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     英語を聞き取るのに、必要なことはなんだろう?


    発音についての(少しの)知識

     話すためにだけでなく、聞くためにも、発音できることが必要だ。

     よく言われるように、自分で発せない音は、聞き取ることができない。
     あるいはノイズとしてしか処理されない。

     英語をたくさん聞けば、いつか聞き取ることができるだろうか?
     そうかもしれない。

     だが、何を聞けばいいのか、わからないまま続ける努力はつらい。
     音の出し方を飲み込んでから聞いた方が、学習効率は段違いに高くなる。

    最初に発音に投資すべき理由

     最初に発音に投資しておくと、その後の学習効率は格段にあがる。
     理由はいくつかある。

    語学学習の楽しさ/つらさは発音の習熟度に依存する

     自分の発音にいくらかの自信、あるいは十分な開き直りがないと、英語を口にするのに消極的になる。
     誰かに話しかけるのはもちろんのこと、ただ英文を読み上げる、音読することもストレスフルになる。

    なぜ発音を否定されると人格まで否定された気分になるのか?

     ヒトは、発音について、非常にセンシティブだ。
     これはヒトの「仕様」だと考えていい。

     音声言語はメッセージを伝える手段であるばかりか、音声を発する相手が「仲間」かどうかを峻別するシグナルでもある。
     つまり同じように発音できる者は仲間であり、そうでないものは仲間でない。
     「なりすまし」は容易ではない。
     群れを作り協力し合う動物として、フリーライダー(ただのり)を抑制するためには、発音による峻別は重要だ。
     手控えの少ない子どもたちは、残酷なまでに「おかしな発音」をあげつらう。
     
     発音を否定されることは、言葉以前の段階で「門前払い」された感じを与える。
     知的な人たちほど、この事はこたえる。

    発音に関する悪循環

     母音は喉で出すが、子音は口の中で舌や唇に息をぶち当てて出す。
     顎や舌や唇を動きが小さいと、息の量が少ないと、なかなかうまく発することができない。
     発音に自信がないと、声量は小さくなる。口の動きも息の量も手控えられる。
     すると、ますます発声がうまくいかない。
     かなりうまく発音できる人ですら、相手に聞き返されると、自信のもろいところが崩れ、発音が乱れてしまうことがある。

    発音に関する好循環

     しかし悪循環のサイクルは、逆方向に回すこともできる。
     
     発音を磨くと、英語を発することのストレスが減る。
     音読がスムーズになり、アウトプットの量と質が改善していく。
     コミュニケーションについてのモチベーションが高まることで、コミュニケーションの機会が増える。

     いかなるものであれ、アウトプットすることを通じて、記憶に残り定着する。
     アウトプットにされるものは、記憶するに足るものだからだ。
     いかなる形であれ、繰り返しアウトプットしないと、ほとんど何も残らないと思っていい。

    発音の改善はインプットの効率も高める

     ワーキングメモリのなかで、言葉の音を担当する音韻ループは、最もはやく自動化される。
     音韻ループのタスクが自動化されると、注意という貴重な認知資源が、発音以外のことに振り向けられるようになる。
     このことは、時間あたりに処理可能な英語の量を増やす。

     まず発音に注力することで、英語の処理速度を高めることができる。
     このことは、英語の学習効率をインプットの面からも高めることにつながる。

    語彙も文も無限だが知るべき音の数は有限

     英語の音の数(音韻数)は、数え方にもよるが50ほどだ。
     何百、何千というオーダーではない。
     身につければ一生ものだし、あえて避ける理由はない。


    発し方からはLとRの音はまるで違う
     
     日本人にとって区別しにくいと言われるLとRの音は、出し方から言えば相当違う。

    consonant-l.jpg
    consonant-r.jpg
    Phonetics: The sounds of American Englishから。このサイトでは、それぞれの発音について、断面図の動画と静止画で確認することができる)


     聞くだけでは「ラ」行の音にブロックされてしまうが、出せるようになれば区別はかなりはっきりつく。
     
     口の形、舌の位置についての映像としては、次のものが2310円でDVD付きである。

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    鷲見由理

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     自分でできる発音の矯正方法については、以下のものがベスト。

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     上記の本は、プロソディ(ストレス、リズム、イントネーション)について触れていないのがマイナスとのレビューがあるが、確かに話すことについては、個々の音よりもプロソディの方が問題であることが多い(音はなまっていても、プロソディができていれば結構間に合ってしまう、とも言える)。
     これについては、以下の有名教材が有益だろう。

    American Accent TrainingAmerican Accent Training
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    Ann Cook

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     だが、個々の発音からやり直すには、別の教材が必要だと思う。


    in thereが何故「いんねあ」と聞こえるのか?

     個々の音が捕まえられると、文字通りに英語が発音されていないことに気付く。
     いや、正確には、気付く事になっている。

     しかし「正しく発音」できるようになれば自ずから気付くというのは、いささか不親切だと思う。

     反復練習や学習者の「気付き」は重要かつ不可欠だが、
    「個々の発音が、どういった場合に、文字が示す発音から逸脱/変化するのか」は知識としてあった方がいい。
     でないと、耳の良い真面目な学習者ほど迷い、自信がつきにくいことになる。

     もちろん音声変化の存在やルールを知ったからと言って、すぐに変化する音や脱落(省略)される音に気付ける訳ではない。
     
     しかし発音の仕方を身につけていると、まず音声変化のルールが身にしみやすい。連続して発音しにくいところで、《発音しやすいように》音声変化は起こるからだ。
     自分でも発音し、音声変化を「追体験」することで、文字通りでない発音をつかまえられるようになる。
     
     音声変化も含めた、聞くための発音練習としては

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    がやさしくて入門しやすい。

     音声変化やプロソディについて、ある程度網羅的で練習問題も入っているものとしては、

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     発音に関して体系的・網羅的に扱ったものとしては、

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    が推奨できる。


     少し長くなったので、リスニングのための語彙(ボキャブラリー)やリーディングその他については改めて。










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