3月11日、福島第二原発を津波が襲ったときの写真:TEPCO発表
「注水用ホースを700本用意しろ!」と指示
福島第一原発に関する国内外の記事のダイジェストをまとめているFukushima 311 Watchdogsというサイトがあります。
このサイトの6月のアーカイブの中に、「福島第二原発は水中に没した(Fuksuhima Daini was Submerged)」という記事があります。
大元のソースは、週刊朝日 2011年5月4・11日合併号です。
東電発表に食い違い 「被害否定の福島第二原発も地震で壊れていた」
週刊朝日 5月27日(日)1時16分配信
昨年の東日本大震災で大きな被害はなかったと東電より発表されている福島第二原発だが、その発表と実際の状況は違うと、福島第二原発で働くジャーナリスト・桐島瞬氏は否定する。
* * *
東電関係者は当時の様子をこう語る。
「通信が途絶えてフクイチ(福島第一原発)で何が起きているのかよくわからない状況の中、フクニ(福島第二原発)の人間も原子炉の冷却系などが失われたこ とに危機を抱いていた。
原子炉の温度が上がり、震災のあった夜中には、『注水用のホースを700本用意しろ』との指示が出たほとだ」。
まさに、フクニも、危機一発だったのだ。
フクニ内で毎日、震災被害を目のあたりにし、東電の発表する内容が実際の状況と食い違うことがわかってきた。
一例を挙げよう。
東電は昨年5月、フクニについて、「3、4号機タービン建屋は被害なし」と断定している。
いまさら、東電の発表をうのみにする方も少ないとは思うが、階段の壁に紙が貼られ、そこには手書きでこう書かれている。
「2011・3・11(水没)床面より約430cm」
東電の発表では「被害なし」となっている場所に、4メートル以上の浸水があったことが明記されているのだ。
これを東電がどう説明しているか。
昨年12月の「福島原子力事故調査報告書(中間報告書)」では、1~3号機タービン建屋の地下で浸水が確認されたことを認めた。
だが、今年3月11日に発表した「福島第一原子力発電所この1年」では、「3/4号機タービン建屋は被害なし」と断定し、中間報告書で認めたはずの浸水被害がいつのまにか消えている。
さらに驚くべきことがある。
東電が昨年8月に発表した「福島第二原子力発電所 東北地方太平洋沖地震に伴う原子炉施設への影響について」では、この被害が載っているのだが、「淡水の漏えい状況」として、漏水の原因を「サージタンクのオーバーフロー水がオーバーフローしたものと確認」と記載、「地下2階全域に浸水及び浸水跡を確認」している。
しかし、現実は「浸水」というより、「水没」である。タンクの水があふれかえったのはなぜなのか。
津波とは無関係と言えるのか。
※週刊朝日 2011年5月4・11日合併号
この記事では、福島第二原発について、二つのことが「問題である」と指摘されています。
その1. 原子炉の冷却系が失われていた
・福島第二原発の冷却系が失われて、原子炉の温度が上昇していた。
・注水用のホースを700本用意しろとの指示が出ていた。
つまり、福島第二原発では、去年の3月11日直後、外部から水を注入しなければならない事態が起こっていた、ということ。
それは、具体的に、どういうことなのか。
下の表は、今年3月に公式発表された福島第一原子力発電所この1年の4ページ目。
地震の加速度(ガル)を表したもの。
これまで福島原発を襲った地震の加速度(ガル)については何回か修正してきた東電ですが、これで決定ということです。
クリックで拡大表示
耐震設計の基準値(最大応答加速度値)は、2006年に全面改定された原発の耐震指針によって「安全性が確保できる」基準。
東電が、新指針を受けて同原発の再点検を行い、2009年6月までに「安全性は確保された」と原子力安全・保安院に中間報告を出していたにもかかわらず、それを上回る揺れが2号機、3号機、5号機の原子炉建屋地下で起きていたことを示しています。
だから、東電としては、「国の基準を守ったのだから、我々に落ち度はない。想定外の地震が起こることを国が考えなかったことが問題だ」と言いたいはずです。
しかし、これは、あくまでも本当に東電が耐震基準を満たしていたという前提に立っての話です。
この表によると、福島第二原発も第一原発とほぼ同じ耐震基準を達成しており、福島第二の各建屋を襲った地震の加速度は、東西方向では福島第一の半分程度であったことが記されています。
にもかかわらず、原子炉の冷却系が一時的にでも失われて、「注水用のホースを700本用意しろ」と現場は非常事態だったのですから、福島第二の2倍以上の地震加速度に襲われた福島第一は、地震によって破壊された、と考えるのが自然です。
それは、むしろ東西方向、そして南北方向の揺れではなく、上下方向の地震加速度によって原子炉のあちらこちらが破壊されたことを意味します。
日本の原発は直下型地震が来たらひとたまりもない!?
理屈っぽい説明を省力していますが、分かるでしょうか?
福島第一原発だけでなく、日本の原発は縦(上下)方向の揺れに、とても弱いということです。
まず、この表の単位となっている「ガル」を理解する必要があります。
地震の激しさ=ガル(地震の揺れの加速度)とは何か、高層ビルの長周期地震動の様子を見ると実感として捉えやすいかもしれません。
室内にあるコピー機が、最初はゆっくり動き、一気に突進してきます。
地震のとき、スピードをつけて飛んできたコピー機と壁の間に挟まれたら、大怪我ではすまないでしょう。
建物の震動がもっと激しければ、コピー機は、さらに勢いよく突進してきます。
コピー機のように、ローラーがついていない本棚は、床のカーペットとの摩擦によって、その場に倒れてきます。
これが、目で見たときの「ガル」です。
ガルとは、1秒に1cmずつ速くなる加速の状態を表すもので、この数字が大きいほど、揺れも激しいことを示します。
また、上の動画のように、高層ビルの上層階で、より振幅の大きな揺れになった場合、コピー機はザーッと遠くに、そして速く飛ばされます。
このとき、人や他の備品、壁などに当たって、どれくらいダメージを与えるかは、コピー機の重量(正確には質量)と加速度の大きさを掛け算したもので分かります。
同じ重さのコピー機であれば、ガルが大きいほど、大きなエネルギーを持っていることになり、破壊力も大きくなります。
重力加速度は1gと表記されますが、g(重力加速度)は、つまりは980ガルということになります。
ちなみの阪神淡路大震災のときは、最大化速度808ガルを記録。
六甲アイランドでは、縦揺れ(上下方向)で507ガルが記録されました。(以上Wiki)
直下型の場合、地震の規模を表すマグニチュードが小さくても、破壊力は凄まじいものになることはテレビのニュース映像で感覚的に理解しています。
福島第一原発の耐震設計の基準値(最大応答加速度値)では、上下方向については、上の表にあるとおり、412~427ガルです。
福島第二のほうは、第一より強度があり、504~512ガルです。
理論的には、ここまでは耐えられる設計になっている、ということです。
3月11日に起こった地震の縦揺れ(上下方向)は、第一、第二とも200~300ガルで、基準値(最大応答加速度値)の半分以下です。
福島第一では、耐震設計上の基準値を超える東西方向の500ガル以上の揺れが起こりました。
福島題にでは、同じく東西方向の揺れが、その半分以下の200ガル程度でした。
しかし、実際には福島第二で重大なトラブルが起きたのです。
それは、横揺れより縦揺れが、よりダメージを与えることを示しています。
余談ですが、敦賀原発のすぐ近くの断層は、どうも、巨大断層であるらしいのです。
直下型の地震が起これば、日本の原発はひとたまりもない、ということです。
ドイツZDF報告の「フクシマの嘘」を観た方は多いでしょう。
キャプチャーはこの記事にあります。
この動画の最後の方に、著名な地震学者の島村英紀氏へのインタビューがあります。(島村英紀のホームページ)
島村英紀氏は、過去最大の揺れは4000ガルだったと言っています。
実際に、日本での過去最大は、2008年(平成20年)6月に起きた岩手・宮城内陸地震で、一関市で観測された4022ガルです。
その他、宮城県北部地震(2003年)では2037ガル、新潟県中越地震(2004年)では震度7だった新潟県川口町で2515ガルを記録したほか、新潟県中越沖地震(2007年)でも震度6強を記録した新潟県柏崎市西山町で 1019ガルにも達していたことがわかっています。
今まで、「起こるはずがない」とされてきた重力加速度(980ガル)を超える地震が、ひんぱんに起きるようになっているのです。
そのことをドイツZDFのハーノ記者が東電の担当者に訊ねると…
「4000ガルなんて、そんなことあるはずがない」とばかり、まったく意に介さない様子。
そんな地震など、東電の原発に限って起こるはずがない、今でも信じているのでしょう。
要するに、世間知らずで非常識な人たちの集団なのです。全然、優秀な人たちの集団などではありません。むしろ、その逆が東電という犯罪テロ企業です。
この会社は、どうやってもダメです、潰す以外。
福島第一原発近くの地下にある双葉断層に沿って、水が上がってきていることが確認されています。
これが、直下型地震の引き金になると東北大学の教授が指摘しています。
それでも「大丈夫」と言う彼らの自信は、いったいどこから来るのでしょう。
まったく理解できない人たちです。
その2. タービン建屋地下が水没していた
・原子炉の海側にあるタービン建屋には「2011・3・11(水没)床面より約430cm」もの浸水があった。
・そして、この水が海水ではなく淡水であったこと。
東電は、2011年8月12日の最初の報告書では、「タービン建屋の地下2階まで、水深4.3mも水没されたのは、サージタンクから漏れた淡水だ」と書いていましたが、その翌月の9月には、訂正版を出してきました。
そして、今年3月11日に発表した「福島第一原子力発電所この1年」の11ページには、下のように、「3/4号機タービン建屋は被害なし」と変更されています。(↓画像クリック)
これは2011年4月2日に東電が撮影したものです。
海側のタービン建屋は確かに無傷です。
東電関係者が原子炉建屋の壁にボードを当てて、「ここまで津波が来た」と示しているところ。
つまり、「津波による被害はなかった。しかし、原子炉は冷却が止まった」。
そして、「タービン建屋の地下は、サージタンクから漏れた淡水によって水没した」と言うのです。
これは、「福島第二原発で上のような事象が起こったのは津波のせいではない」と東電自らが認めていることになるのでは?
年中、嘘ばかりついていると、とうとう自分が本当のことを言っていても、それも嘘だから世間にばれない、と錯覚してしまうのです。
もし、腕のいい専門家が福島第ニに入って調査すれば、福島第一が地震のせいで壊滅したことが、より信憑性を持ってしまうのです。
だから、福島第二原発には、絶対にジャーナリストや原発学者は入れないでしょう。
たとえ、それが身内の御用学者であろうとも。
東電の事情からすれば、是が非でも福島第二原発を再稼動させなければならないはずです。
なぜか?
福島第二は、津波のダメージは、ほとんとゼロということになっているので、それを証明するためにも再稼動が必要なのです。
そうすれば、おのずと、福島第一原発が地震のせいではなく、津波によって破壊された、ということが状況的に証明できるのです。
ふくいち潜入取材-
福島第二にでも異常事態。東電関係者の危惧
ジャーナリストの鈴木智彦氏は、福島第一原発で作業員として働きながら、極秘に取材・撮影を続けていました。
そのときの模様は、ヤクザと原発 福島第一潜入記という本に書き表わされています。
ニコ生トークセッション「ヤクザと原発 ~福島第一潜入記~」
この動画は半年近く前に配信されたものです。
1:05:50から、福島第二原発の隠された事情について話しています。その部分だけ書き起こし。
司会 青木理:
この本の最後の方に、ちょろっとしか書かれてなかったんで、もう一冊、書いて欲しいと思っているんだけれど、F2、すなわち福島第二原発。
今のところ僕らは福島第一原発は悲惨だけれど、福島第一原発の中でも、5号機、6号機は大丈夫だと。
だから、福島第二原発にいたっては、基本的に何の問題もないんだろう、という認識なんだけど、そうじゃないんですか?
鈴木智彦:
そうじゃないんですよ、福島第二は限りなく怪しいんですよ。
限りなく怪しくて。
なぜかというと、1号機から4号機まで、みんな動いていたんですけれど、今のところ、日立がやっている4号機の中に、8月29日に格納容器内に入って点検したと…。
で、点検はしたんだけれども、何の具体的な作業もなしに、バンッと出てきていると。
なぜかというと、中が水浸しだったと…。
司会 青木理:
建屋の中ということですか?
鈴木智彦:
建屋の中もそうですが、要はフラスコ(格納容器)の中。
ということは、建屋が崩壊しない程度の小爆発があるんじゃないかと。
と業者のみんなは言っていて。
といっても、僕は、それを書き飛ばすわけにはいかないんで、学者さんに訊いたり、元東芝の技術者の方に訊いたりしてるんですけど、まあ、東電が業者に情報を小出し、小出しにするんですよ。
たとえば、釜(原子炉)の上のほうを担当する人間には、その上の情報しか与えない、下を担当する人には、下の情報しか与えない、というように。
それを統合して、(全体的には)本当はどうなのか、というのが分らない。
とにかく、地震でかなり配管が破損していることは、おそらく間違いないだろうと。
それ自体、重大なトラブルだし、もしかしたら、格納容器の中は放射能まみれになっているかも分らないと。
司会 青木理:
すなわち、今のところ、福島第一原発が悲惨な状況になっていて、みんな目を奪われているけれども、福島第二原発も、相当何かの異常事態…。
鈴木智彦:
そうですね、1F(福島第一)にくらべちゃったらかすむんだろうけど、相当な異常事態が起きているんだろうと推測しています。
司会 青木理:
それは、現場で働いている人たちなんかは、そういう話をしているわけですか?
鈴木智彦:
してますね。
最初は、(そうした構内で流れている話が)週刊誌に売り込むための噂話ではないかと、相手にしてなかったんですけど、どうも、偉い人たち--末端の労働者の人でなく、それを束ねている人たちとか、東電の関係者の人たちに訊いても、同じような危惧を持っていると。
怪しいんじゃないかなと思っている。
司会 青木理:
それは、ヤクザから入り口にして、福島第一に潜入して…もう一冊読みたい気がしますよね。
第二原発は潜入しようがないですものね、今のところは。
働きようもないし。
鈴木智彦:
ただ、潜入するまでもなく、周辺取材をある程度、地道にすれば。
ただ、エンジニアが読んだら、ものすごく面白いんだろうけど。
ものすごく科学的な話というか、物理理学的な話というか、原子力工学的な話というか、になってくるんで、万人に受ける本にはならないと思いますけれど。
情報を、そのパート、パートごとに小出しに与え、決して全体像が掴めないようにしておく、というやり方は、軍や世界一有名な秘密結社、それにヒエラルキー構造のカルト宗教で行われている方法ですが、結局、そうしているうちに、たった一握りの上層部でさえ、本当に何が起こっているか分からなくなってしまうのでしょう。
福島第一原発構内では、常に福島第二に関するさまざまな噂が流れているようです。
これは安定化センターなどのプロジェクトが、福島第一原発内に設置できず、福島第二原発に間借りする形でスタートしたことから、第一と第二の間で人の行き来が頻繁に行われていることもあるのでしょう。
(安定化センターは、現在は福島第二原発敷地内にあるが、「福島第一安定化センター設立準備担当」を設置し、福島第一原発内にセンターを設置するべく準備を進める。実施予定日は6月28日となっている)。
とにもかくにも、鈴木智彦氏の言う「福島第二原発の配管が大分、損傷している」というのは週刊朝日の記事を書いた桐島瞬と一致しています。
福島第一、第二のオーナーの立場としては、福島第二原発が無傷であるということにして、平然と再稼動させることこそ、これから気の遠くなるような福島第一原発事故の補償を軽くすることにつながるのです。
福島第二を再び動かして、プラントが無傷であったことを世間に印象づけることは、福島第一が地震によって破壊されたのではなく、津波によって破壊された、という東電の主張を補強することになるからです。
東京電力株式会社福島第二原子力発電所復旧計画書の受理について--
この文書が、それを暗示しています。
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福島第一原発に関する国内外の記事のダイジェストをまとめているFukushima 311 Watchdogsというサイトがあります。
このサイトの6月のアーカイブの中に、「福島第二原発は水中に没した(Fuksuhima Daini was Submerged)」という記事があります。
大元のソースは、週刊朝日 2011年5月4・11日合併号です。
東電発表に食い違い 「被害否定の福島第二原発も地震で壊れていた」
週刊朝日 5月27日(日)1時16分配信
昨年の東日本大震災で大きな被害はなかったと東電より発表されている福島第二原発だが、その発表と実際の状況は違うと、福島第二原発で働くジャーナリスト・桐島瞬氏は否定する。
* * *
東電関係者は当時の様子をこう語る。
「通信が途絶えてフクイチ(福島第一原発)で何が起きているのかよくわからない状況の中、フクニ(福島第二原発)の人間も原子炉の冷却系などが失われたこ とに危機を抱いていた。
原子炉の温度が上がり、震災のあった夜中には、『注水用のホースを700本用意しろ』との指示が出たほとだ」。
まさに、フクニも、危機一発だったのだ。
フクニ内で毎日、震災被害を目のあたりにし、東電の発表する内容が実際の状況と食い違うことがわかってきた。
一例を挙げよう。
東電は昨年5月、フクニについて、「3、4号機タービン建屋は被害なし」と断定している。
いまさら、東電の発表をうのみにする方も少ないとは思うが、階段の壁に紙が貼られ、そこには手書きでこう書かれている。
「2011・3・11(水没)床面より約430cm」
東電の発表では「被害なし」となっている場所に、4メートル以上の浸水があったことが明記されているのだ。
これを東電がどう説明しているか。
昨年12月の「福島原子力事故調査報告書(中間報告書)」では、1~3号機タービン建屋の地下で浸水が確認されたことを認めた。
だが、今年3月11日に発表した「福島第一原子力発電所この1年」では、「3/4号機タービン建屋は被害なし」と断定し、中間報告書で認めたはずの浸水被害がいつのまにか消えている。
さらに驚くべきことがある。
東電が昨年8月に発表した「福島第二原子力発電所 東北地方太平洋沖地震に伴う原子炉施設への影響について」では、この被害が載っているのだが、「淡水の漏えい状況」として、漏水の原因を「サージタンクのオーバーフロー水がオーバーフローしたものと確認」と記載、「地下2階全域に浸水及び浸水跡を確認」している。
しかし、現実は「浸水」というより、「水没」である。タンクの水があふれかえったのはなぜなのか。
津波とは無関係と言えるのか。
※週刊朝日 2011年5月4・11日合併号
この記事では、福島第二原発について、二つのことが「問題である」と指摘されています。
その1. 原子炉の冷却系が失われていた
・福島第二原発の冷却系が失われて、原子炉の温度が上昇していた。
・注水用のホースを700本用意しろとの指示が出ていた。
つまり、福島第二原発では、去年の3月11日直後、外部から水を注入しなければならない事態が起こっていた、ということ。
それは、具体的に、どういうことなのか。
下の表は、今年3月に公式発表された福島第一原子力発電所この1年の4ページ目。
地震の加速度(ガル)を表したもの。
これまで福島原発を襲った地震の加速度(ガル)については何回か修正してきた東電ですが、これで決定ということです。
クリックで拡大表示
耐震設計の基準値(最大応答加速度値)は、2006年に全面改定された原発の耐震指針によって「安全性が確保できる」基準。
東電が、新指針を受けて同原発の再点検を行い、2009年6月までに「安全性は確保された」と原子力安全・保安院に中間報告を出していたにもかかわらず、それを上回る揺れが2号機、3号機、5号機の原子炉建屋地下で起きていたことを示しています。
だから、東電としては、「国の基準を守ったのだから、我々に落ち度はない。想定外の地震が起こることを国が考えなかったことが問題だ」と言いたいはずです。
しかし、これは、あくまでも本当に東電が耐震基準を満たしていたという前提に立っての話です。
この表によると、福島第二原発も第一原発とほぼ同じ耐震基準を達成しており、福島第二の各建屋を襲った地震の加速度は、東西方向では福島第一の半分程度であったことが記されています。
にもかかわらず、原子炉の冷却系が一時的にでも失われて、「注水用のホースを700本用意しろ」と現場は非常事態だったのですから、福島第二の2倍以上の地震加速度に襲われた福島第一は、地震によって破壊された、と考えるのが自然です。
それは、むしろ東西方向、そして南北方向の揺れではなく、上下方向の地震加速度によって原子炉のあちらこちらが破壊されたことを意味します。
日本の原発は直下型地震が来たらひとたまりもない!?
理屈っぽい説明を省力していますが、分かるでしょうか?
福島第一原発だけでなく、日本の原発は縦(上下)方向の揺れに、とても弱いということです。
まず、この表の単位となっている「ガル」を理解する必要があります。
地震の激しさ=ガル(地震の揺れの加速度)とは何か、高層ビルの長周期地震動の様子を見ると実感として捉えやすいかもしれません。
室内にあるコピー機が、最初はゆっくり動き、一気に突進してきます。
地震のとき、スピードをつけて飛んできたコピー機と壁の間に挟まれたら、大怪我ではすまないでしょう。
建物の震動がもっと激しければ、コピー機は、さらに勢いよく突進してきます。
コピー機のように、ローラーがついていない本棚は、床のカーペットとの摩擦によって、その場に倒れてきます。
これが、目で見たときの「ガル」です。
ガルとは、1秒に1cmずつ速くなる加速の状態を表すもので、この数字が大きいほど、揺れも激しいことを示します。
また、上の動画のように、高層ビルの上層階で、より振幅の大きな揺れになった場合、コピー機はザーッと遠くに、そして速く飛ばされます。
このとき、人や他の備品、壁などに当たって、どれくらいダメージを与えるかは、コピー機の重量(正確には質量)と加速度の大きさを掛け算したもので分かります。
同じ重さのコピー機であれば、ガルが大きいほど、大きなエネルギーを持っていることになり、破壊力も大きくなります。
重力加速度は1gと表記されますが、g(重力加速度)は、つまりは980ガルということになります。
ちなみの阪神淡路大震災のときは、最大化速度808ガルを記録。
六甲アイランドでは、縦揺れ(上下方向)で507ガルが記録されました。(以上Wiki)
直下型の場合、地震の規模を表すマグニチュードが小さくても、破壊力は凄まじいものになることはテレビのニュース映像で感覚的に理解しています。
福島第一原発の耐震設計の基準値(最大応答加速度値)では、上下方向については、上の表にあるとおり、412~427ガルです。
福島第二のほうは、第一より強度があり、504~512ガルです。
理論的には、ここまでは耐えられる設計になっている、ということです。
3月11日に起こった地震の縦揺れ(上下方向)は、第一、第二とも200~300ガルで、基準値(最大応答加速度値)の半分以下です。
福島第一では、耐震設計上の基準値を超える東西方向の500ガル以上の揺れが起こりました。
福島題にでは、同じく東西方向の揺れが、その半分以下の200ガル程度でした。
しかし、実際には福島第二で重大なトラブルが起きたのです。
それは、横揺れより縦揺れが、よりダメージを与えることを示しています。
余談ですが、敦賀原発のすぐ近くの断層は、どうも、巨大断層であるらしいのです。
直下型の地震が起これば、日本の原発はひとたまりもない、ということです。
ドイツZDF報告の「フクシマの嘘」を観た方は多いでしょう。
キャプチャーはこの記事にあります。
この動画の最後の方に、著名な地震学者の島村英紀氏へのインタビューがあります。(島村英紀のホームページ)
島村英紀氏は、過去最大の揺れは4000ガルだったと言っています。
実際に、日本での過去最大は、2008年(平成20年)6月に起きた岩手・宮城内陸地震で、一関市で観測された4022ガルです。
その他、宮城県北部地震(2003年)では2037ガル、新潟県中越地震(2004年)では震度7だった新潟県川口町で2515ガルを記録したほか、新潟県中越沖地震(2007年)でも震度6強を記録した新潟県柏崎市西山町で 1019ガルにも達していたことがわかっています。
今まで、「起こるはずがない」とされてきた重力加速度(980ガル)を超える地震が、ひんぱんに起きるようになっているのです。
そのことをドイツZDFのハーノ記者が東電の担当者に訊ねると…
「4000ガルなんて、そんなことあるはずがない」とばかり、まったく意に介さない様子。
そんな地震など、東電の原発に限って起こるはずがない、今でも信じているのでしょう。
要するに、世間知らずで非常識な人たちの集団なのです。全然、優秀な人たちの集団などではありません。むしろ、その逆が東電という犯罪テロ企業です。
この会社は、どうやってもダメです、潰す以外。
福島第一原発近くの地下にある双葉断層に沿って、水が上がってきていることが確認されています。
これが、直下型地震の引き金になると東北大学の教授が指摘しています。
それでも「大丈夫」と言う彼らの自信は、いったいどこから来るのでしょう。
まったく理解できない人たちです。
その2. タービン建屋地下が水没していた
・原子炉の海側にあるタービン建屋には「2011・3・11(水没)床面より約430cm」もの浸水があった。
・そして、この水が海水ではなく淡水であったこと。
東電は、2011年8月12日の最初の報告書では、「タービン建屋の地下2階まで、水深4.3mも水没されたのは、サージタンクから漏れた淡水だ」と書いていましたが、その翌月の9月には、訂正版を出してきました。
そして、今年3月11日に発表した「福島第一原子力発電所この1年」の11ページには、下のように、「3/4号機タービン建屋は被害なし」と変更されています。(↓画像クリック)
これは2011年4月2日に東電が撮影したものです。
海側のタービン建屋は確かに無傷です。
東電関係者が原子炉建屋の壁にボードを当てて、「ここまで津波が来た」と示しているところ。
つまり、「津波による被害はなかった。しかし、原子炉は冷却が止まった」。
そして、「タービン建屋の地下は、サージタンクから漏れた淡水によって水没した」と言うのです。
これは、「福島第二原発で上のような事象が起こったのは津波のせいではない」と東電自らが認めていることになるのでは?
年中、嘘ばかりついていると、とうとう自分が本当のことを言っていても、それも嘘だから世間にばれない、と錯覚してしまうのです。
もし、腕のいい専門家が福島第ニに入って調査すれば、福島第一が地震のせいで壊滅したことが、より信憑性を持ってしまうのです。
だから、福島第二原発には、絶対にジャーナリストや原発学者は入れないでしょう。
たとえ、それが身内の御用学者であろうとも。
東電の事情からすれば、是が非でも福島第二原発を再稼動させなければならないはずです。
なぜか?
福島第二は、津波のダメージは、ほとんとゼロということになっているので、それを証明するためにも再稼動が必要なのです。
そうすれば、おのずと、福島第一原発が地震のせいではなく、津波によって破壊された、ということが状況的に証明できるのです。
ふくいち潜入取材-
福島第二にでも異常事態。東電関係者の危惧
ジャーナリストの鈴木智彦氏は、福島第一原発で作業員として働きながら、極秘に取材・撮影を続けていました。
そのときの模様は、ヤクザと原発 福島第一潜入記という本に書き表わされています。
ニコ生トークセッション「ヤクザと原発 ~福島第一潜入記~」
この動画は半年近く前に配信されたものです。
1:05:50から、福島第二原発の隠された事情について話しています。その部分だけ書き起こし。
司会 青木理:
この本の最後の方に、ちょろっとしか書かれてなかったんで、もう一冊、書いて欲しいと思っているんだけれど、F2、すなわち福島第二原発。
今のところ僕らは福島第一原発は悲惨だけれど、福島第一原発の中でも、5号機、6号機は大丈夫だと。
だから、福島第二原発にいたっては、基本的に何の問題もないんだろう、という認識なんだけど、そうじゃないんですか?
鈴木智彦:
そうじゃないんですよ、福島第二は限りなく怪しいんですよ。
限りなく怪しくて。
なぜかというと、1号機から4号機まで、みんな動いていたんですけれど、今のところ、日立がやっている4号機の中に、8月29日に格納容器内に入って点検したと…。
で、点検はしたんだけれども、何の具体的な作業もなしに、バンッと出てきていると。
なぜかというと、中が水浸しだったと…。
司会 青木理:
建屋の中ということですか?
鈴木智彦:
建屋の中もそうですが、要はフラスコ(格納容器)の中。
ということは、建屋が崩壊しない程度の小爆発があるんじゃないかと。
と業者のみんなは言っていて。
といっても、僕は、それを書き飛ばすわけにはいかないんで、学者さんに訊いたり、元東芝の技術者の方に訊いたりしてるんですけど、まあ、東電が業者に情報を小出し、小出しにするんですよ。
たとえば、釜(原子炉)の上のほうを担当する人間には、その上の情報しか与えない、下を担当する人には、下の情報しか与えない、というように。
それを統合して、(全体的には)本当はどうなのか、というのが分らない。
とにかく、地震でかなり配管が破損していることは、おそらく間違いないだろうと。
それ自体、重大なトラブルだし、もしかしたら、格納容器の中は放射能まみれになっているかも分らないと。
司会 青木理:
すなわち、今のところ、福島第一原発が悲惨な状況になっていて、みんな目を奪われているけれども、福島第二原発も、相当何かの異常事態…。
鈴木智彦:
そうですね、1F(福島第一)にくらべちゃったらかすむんだろうけど、相当な異常事態が起きているんだろうと推測しています。
司会 青木理:
それは、現場で働いている人たちなんかは、そういう話をしているわけですか?
鈴木智彦:
してますね。
最初は、(そうした構内で流れている話が)週刊誌に売り込むための噂話ではないかと、相手にしてなかったんですけど、どうも、偉い人たち--末端の労働者の人でなく、それを束ねている人たちとか、東電の関係者の人たちに訊いても、同じような危惧を持っていると。
怪しいんじゃないかなと思っている。
司会 青木理:
それは、ヤクザから入り口にして、福島第一に潜入して…もう一冊読みたい気がしますよね。
第二原発は潜入しようがないですものね、今のところは。
働きようもないし。
鈴木智彦:
ただ、潜入するまでもなく、周辺取材をある程度、地道にすれば。
ただ、エンジニアが読んだら、ものすごく面白いんだろうけど。
ものすごく科学的な話というか、物理理学的な話というか、原子力工学的な話というか、になってくるんで、万人に受ける本にはならないと思いますけれど。
情報を、そのパート、パートごとに小出しに与え、決して全体像が掴めないようにしておく、というやり方は、軍や世界一有名な秘密結社、それにヒエラルキー構造のカルト宗教で行われている方法ですが、結局、そうしているうちに、たった一握りの上層部でさえ、本当に何が起こっているか分からなくなってしまうのでしょう。
福島第一原発構内では、常に福島第二に関するさまざまな噂が流れているようです。
これは安定化センターなどのプロジェクトが、福島第一原発内に設置できず、福島第二原発に間借りする形でスタートしたことから、第一と第二の間で人の行き来が頻繁に行われていることもあるのでしょう。
(安定化センターは、現在は福島第二原発敷地内にあるが、「福島第一安定化センター設立準備担当」を設置し、福島第一原発内にセンターを設置するべく準備を進める。実施予定日は6月28日となっている)。
とにもかくにも、鈴木智彦氏の言う「福島第二原発の配管が大分、損傷している」というのは週刊朝日の記事を書いた桐島瞬と一致しています。
福島第一、第二のオーナーの立場としては、福島第二原発が無傷であるということにして、平然と再稼動させることこそ、これから気の遠くなるような福島第一原発事故の補償を軽くすることにつながるのです。
福島第二を再び動かして、プラントが無傷であったことを世間に印象づけることは、福島第一が地震によって破壊されたのではなく、津波によって破壊された、という東電の主張を補強することになるからです。
東京電力株式会社福島第二原子力発電所復旧計画書の受理について--
この文書が、それを暗示しています。
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