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コラム の記事

究極のガチ中華「ジャールオ」を知っていますか?

2022年08月19日

「究極の中華料理、折籮(ジャールオ)を知っているかい?」

最近のガチ中華ブームについて、知人の中国人と話していると言われたのがこの言葉だ。中国がらみの仕事をするようになってもう20年以上経ち、もう数え切れないほど中国を訪問したが、一度も聞いたことがない料理だ。その知人曰く、日本どころか、今では中国でもほぼ食べられない料理だという。

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『美味しんぼ』世代からすると、究極の中華料理といわれると『佛跳墙』(フォーティオチャン)が思い浮かぶ。こちらも珍しいことは珍しいが、高級レストランにいけば食べられるし、レトルトのなんちゃって佛跳墙もある。それよりもレア度が高い料理となると、俄然興味津々だ。

「どんな料理なんですか?」と聞くと、その知人はくっくっと小さく笑い、「ネットで調べて見るといい。いや、なんというかね、言葉で説明するのはとても難しい料理なのだよ」ともったいぶる。

というわけで調べて見た。ネット百科事典「百度百科」では次のように紹介されている。かいつまんで紹介したい。
折籮 ZheLuo
北京方言。酒席の後、残った料理を一緒くたにした余り物。「合菜」とも。北京市、河北省、黒竜江省などの地域に特定の言葉。『北京土語辞典』には次のような記述がある。
「酒席がお開きとなった後、余った料理は種類を問わずすべて一緒くたにまとめてしまう。これを折籮菜と呼ぶ。貧しい時代には酒席があったその日にまとめるのはもったいないと、翌日になってからごたまぜにして、ご飯にぶっかけて食べた。残り物を混ぜた料理は独特の味があり、これを好む者もいる。北京市郊外では1970年代までこの習慣が残り、結婚式があるとあまった料理を混ぜて、近所に配ったという。
いわゆる残飯を指す中国語には「剰飯」がある。折籮というのは豪華な宴席の余りをまとめた時のみに使う言葉なのだという。あんまりそそられないような、しかしマニアがいるほどに独特の味わいがあるといわれると食べてみたいような……。

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*中国の動画サイトには「ジャールオ作ってみた」動画がごろごろと。見栄えがいいものからそうではないものまでいろいろあるようだ。上記の動画は残り物ではなく、新品おかずをぶっかけた豪華(?)バージョン。

しかし、この話を知ってはたと思い当たったことがある。中国ではレストランで食べきれなかった料理を持ち帰るのはよくある話だが、いくつもの料理を一つの箱に詰め込むのはあるある。味が混ざってしまうので私はいい気がしないのだが、中国の友人は「混ざったら混ざったでうまいからええやん」とっまったく気にしない。このあたりの感覚の違いがジャールオにつながっていそうだ。

それはさておき、また一つ、使いどころのなさそうな中国語を学んでしまった。一人で抱え込むのもなんだが、しかしお仕事のネタに使うほどでもなさそう……と思ったので、ブログでシェアする次第である。

監視社会化する世界を知るために、『幸福な監視国家・中国』出版のお知らせ

2019年08月09日

新刊『幸福な監視国家・中国』が2019年8月10日に出版されます。

中国の監視社会化、社会信用システム、信用スコアに関する誤解、デマ、誇張がすさまじい勢いで蔓延していることを腹立たしく思っていたところ、神戸大学の梶谷懐教授から共著のお誘いをいただき、出版させていただくことになりました。

さまざまな論点があるのですが、大枠については「はじめに」「おわりに」を公開いたしますので、こちらをご覧いただけましたら(PDF)。

個人的に一番強調したい点は、「監視は権力VS市民の二項対立では捉えられない」という点です。監視社会というと、独裁政権の支配のためのツールのようなイメージをもたれがちですが、それだけではなく、今ではさまざまなビジネスを加速・強化させるツールであり、安心をもたらすツールともなっています。さらに個人情報はひたすら盗られるだけのものではなく、情報を積極的に提供することによって個々人に利益がある、個人情報を守るよりも積極的に提供するほうが利益が大きいという局面も生じています。

「監視社会はすばらしい!」というつもりは毛頭ないのですが、凡百の書が論じているような「ここが危ない、こういうリスクが、あれも不安」という心配だけを煽るような話ではもはや全体像がつかめないのです。多面的な視点から監視社会の現在を知る必要がありますし、そのためには中国という事例は絶好の教科書となっています。ここがもう一つの強調点で、「中国の監視社会は怖い。日本とは別の世界」という理解が広がっていますが、私はおそらく日本も中国と同じ方向に進んでいくと考えています。「中国という別世界の話」を知る本ではなく、日本の近い将来を考えるための本にするつもりで書きました。

ご興味を持った方はぜひ手に取っていただけましたら。


梶谷懐・高口康太『幸福な監視国家・中国』NHK新書、2019年。

表紙

中国は本当に進んだ国なのか?『中国S級B級論』を出版しました

2019年05月23日

私が編著を務めた『中国S級B級論 ―発展途上と最先端が混在する国』が発売されました。


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私の他に中国経済の研究者である伊藤亜聖さん、中国政治ウォッチャーの水彩画さん、アジアITライターの山谷剛史さん、中国アナリストの田中信彦さんという豪華な顔ぶれに寄稿していただきました。

なぜ、こんな奇妙なタイトルの本を作ったのか。その思いは本書の「はじめに」に込めてあります。出版社の許可をいただけたので、以下に掲載いたします。

アメリカはなぜ中国を信じられないのか?外商投資法から読み解く(高橋)

2019年05月12日

米中貿易摩擦が激化している。5月5日にトランプ大統領がツイッターで関税引き上げを発表するまでは合意間近と言われていただけに、その急変ぶりには驚くばかりだ。

米中は昨年12月の首脳会談で二国間協議に合意した。中国は米国産大豆の購入など“秋波”を送ってきた。今回取りあげる外商投資法もその一つだ。 3月15日、中国の全国人民代表大会(日本の「国会」に相当)で「外商投資法(リンク先は中国語)」が可決された。2020年1月1日に施行される。

中国企業と外資企業の平等が盛り込まれるなど、この法律をきっかけに外資企業の待遇が改善するのではと期待する声もあるようだが、本当にそうだろうか。 外商投資法の中身に踏み込む前に、まず中国の企業に関する法律とその歴史について触れておこう。というのも、つぎはぎで作られた、複雑な法律だからだ。


弁護士と「公正」~中国弁護士制度史

2019年02月16日

2019年2月1日の『朝日新聞』12面には「中国の司法:弁護士の権利を守れ」という社説が掲載された。この社説では、中国共産党批判を行う弁護士が中国で拘束される問題をあげ、以下のように述べる。「中国のような一党支配国家でも、公正な司法が社会秩序の土台にあるべきだ。弁護士の権利さえ守れないようならば、司法のシステムが機能を失い、国の統治も不全に陥る」。

しかし、この主張は的を射ているのだろうか。中国の弁護士(中国語原文では「律師」)制度について考えてみたい。

中国「デジタル・イノベーション」の実力(高口)

2019年02月11日

伊藤亜聖・東京大学准教授との対談が、雑誌『公研』(2019年1月号)に掲載されました。

中国「デジタル・イノベーション」の実力(リンク先はPDF)

・中国テクノロジーの現在地
・中国発イノベーションが生まれた背景~政府主導か民間主導か
・米中対立がもたらす波紋

といった内容について話しています。『公研』の許可をいただき、無料で公開いたしますので、興味を持った方はぜひご一読を。

また、伊藤准教授と一緒に2月14日にイベントを開催します。
「“中国のシリコンバレー”深圳と“世界一のマーケット”義烏 レンズが映したギラギラ中国」
時間 _2月14日 20:00~22:00 (19:30開場)
場所 _ 本屋B&B
東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F
入場料 _ ■前売1,500yen + 1 drink
■当日店頭2,000yen + 1 drink
イベントのご予約はこちらから
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昨年、中国を一緒に取材した写真家の塩田亮吾さんのカメラが切り取った中国の現状を切り口として、高口と伊藤准教授が解説するというちょっと毛色が変わったイベントです。活字ベースではついつい見過ごしてしまうような、中国の姿を掘り起こしていきますので、ご興味のある方はぜひお越し下さい。

イベント「“中国のシリコンバレー”深圳と“世界一のマーケット”義烏 レンズが映した中国」

2019年01月23日

イベントを開催します。

「“中国のシリコンバレー”深圳と“世界一のマーケット”義烏 レンズが映したギラギラ中国」
時間 _ 20:00~22:00 (19:30開場)
場所 _ 本屋B&B
東京都世田谷区北沢2-5-2 ビッグベンB1F
入場料 _ ■前売1,500yen + 1 drink
■当日店頭2,000yen + 1 drink

イベントのご予約はこちらから!

専門家が読み解く、中国「改憲」の内実(高橋)

2018年03月19日

2018年3月11日、全国人民代表大会(全人代)において、中華人民共和国憲法の改正が決議されました。実に14年ぶりの改正です。その要点はどこにあるのでしょうか?

週刊エコノミストに製造業とECの記事を書きました(高口)

2018年03月11日

週刊エコノミスト2018年3月20日号の特集「爆速イノベーション 中国の技術」にECと製造業に関する記事を寄稿しました。




チベット亡命政府のロブサン・センゲ首相に独占インタビュー(高口)

2018年02月21日

ニューズウィーク日本語版に寄稿しました。

寄稿しました。チベット亡命政府のロブサン・センゲ首相に独占インタビュー。

「ウイグル絶望収容所の起源はチベット」センゲ首相インタビュー 2018/02/21
<共産党の過酷な監視と弾圧が続く中、歴史的なジョカン寺院炎上の衝撃はチベット人に衝撃を与えた。ダライ・ラマ引退後の亡命政府を率いるセンゲ首相が語るチベットの現状と展望>


「OPPO」の日本進出を読み解く(高口)

2018年02月08日

WEDGE Infinityに寄稿しました。

5G携帯は中国勢の天下か、「OPPO」の日本進出を読み解く 2018/02/08
ファミコン互換機「小覇王」の遺伝子を持つOPPOが世界4位のメーカーとなり、日本進出を果たしたというストーリーは、この30年あまりの日中電機産業逆転の象徴のようです。


娯楽愛国映画と中国・アフリカ関係、そして山寨王(高口)

2018年01月17日

中国の大ヒット映画『戦狼2』(ウルフ・オブ・ウォー)を切り口に、中国・アフリカ関係の今を描く6ページです。『戦狼2』(ちなみに1を見ていなくてもまったく問題なし)は、「中国共産党の描く世界観、安全保障観」を知るために格好の作品であると同時に、きわめてハイレベルなバカアクション映画です。

ストーリーがきっちりしてないとイヤ!という方には絶対オススメできませんが、B級アクション好きには見逃せない一作かと。冒頭の水中戦から始まり、市街地での戦闘、カーチェイス、ドローンとの戦い、戦車戦、カンフーバトルと盛りだくさん。特に戦車戦はめっちゃよくできているので、戦車道好きな方もぜひ。監督・主演のウージンは元カンフー王者ということもあり、アクションのレベルは折り紙つきです。

また要所に入るギャグもなかなか。東京国際映画祭では日本人観客からもたびたび笑い声が上がっていました。

渾身の記事を書きました、「海外ライターの暗黒面」に陥らないために(高口)

2017年12月13日

ニューズウィーク日本版(2017年12月19日号)の特集「日本を置き去りにする作らない製造業」に寄稿しました。計7ページも担当させていただきました。ありがたや。

スマートフォン業界を題材に「中国製造 メイドインチャイナ」から「中国設計 デザインバイチャイナ」へと転換する最前線を取材しています。メインの取材対象となったウイングテック、アイディアのスマホ設計会社は黒子の存在ということもあり、日本ではあまり知られていませんが、前者は年間6000万台のスマホ製造にたずさわるモンスター企業、後者はスマホの心臓部であるSoCをスマホだけではなく、VR、ドローン、IoTと多分野開発することに積極的な気鋭の企業です。

そして中国は深圳でEMS(電子機器受託製造)企業を営む藤岡淳一さんに大きな枠組みを提示していただきました。


中国ネットの検閲回避策、「音声ファイルによる拡散」が新トレンドに(高口)

2017年12月13日

iRonnaに初めて寄稿しました。なんかすごいタイトルをつけていただいています……。

ネット検閲に1千万人動員 「ノミの心臓」習近平の世論操作 

持ちネタの検閲話で依頼を受けたのですが、せっかくならばと最新事情である「音声による拡散」も軽く盛り込んでいます。 僕自身も最近取材でわざわざメールやチャットではなく、音声を使うことが増えています。

なぜ音声か。

テキスト→検索しやすくてさくさく見つかる
画像に文字埋め込み→昔の主流だったが文字認識ソフトの能力向上でダメに。
動画→配信サイトの自主規制が強力。ファイルサイズがでかくて取り回しが大変。
音声→ファイルサイズが小さいので大量に流通。そのすべてを音声認識して検閲はまだ無理。

というわけで音声がいいんじゃないのということのよう。まあ音声認識も日進月歩なので、ネットを飛び交う全音声ファイルをテキスト化して検閲という攻殻機動隊のような世界も近いのでしょうが。


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なぜ中国政府は劉暁波の平和思想を受け入れられなかったのか?中国法から考える(高橋)

2017年07月31日

中国法の専門家である高橋孝治氏よりご寄稿をいただいた。平和的な政治改革を迫る劉暁波の思想はなぜ中国政府に受け入れられなかったのか。そもそも劉暁波氏と中国政府の間では「民主」「人権」「憲政」といった用語の定義から大きく異なっており、両者には歩み寄る余地がなかったと分析している。


【追悼・劉暁波氏】劉暁波「08憲章」の法思想

2017年7月13日、ノーベル平和賞受賞で有名な劉暁波氏が亡くなった。劉暁波氏は中国の民主化を訴え続けた人権活動家であり、多くの著作を残している。これら著作の中で最も有名なのが2008年12月9日に公開された「08憲章」であろう。ここでは、劉暁波氏が遺した「08憲章」に流れる法思想を見ていきたい(註1)。

「同性婚未保障」の民法は違憲、台湾の違憲審査がはらむ危険性(高橋)

2017年05月30日

2017年5月24日、台湾の司法院は「同性婚を保障していない民法は違憲」との大法官解釈を示しました(中華民国106年5月24日院台第二字第1060014008号)。この解釈により、立法院は2年以内に同性婚を認める法改正を実施する必要があります。またもし法改正をしなかった場合でも、2年後には現行法の下で同性婚が可能となります。今回はこの解釈がはらむ問題性を考えます。

ブログもSNSも取材は禁止、人民日報のコピペだけにしとけ=中国政府の新ウェブメディア規制(高口)

2017年05月06日

2017年5月、中国国家インターネット情報弁公室は「インターネットニュース情報サービス管理規定」改訂版を発表した。「ブログもSNSも取材はあかん、コピペ推奨、ただし人民日報とかだけね」という新たな規定が盛り込まれている。

「中国モバイル決済の発達ぶりにビビる日本人」中国ネットユーザーの反応(高口)

2017年05月05日

先日、人気サイト「市況かぶ全力2階建」の記事「凄い勢いで進む中国のキャッシュレス社会、既に想像の遥か上に到達」がバズりました。中国ではアリペイ、ウィチャットペイなどモバイル電子決済がいかに普及しているかというツイートを集めたまとめです。

このバズりが中国メディアの目にとまり、複数の中国のネットで紹介されています。例えば第一財経の「中国移动支付震惊日本网友 为什么美国也落后那么多?」とかですね。大手ポータルが転載し、バイドゥ
ニュースのトップに上がるなどかなりの注目を集めているよう。というわけで、記事やSNSのコメント欄を適当に眺めて目にとまった中国人の反応をざっくりとご紹介します。

検閲には困ってない?!中国コンテンツ企業の意外な本音(高口)

2017年05月04日

中国コンテンツの検閲問題について、ついついNGワードや細かい規定が話題となりがちなのですが、むしろジャンル規制こそが課題なのかもしれません。

2017年5月2日、「超加速世界!激アツ!!深圳現地レポ」というイベントに登壇させていただきました。しつこく自著『現代中国経営者列伝』を宣伝させていただいたのですが、観客の皆様には石を投げられることもなく、暖かく迎えて頂きました。

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イベント中、中国ゲームの規制が話題に上がりました。「英語の使用が禁止されたため、STARTとはかけずに開始と表示しなければならない」「使ってはいけないNGワードが指定されているが、何が使ってはいけない言葉なのかは政府は公開していない」といった類の話です。

突如盛り上がってきた「中国スゲェ話」と中国ネットの「日本スゲェ話」(高口)

2017年05月04日

「日本ではいつから“中国経済はすごい”話がこんなに盛り上がっているの?!」

数日前、中国・雲南省に住む某アジアITライター・Yから愚痴のような、泣き言のような電話がかかってきた。

「もう20年近く中国事情をウォッチしてきたけどさぁ、最近中国が急にイケてるなんてことはないと思うんだよね。家電やIT機器だったら、前より商売苦しくなっているところのほうが多いかもしれない。それなのにさ、なんか日本のメディアを見たらさ、今まで中国のことなんか見向きもしなかったライターがわしゃわしゃ“中国スゲェ、中国スゲェ”って記事書いているし。ツイッターとか見てても“中国スゲェ中国スゲェ”って騒いでいる人がごまんといるし。いったいわいが気づかない間に中国に、日本に何が起こったんや……。」

と延々愚痴は続く。
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