分一人でやらなくてはならない。
だが大変なだけあって、これはかなり力がつく。
集中力と持久力、自己統御の力がつく。これが自分で勉強する力の基盤になる。
語彙力と表現力はいうまでもない。
へとへとになるので1日20分くらいでいい。
1~2ヶ月すると、最初の1.5~2倍くらいの度で書けるようになる。努力が分量として目に見えるのでヤル気もでる。
書き写すことの効用は、先日も
これは勉強のやり方が分からなくて困っている人のために書いた文章です 読書猿Classic: between / beyond readers
に書いたのでこれくらいで。
読めないとはこういうこと→勉強できない子をあぶりだす5つの質問 読書猿Classic: between / beyond readers
のつづきを書く。
では、どうすれば読めるようになるのか、親は何ができるのか、という話である。
見える学力、見えない学力 (国民文庫―現代の教養) (1996/03) 岸本 裕史 商品詳細を見る |
引き続き、この本から。
子どもの〈見えない学力〉、いまなら地頭とかいうものは、親の文化水準×子どもの経験の質によると、岸本裕史はいう。
これだけだったらネットでいくらも見かける(俗流)文化の再生産論である。これでおしまいなら次のような笑えない問答に尽きてしまう。
問:勉強ができるようになるにはどうすればいいですか?
答:親を選びなさい
けれども再生産のプロセスを細かく見れば、例えばどんなことが子どもの読書体験につながるのかが分かれば、(教養や読書習慣のない親であっても)活用できるものを拾い上げることができるかもしれない。
先の本は、この手のネタの宝庫なのだが、いくつか拾い上げてみる。
1.親が子供の本を読む
親が読書の習慣がない場合は、親が子供の本を読むことからはじめる。
中でも岸本は、教科書を読むことを勧める。
ぶっちゃけ教科書の文章は、市販の大抵の本よりも、短くやさしいからだ。
2.親が音読をはじめる
親が読むのに慣れていないなら、親がゆっくりと声を出して読んでみる。
最初は無理に子どもに聞かせようとしなくていい。
むしろこそこそと、しかし少し大きめ声を出して読む。
その方が子どもは(からかい半分にでも/親がへんなことをはじめたと)関心をもつ。
子どもがからかってきても相手にせず、決めた時間(毎日10分でもいい)は読むことに専念する。
何日か続けて、親が声を出して教科書を読むのを、子どもが気になって仕方がないようになったら、(少々もったいつけて)どうしてもというなら、ここで聞いていてもいいよ、と許可を出す。
ここまで来れば、読み聞かせができる
3.音読に耳を傾ける
読み聞かせが続き出したら、音読当番を大人だけが独占する必要はない。
交代したり順番にしたりして、子どもにも音読させる。
これまで、下手な音読を子どもが聞いてくれたのだから、親も子どもの音読をしっかり聞く。
論評はしない。感想も控える。
あれこれ言うくらいだったら、その後、自分が続きを音読する。
子どもの音読を聞いて、もっと大きな声がいいな、と思ったなら、大げさ過ぎない範囲で、大きめな声で自分が音読する。
4.聞き写しさせる
読書好きは、9歳の壁は越えることができる。
しかし書くことをやっていかないと段々ときつくなる。
中学になっても書くことをおろそかにしていると、成績が頭打ちして下がりだす。
知識と情報をもっと精確に効率良く取り扱い活用できるようになるには、書くことを学ぶ必要がある。
書くトレーニングで家でも簡単に行えるものに、読み聞かせの延長である〈聞き写し〉がある。
文字通り、親が読んで、子どもがそれを聞いて紙に書いていく。
最初はノートより、一文字ずつ書ける原稿用紙がいい。
「自分がかける一番きれいな字で書きなさい」と言っておく。
親は子どもの書くスピードに合わせてゆっくりと読み上げる。カギ括弧や句読点も読む。
子どもが間違ったり、悩んだりしたら、立ち止まって手助けする。
これをやると、子どもが何を知らないか、何が書けないか、聞いても分からないか、が一目瞭然に分かる。
子どもも親も、なれないとかなり大変なので、1日200字もできればいい。
きついだけあって、毎日やると、どちらも子も親もメキメキ力がついてくる。
5.読み写しさせる
聞き写しがしっかりできるようになったら、子ども一人で本を見て、自分で書き写すことをやる。
最初は一文字ずつ写したりして、とても時間がかかる。
聞き写しは、今まで読み聞かせでなれた親の声がサポートしてくれるが、今度は文字を見て、覚えて、書いて、間違いに気付くところまで自分一人でやらなくてはならない。
だが大変なだけあって、これはかなり力がつく。
集中力と持久力、自己統御の力がつく。これが自分で勉強する力の基盤になる。
語彙力と表現力はいうまでもない。
へとへとになるので1日20分くらいでいい。
1~2ヶ月すると、最初の1.5~2倍くらいの度で書けるようになる。努力が分量として目に見えるのでヤル気もでる。
書き写すことの効用は、先日も
これは勉強のやり方が分からなくて困っている人のために書いた文章です 読書猿Classic: between / beyond readers
に書いたのでこれくらいで。
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