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2010.06.21
文献をたぐり寄せる技術/そのイモズルは「巨人の肩」につながっている
まずはひとつ、足がかりになる文献を見つけよう。条件は、真っ当な参考文献リストがついていること。
その方法のひとつを、Googleで片付かない捜しものチートシート 読書猿Classic: between / beyond readers に書いた。
参考文献リスト付きの文献がみつかったら、それを足がかりにして、次の3つの「たぐりよせ」を用いる。いずれも初歩的、基本的なものだが、組み合わせることで(原理的には)、相互参照のネットワークに連なるあらゆる文献をたぐり寄せることができる。
(1)今,手にしている文献が、引用したり、参考文献リストに載せている文献を入手する。
探すべき文献は、参考文献リストに、著者名、論文名や書名、論文なら掲載誌や掲載書、発行年などが明示されている。これだけ書いてあれば、データベースなどで所在を確かめることも容易である。
したがって、これはもっとも初歩的な「たぐり寄せ」である。
この方法の最大の欠点は、今、手にしている文献よりも古い文献しか見つけることができないことである。
研究の世界は日進月歩だ。この文献以後に発表された文献には、より新しい知見や(これが今の場合重要だが)より新しい参考文献リストが載っているだろう。
より新しい文献を手に入れるには別の方法を使うことができる。そうして、この方法の欠点を補う。
(2)被引用、被参照関係をたどって、今手にしている文献を引用している文献/参照している文献を入手する。
引用、参照のつながりを「遡る」ことで、より新しい文献をたぐり寄せることができる。
このためには、文献の間の引用(参照)関係を整理して、被引用・被参照関係を抽出することが必要である。
かつてはCitation Indexというものが紙ベースで提供されていた(たとえば社会科学分野ならSocial Sciences Citation Index)。
現在はWeb of Scienceで提供されている。
Google Scholarでも被引用・被参照文献を見ることができる(例:"Web of Science"をGoogle Scholarしてみた)。
この方法の問題点は、すべての文献について被引用・被参照関係を抽出することは事実上不可能であることである。
実用的には、より多く引用・参照されている文献を掲載している学術誌を優先して抽出対象とすることで、「主立った」文献についてはカバーできる。
しかし「主立った」ところから外れた文献、たとえば日本語文献については対象にならない。日本語文献を対象としている、たとえばCiNiiは、日本語文献の間の被引用・被参照関係を一応見ることができる。しかし現在のところ、失望することが少なくない。
(3)被引用・被参照関係がデータベースに拾い上げられていない文献について、より新しいものを「たぐり寄せる」には、次の古い方法が役に立つ。すなわち、今、手にしている文献の著者名で検索し、同じ著者のより新しい文献を入手する方法である。
専門分化が進んだ現在のアカデミズムでは、ある研究者は同じテーマを研究し続けている可能性が高い。
したがって、同じ著者のより新しい文献には、より新しい知見とともに、より新しい参考文献が載っている可能性が高い。
著者名を手がかりに、時間をすすめ、そこから振り返って参考文献を拾い上げることは、より新しい文献を手に入れる古典的な方法である。
文献検索については、以下のエントリーも参照されたい。
「4つの型」で理解する、調査/探索の基本と応用 読書猿Classic: between / beyond readers
自宅でできるやり方で論文をさがす・あつめる・手に入れる 読書猿Classic: between / beyond readers
その方法のひとつを、Googleで片付かない捜しものチートシート 読書猿Classic: between / beyond readers に書いた。
参考文献リスト付きの文献がみつかったら、それを足がかりにして、次の3つの「たぐりよせ」を用いる。いずれも初歩的、基本的なものだが、組み合わせることで(原理的には)、相互参照のネットワークに連なるあらゆる文献をたぐり寄せることができる。
(1)今,手にしている文献が、引用したり、参考文献リストに載せている文献を入手する。
探すべき文献は、参考文献リストに、著者名、論文名や書名、論文なら掲載誌や掲載書、発行年などが明示されている。これだけ書いてあれば、データベースなどで所在を確かめることも容易である。
したがって、これはもっとも初歩的な「たぐり寄せ」である。
この方法の最大の欠点は、今、手にしている文献よりも古い文献しか見つけることができないことである。
研究の世界は日進月歩だ。この文献以後に発表された文献には、より新しい知見や(これが今の場合重要だが)より新しい参考文献リストが載っているだろう。
より新しい文献を手に入れるには別の方法を使うことができる。そうして、この方法の欠点を補う。
(2)被引用、被参照関係をたどって、今手にしている文献を引用している文献/参照している文献を入手する。
引用、参照のつながりを「遡る」ことで、より新しい文献をたぐり寄せることができる。
このためには、文献の間の引用(参照)関係を整理して、被引用・被参照関係を抽出することが必要である。
かつてはCitation Indexというものが紙ベースで提供されていた(たとえば社会科学分野ならSocial Sciences Citation Index)。
現在はWeb of Scienceで提供されている。
Google Scholarでも被引用・被参照文献を見ることができる(例:"Web of Science"をGoogle Scholarしてみた)。
この方法の問題点は、すべての文献について被引用・被参照関係を抽出することは事実上不可能であることである。
実用的には、より多く引用・参照されている文献を掲載している学術誌を優先して抽出対象とすることで、「主立った」文献についてはカバーできる。
しかし「主立った」ところから外れた文献、たとえば日本語文献については対象にならない。日本語文献を対象としている、たとえばCiNiiは、日本語文献の間の被引用・被参照関係を一応見ることができる。しかし現在のところ、失望することが少なくない。
(3)被引用・被参照関係がデータベースに拾い上げられていない文献について、より新しいものを「たぐり寄せる」には、次の古い方法が役に立つ。すなわち、今、手にしている文献の著者名で検索し、同じ著者のより新しい文献を入手する方法である。
専門分化が進んだ現在のアカデミズムでは、ある研究者は同じテーマを研究し続けている可能性が高い。
したがって、同じ著者のより新しい文献には、より新しい知見とともに、より新しい参考文献が載っている可能性が高い。
著者名を手がかりに、時間をすすめ、そこから振り返って参考文献を拾い上げることは、より新しい文献を手に入れる古典的な方法である。
文献検索については、以下のエントリーも参照されたい。
「4つの型」で理解する、調査/探索の基本と応用 読書猿Classic: between / beyond readers
自宅でできるやり方で論文をさがす・あつめる・手に入れる 読書猿Classic: between / beyond readers
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