「NGO/NPO向けディスカウント」は不公平か? (Jason Friedの”Why non-profit pricing?”感想)

Posted on 2010年9月28日. Filed under: 未分類 | タグ: , , , |

37signalsのJason Friedが、彼らの有名なブログ”Signal vs. Noise“に”Why non-profit pricing? (なぜノンプロフィット=NGO/NPO向け割引をするのか?)“という記事を書いていた。

Why non-profit pricing? – (37signals)

http://37signals.com/svn/posts/2580-why-non-profit-pricing

Jason Friedと彼の会社の37signalsはウェブベースのビジネスの成功者として有名なので、興味深く読んでみた。ウチ(アークウェブ)も「A-Form」(Movable Type用の問い合わせフォーム作成プラグイン)では非営利団体は無料という設定をしているので、その辺も再考してみようかとも思いながら。

「ソフトウェアビジネスをやっていると、ノンプロフィット向けの特別価格はないの? ってよく聞かれる。だから、このトピックについての考えをシェアしておこうと思う」って書き出しで始まるこのブログ記事の趣旨をざっとまとめると──。

  • 沢山のノンプロフィット団体からディスカウントしてくれと頼まれる。団体の規模はいろいろで、国際的なチャリティ団体もある。本当に大中小さまざまで、それは企業も同じこと。
  • 営利企業とノンプロフィット団体の違いは利益を追求するかどうかだ。ノンプロフィット団体は公益のために働いていると主張する人もいるだろう。しかし営利企業のビジネスが公益に合致しないとはいえない。
  • 多くのノンプロフィット団体はボランティアスタッフで支えられているが、そうでない団体も沢山ある。アメリカでは6%の労働者がNGO/NPOで働き、彼らの給料は営利企業で働く人たちと同格だ。
  • これらの理由もあり、ノンプロフィット団体であるというだけでフルプライスを払う営利企業より自動的にディスカウント価格を設定すべきだ、ということに納得できないのだ。ノンプロフィットも営利企業も、人を雇い、限られた予算を持ち、事業目標があるなどの点では同じだ。
  • 我々にノンプロフィット割引について照会してくる団体の多くは、小さな営利企業の顧客の年間売上より多くの予算を持っている。独立事業主の多くは赤字で、その点では「ノンプロフィット(利益なし)」だ。

こういうことを書いた上で、結局は「値付けの哲学」の問題だと思うけど、最後の方ではこう言っている。
(さらに…)

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「プロフィット・ピラミッド」メモ(下):シマノ、ヒロセ電機、マブチモーターが高収益である理由

Posted on 2008年10月23日. Filed under: 利益, 企業経営 | タグ: , , |

書籍「プロフィット・ピラミッド 「超」高収益経営を実現する十四のシンプルな原則」から、メモがてらのシェアの後編です。

この本が取り上げている高収益企業、キーエンス、ローム、ファナック、シマノ、ヒロセ電機、マブチモーターのうち、後半3社分。前編は「「プロフィット・ピラミッド」メモ(上):キーエンス、ローム、ファナックが高収益である理由」をどうぞ。

(さらに…)

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「プロフィット・ピラミッド」メモ(上):キーエンス、ローム、ファナックが高収益である理由

Posted on 2008年10月16日. Filed under: 企業経営 | タグ: , |

プロフィット・ピラミッド 「超」高収益経営を実現する十四のシンプルな原則」を(2.5回ぐらい)読んだので、以下、メモがてらシェア。

この本は、キーエンスロームファナックシマノヒロセ電機マブチモーターという、企業経営に興味がある人なら高収益企業として名前ぐらいは聞いたことがあるはずの6社を分析した本。出版は2007年5月だが、たとえばキーエンスの分析に使っている資料は2004年ぐらいまでのものだから、各企業の現在の姿そのままではなさそうな点には注意が必要だろう。

以下、気になった点のメモ。

  • キーエンス 合理主義の経営
    • キーエンスの経営の特徴のひとつはファブレス経営
    • 経営理念にある「最小の資本と人で最大の付加価値をあげる」の通り、既にある製品のコスト削減でなく、「コストを掛けずに顧客提供価値を最大化できる製品をつくる」ことを考える
    • 「センサーは、単価が安く、脇役的存在であるにもかかわらず、それを組み込むだけで、顧客生産設備全体の能力が大きく高まる「投資の梃子の効果」を生み出す商品なのです。その上、その効果は生産性という定量化された数値で表現され、そのため投資効果が明確で、顧客に直接的にアピールするという特性を持っています。このため、そのコストに対し、キーエンスは高い価値を設定することができるのです。」
    • キーエンスの営業マンの業績は粗利(の近似値)で決まるので、営業マンは高利益率実現に寄与する顧客ニーズの掘り起こしに積極的に取り組む
    • 顧客をひたすら訪問するのでなく、勉強会での商品知識の蓄積→自ら考え提案する→顧客の反応を感じる、というプロセスで顧客の現場を熟知する
    • ファブレス体制だが、生産ノウハウを保持し製造委託先を効果的に活用するためにも、全体の生産の一割は100%の生産子会社で行う
    • 合理性追求の文化。会議でも入室した順に座る。会長が最後なら、会長が一番ドアに近い下座に座る
  • ローム 垂直統合による付加価値の取り込みを徹底する企業
    • ロームのカスタムICの顧客はセットメーカー。なかでもライトハウス・カスタマー(業界最先端の製品開発を行う顧客)から先端ニーズを学び、製品に精通していく
    • ICメーカーの多くはセットメーカーの社内または系列。情報開示のリスクを恐れるメーカーは、中立的メーカーであるロームに声をかけやすい
    • ロームの「鵜飼いモデル」は、金鉱掘りにジーンズを売ったリーバイスのモデルの発展形。顧客の回路設計図全体にローム製品が占める割合が多いので、ロームは「実質的に」川下展開をしているのと同じで、そこでの付加価値を自社内に取り込んでしまう。自社の商品を売りながら顧客のノウハウを吸収し、自社の次の展開に活用するという点は、鵜飼いが魚を獲得しつつ、自身でより高度な技術を学習していくことと同じ
    • 顧客に言われてから開発をはじめるのでは遅いが、「このタイはあの奥さんに食べていただこう」という精神をもつ
    • 製品寿命の短期化により川上化をめざす。関連する業界の価値連鎖を横軸に、その業界の平均利益率を縦軸にプロットすると、描かれる曲線はスマイルカーブになる
  • ファナック 巧妙な戦略と精強な組織を併せ持つ企業
    • 自社のNC装置の仕様の業界標準化により、顧客の付加価値を自社内の取り込むという鵜飼モデルを実現
    • 自らリスクをとって先端製品開発を行うライトハウス・カスタマーは、サプライヤーにとって他社に先行する上でありがたい存在
    • 徹底したコスト管理。ます意欲的な価格設定をし、そこから利益率35%を引き、算定された製造原価を必達目標とする。製造コストを積み上げるという発想はない
    • 製造段階でいくら工夫してもコスト削減余地はわずか。コストを大幅に下げようと思えば、開発において徹底した工夫をすべきである
    • 商品開発研究所には、普通の10倍のスピードで進む時計を掛けてある
    • 捨てる経営。35%の利益率を確保できない商品からは撤退。新たに利益率35%が確保できる商品を開発する

残りは後編に続く。

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「思考するカンパニー」感想:儚い「利他心」を事業に活かそうという会社、アミタ

Posted on 2008年9月11日. Filed under: 未分類 | タグ: , , , , |

「思考するカンパニー 欲望の大量生産から利他的モデルへ」を読んだ。

株式会社アミタの社長である熊野英介さんが書いた本。
アミタという会社は、Wikipediaによれば(アミタ – Wikipedia)「総合環境ソリューション事業」で、Yahoo!ファイナンス(アミタ(株)【2490】:会社概要 – Yahoo!ファイナンス)では「廃棄物の中間処理・再資源化大手。排出企業から受け取る資源管理料が収益源、コンサル等も」との説明がある。

ぼくがアミタという会社を初めて知ったのは、環境や社会貢献についての情報誌「オルタナ」の特集でだったと思う。
この会社は「持続可能経済研究所」という組織があったり、京都(京丹後市)に「森林ノ牧場」という森林の再生・再資源化の実験場を持っていたりと、廃棄物や環境といったキーワードだけでは括れない不思議な奥深さを感じる。

で、「思考するカンパニー」は、アミタの経営者である熊野氏が何を考え、アミタという会社を通じてどんな社会を実現していきたいのかを書いた本だ。いろんな意味で現役の経営者が書く本の内容としては異色だと思う。が、納得度は高かった。

以下、メモ&シェア。引用文中の強調はすべてぼくによるもの。

まず、本の題名にある「カンパニー」だけど、この本ではカンパニーは「仲間」という意味で使われている。立場や組織を超えて人が集まる「有機的なカンパニー」という言葉や、就職するのではなく「合流する」という表現など、契約ではなく使命・志ドリブンな会社をめざすという価値観の表われのようだ。

その「会社」についても、こんな記述がある。

「会社という言葉は福沢諭吉がつくったといわれている。江戸時代に人々が集まる場を意味した「会所」という言葉と、同じ志をもつ人々の集団を指す言葉「社中」、この二つを合わせて会社という言葉をつくった。これからは「社中」のほうへ、会社のメーンフレームをもっていく。そういう新しい企業のデザインが必要なのだ。」(105ページ)

アミタという会社は、工業社会の過度な発展が生み出した自然破壊や資源の濫用を防ぎ、循環型の社会システムを創出するために人の「利他的欲求」を活かすという。「信頼動機を科学する」という節では、多くの人が持っているが、常に発揮されると期待はできない利他的欲求を活用するモデルについて、こう説明する。
(さらに…)

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[自分メモ]変革のエージェントになる

Posted on 2008年5月31日. Filed under: 企業経営 | タグ: , |

メモ&シェア。

Mahatma Gandhiは、

“Be the change you want to see in the world”

と言った。

Top Ten Things to Think About If You Want to Change the World
http://www.positivepath.net/ideasMA11.asp

To be the change you want to see in the world, you don’t have to be loud. You don’t have to be eloquent. You don’t have to be elected. You don’t even have to be particularly smart or well educated. You do, however, have to be committed.

声高に・雄弁に主張したり、誰かに選ばれる人であったり、特に才能があったり高い教育を受けていたりする必要はないが、しかしコミットする必要だけはあるよ、という話。

そういえばドラッカーも、「チェンジ・エージェントたれ」と言っていた。

組織自らチェンジエージェントに変わる四つの方策
http://www.iot.ac.jp/manu/ueda/column/050108.html

「今日のような乱気流の時代にあっては、変化が常態である。変化は、リスクに満ち、楽ではない。悪戦苦闘を強いられる。だが変化の先頭にたたないかぎり、企業、大学、病院のいずれにせよ、生き残ることはできない」

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[misc] バスの行き先について

Posted on 2008年2月19日. Filed under: 企業経営 | タグ: , |

ビジョナリーカンパニー2」風にいえば「誰をバスに乗せるか」は大切だけど、乗るほうにしてみれば「このバスに乗るべきかどうか」は重要だ。ぼくらが日々リソースを投じることになるあれこれは、プロジェクトという名のバスだから。

で、バスの運転手(行き先を決める人)については、

  • バスの行き先をきちんと示してくれる
  • バスの行き先は決まっていない場合でも、判断基準は示すし、決定プロセスにおいても意見を尊重してくれる

という資質があるかどうかをちゃんと見極めることが、バスに乗っている自分の快適さにつながってくる。で、このことがわかっている人、かつ実行できる人が運転するバスだけに乗ることが肝心。

もちろん自分がバスを運転することになった際には、同じものさしで自分を律することにしよう。

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[patagonia] パタゴニアのシー・シェパード支援問題

Posted on 2008年1月31日. Filed under: 企業経営 | タグ: , |

J-CASTニュース : 「パタゴニア」が反捕鯨団体支援 日本支社に抗議のメールや電話
http://www.j-cast.com/2008/01/31016219.html

この問題、まぁずっとウォッチしていて苦しい思いをしていたけど、自分なりの暫定結論を出し、tumblrに書いた。

nakano.tumblr.com
http://nakano.tumblr.com/

一連のやりとりはmixiのPatagoniaコミュでも見ている。それほどファナティックにPatagoniaの哲学に心酔してきた何人かの方々の発言はすごいと思った。が、ぼくはシュイナード率いるPatagoniaのオルタナティブな会社経営のあり方も含め敬意を払うべき点はそれでも多数あると思っていて、つまりファンをやめない。

というわけで、ぼくはPatagoniaのウェアを着続けます。

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