科研費の申請書は読んでもらう人のことを考えよう

10月は研究費の申請書の〆切ラッシュなのでいろいろ考えている。
「科研費獲得の方法とコツ」

科研費獲得の方法とコツ

科研費獲得の方法とコツ

を買ってみたのだが、自分としてはそこまで参考にはならなかった。すでに何回か書いているせいもあるだろうし、近くに聞ける人がいるせいもあるだろうから、初めて書く人、あるいは近くに聞ける人がいない人は参考になるのではないかと思う。

ちなみに概要は実験医学 online で公開されているので、これを見て知らない話がある人は買ってみても損はないかも。

金曜日東京必着の研究計画書を書いて送る。午後5時まででないと速達でも翌日東京に届く保証がないそうで、クロネコヤマトにお願いする。クロネコヤマトは19時までの持ち込みで翌朝午前中に配達してくれるそうだ (18:40に着いたら数人並んでいたので、余裕を持って行かないとダメだと思う)。740円なり。

科研費の「研究活動スタート支援」の結果が開示されていた。



どうも「研究課題の独創性および革新性」が低く評価されているようだが、審査希望分野を「人文学」にしたせいもあるかなという気がするので、これは致し方ない。(もっとも、そうでなくても「ものすごく革新的」とは言えないので、この評価で全うであるとも言えるが)

本当は(普通の科研費では)自然言語処理が入る「知能情報学」という細目は「総合領域」という分野の「情報学」という分科の下にあるはずなのだが、そもそも「総合領域」という分野が「スタート支援」では存在しなかった (表にはあるのに投稿フォームでは選択できなかった) ので、苦肉の策として細目に「知能情報学」を選択して分野は「人文学」を選択したのだが、他の人はどうしたのだろう? 本当は今回提出したテーマで人文学は選択したくなかったのだが、該当分野が存在しないことに気がついたのが提出前だったので、人文系に合う内容に変更できなかったのであった。

評点1もしくは評点2がついた項目も、人文系の感覚からすると仕方ないのかな。たとえば、「他の経費で措置されるのがふさわしい大型研究装置等の制作を目的とする研究計画」の評点に1もしくは2をつけた人がいるようだが、自分の予算申請で設備備品費は MacBook Pro 1台 (25万円)だけなので、これが「大型研究装置」だと見なされたと解釈するよりないが、これが「大型研究装置」となるのは (情報系としては) 相当つらいものがある。まあ、人文系を選択して応募したのが間違いだという問題なのだろうけど……。(「応募額の規模に見合った研究上の意義が認められるか」という項目も同様)

もっとも、人文系を選択して落ちて文句を言うのは筋違いで、学振の申請のときは M2 のとき総合領域で申請して落ち、D1 のとき人文系で申請して通った (人文系用に書き直したけど) ので、複数の分野で申請できる場合、ちゃんと読んでくれる人のことを考えて、それに合った形に書いて読みやすいようにする、ということが必要なのだろうと思う。

こういうふうに評点(通った人の平均点と自分の点)と評価された項目が分かるとどこを直せばいいかよく分かるので、こういう試みは非常に助かる。全く何のフィードバックもなく落とされると、やれ業績がどうだのコネがどうだのという憶測を産んでしまいがちだが、こういうふうに公開してくれれば、少なくとも納得性は格段に上がるので、今後とも続けて行ってくれたらなと思う (学振の特別研究員の場合、評点しか教えてくれないのだが、どの項目が悪いのかここまで公開してくれればいいのに)。

というわけで、半年分の研究の進展に応じて少し変えるくらいでこのまま若手(B)に出そうかと思う。ひとまず研究計画書はさっさと片付けて研究に取りかかりたいところである。