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ニューヨークの民家の庭で1万1000年前に絶滅したマストドンの顎の化石が発見される

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マストドンの復元予想図 Sergiodlarosa / WIKI commons

 アメリカ、ニューヨーク州オレンジ郡の民家の裏庭で、完全な「マストドン」のアゴの化石が発見されたそうだ。

 マストドンは、象やマンモスと同じゾウ類に属するがより古く、4000万年前から1万1000年前に世界の大陸に生息していた

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 森林地帯を中心に草食生活を送っていたとされるが、その生態にはまだ多くの謎が残されている。

 オレンジ郡では、これまでも「後期更新世」の動物の化石が多数発掘されている。今回の発見は、マストドンの生活環境や絶滅に至る経緯を解明する貴重な手がかりとなる可能性がある。

裏庭で巨大な歯らしきものを目にして仰天する住民

 ニューヨーク州オレンジ郡スコッチタウン在住の男性の自宅の裏庭で、植物の木陰に骨のカケラのようなものが発見されたのは9月下旬のことだ。

  興味を惹かれた男性が、さらに少しだけ掘ってみると、さらに2点の歯の化石が見つかったという。

 「見つけた歯の化石を手に取って調べてみて、特別なものだとわかりました」と、その男性は述べている。

 男性は、詳しく調査するためにニューヨーク州立博物館とニューヨーク州立大学の専門家に相談した。

 こうして最終的に、マストドンの大人のアゴ全体のほか、つま先の一部と肋骨のカケラの化石であることが判明したのだ。

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裏庭で発掘されたマストドンの歯の化石 image credit:New York State Museum

アメリカの氷河期の生態系を知る手がかりに

 ニューヨーク州立大学の人類学者コリー・ハリス氏によると、今回の化石の「主役はアゴ」であるそう。

 だが、足や肋骨の化石はその背景を伝えてくれるため、このマストドンについてさらに詳しいことがわかるという。

 ちなみにマストドンはマンモスよりも古い時代を生きており、大きな違いの一つは歯だ。マストドンの歯のギザギザの先端(歯尖)は尖って独特の形をしており、木のような植物を食べるのに便利だった。

 一方、マンモスの歯のギザギザはもっと平らで、草を食べるのに適していた。

 マストドンの種などの情報はまだ発表されていない。放射性炭素による年代の測定や、マストドンが食べたものや生息地などの解明は、まさに今行われている最中だ。

 ニューヨーク州立博物館の進化生態学者ロバート・フェラネック氏は、この発見はニューヨーク州に豊かな古生物学の歴史があることを示す証拠と述べている。

マストドンのアゴは、この大きな動物の生態を知るまたとないチャンスです。氷河期この地域にどのような生態系があったのか理解を深められるでしょう(フェラネック氏)

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マストドンの顎の化石と発掘現場 image credit:New York State Museum

陸橋を渡ってきた人間によって絶滅した?

 ニューヨーク州立博物館が所蔵する1万6000点以上の化石標本の多くは、およそ1万5000年前の「後期更新世」のものだ。

 マストドンの化石については、同州ではこれまで150点以上が発掘されている。

 そのうち3分の1が、今回の化石が見つかったオレンジ郡で発掘されたものだそうだが、最後同郡でマストドンの化石が発見されたのは11年前のことだ。

 一方、アイオワ州ウェイン郡では2022年にマストドンの頭蓋骨の化石が発見されている。

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連絡を受けた専門家によって、化石は直ちに発掘された image credit:New York State Museum

 その多くはダッチェス・クエリ洞窟など、オレンジ郡の洞窟で発掘されたもの。

 こうした洞窟からは、そこで1万2000年前に狩猟採集生活を送っていた人間が残した石器などの遺物も見つかっている。

 12万9000~1万1700年前にわたる後期更新世は、今よりもずっと寒い時代だった。

 そのために氷河が広がり、海面は低下した。その結果、現在はない陸橋が形成されていた地域もある。

 その1つが、シベリアとアラスカを結んでいた「ベーリング地峡」で、人類はこれを渡ってシベリアからアラスカへと移動することができた(ただし、最初の人類が初めて北アメリカに到達したのがこのルートだったかどうかは諸説ある)。

 このことがアメリカ大陸の動物たちに甚大な影響を与えた可能性がある。

 後期更新世において、北アメリカではマストドンを含む約35種の大型動物が絶滅した。その背景には、この時期人類がやってきたことがあるのではと推測されている。

 今回のマストドン化石が、この議論にどう影響するのかは、今後明らかになる発見次第だろう。

 この情報はニューヨーク州立博物館のプレスリリース(2024年12月17日付)に発表された。

References: FIRST MASTODON DISCOVERY IN OVER 11 YEARS: STUNNING PREHISTORIC FIND UNEARTHED IN ORANGE COUNTY, NEW YORK   | The New York State Museum / Rare Fossil: Mastodon Jaw Discovered in Back Yard by New York Man : ScienceAlert

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この記事へのコメント、3件

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  1. どういうこと? ニューヨークの氷河期にマストドンの家があったの?

  2. >4000万年前から1万1000年前に世界の大陸に生息していた

    wikiなんかにもこう書いてあるけど
    元記事読むと375万年前~1万1000年前、とあるので
    どうもゼロが一つ多い状態で広まってしまった模様。
    哺乳類で4000万年間続いた属というのはちょっと無いと思う。

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