fc2ブログ

『ぼくはお金を使わずに生きることにした』と『野生に生きる 過酷な暮らし』の巻

author photo

Byほんたべ

gazou 6
米以外に、イナゴやタニシなどがゲットできる田んぼとは、
自給自足に向いた作物なんじゃないかと思うけどどうでしょうか。



『ぼくはお金を使わず生きることにした』(マーク・ボイル著)という本があります。

イギリスで自給自足生活を送っている男性の体験談を本にしたもので、
サバイバル好きなわたくし、年末に図書館で見つけて読んでみました。

この本はサバイバルではなく自給自足生活のノウハウ、というか
シェアリングエコノミーという思想と、その方法論をしたためたものです。
どうしても作れないものはシェアします。
自分の労働力と引き換えに物々交換するので、お金を使いません。



なるほど、この本は自給自足というよりはお金を使わないことがテーマで、
彼はグローバルな経済活動の輪からあえて外れて自由に生きることを目指しているのでした。

序章でそれがわかるので、サバイバルを期待した人はここで脱落すると思います。
わたくしはなるほど興味深いと思いつつ読みましたが、最後まで読んだ結論
「元気で若くないとムリかなー」でした。

わたくしも年を取り、ムリをするのはムリ、ということがわかったのでしょう。

さてこの本のなかに、米国でも自給自足生活をしている数名の名前が出ていました。
いろんな人がいるんだなーと他人事のように思っていましたら(実際他人事)、
なんと、ナショナルジオグラフィックチャンネルで
『野生に生きる 過酷な暮らし』という番組が始まったではありませんか。

この番組は米国の5組のサバイバリストというか、自給自足の暮らしを営む人々を
5分おきくらいにくるくる紹介しつつ45分の番組を作るという構成になっています。
全部で6話あるそうですが、いまのところ5話放映されています。

一組をじっくり、というのはいかにも飽きる、というか、その人の語る思想で
おなかいっぱいになってしまって次を見る気がなくなるので、正しい構成だと思います。

登場するのは以下のような人々です。

1.ジョージア州の沼地でビーバーや鹿を狩って暮らすコルバート
2.アパラチア山脈で山の斜面で野菜を作ったり狩りをしているアメリアとトニー
3.コロラド州で何をやってるかわからないデリク
4.どっかの山の中で自給自足をしていて時々離婚した妻のところにいる娘が来るソーン
5.不定期に出てくるカリフォルニアの狩人、ガブリエルとジャスティン

番組サイトを見てみましたが、いいね! が158しかついていなかったので、
あまり見られてないのかもしれません。残念、おもしろいのに。

アメリアとトニーは狩りをして鹿肉をゲットしたのですが、冷蔵庫がないため、
塩漬けにする必要に迫られます。が、塩がないため、海に行って塩を自分で作ります。
トニーは食べものの安全性が第一なので、海岸の海水では不潔だから沖の水じゃないと、
と言い張り、海岸から10メートルくらい沖に出て水を汲みます。

海岸から10メートルって、沖じゃないよねと素直に思いますが、彼は真剣です。

また、生水はおなかを壊すから、と、雨水や湧き水を濾過する装置を作るのですが、
みんな濾過した水をそのまま飲んでいます。タンクに溜まった濁った水が
透明になった時点で「清潔だ」とか言うのです。

煮沸してー! 煮沸を! 

ところどころ、というか、ほとんどのシーンで「???」てな感じの誤った知識、
あと思想がてんこ盛りの語りで進行し、ナレーションはいっさい入りません。

で、実はこの番組、作りての微妙な悪意を感じるのですが、わたくしだけでしょうか。
感じた悪意は以下のようなものです。

コルバートは常に立派なことを言うのですが、薪ストーブをつけっぱなしで狩りに出て
帰ってきたら14年間かけて一人で建てた家が全焼していた
、という
あまりにもおいしいシチュエーションが発生しています。

言葉を失うコルバート。

落ち込むコルバートはその日番組スタッフにホテルを取ってもらいますが、
そのホテルで「あまりにも便利すぎてイヤだ」とか恩知らずなことを言います。
家が燃えたのは気の毒ですが、この後、彼がどんなに立派なことを言っても
「家を燃しちゃった恩知らずな男」としか思えません。

また、デリクというおっさんが何をしているか全然わからない理由は、
彼の登場回では必ず、飼っている3頭のラバに乗っては振り落とされ、逃げられ、
追いかけ、荷物を拾い、ブツブツ文句を言うことしかしていないからです。

彼は3回出ていますが、どの回もラバネタのみ。
最初から最後までラバを探し「まいったな」と繰り返しています。

デリクはたぶんラバネタ以外にステキなことをしているのではないかと思いますが、
常時ラバに振り落とされているので、自給自足の人というよりは、
自分の家畜のめんどうすら見られない残念なおっさん
って感じです。

テレビ番組というのは、作り手が恣意的に情報を選択し構成するものです。
だから登場人物全てに「いいエピソードを選ぶ」という選択肢があるはずなのですが、
5話全部見ても、なんとなくほぼみんな「残念な人」としか思えないのです。

「過酷さ」の演出なのかもしれませんが、滑稽ですらあるこの過酷さで、
番組スタッフは何を伝えたいのでしょうか。

っつか、わたくしがひねくれてるだけ? まあ、いいか。

これらの自給自足の人々を見て思うのは、若いうちはいいんだけど、
60歳過ぎてからも継続できるんかな、という素朴な疑問です。
わたくしはまだ56歳ですが、すでに塩は買ったほうがいいと思うし、
野菜は作れますが、家畜は飼ったとしても鶏までかなーと思います。

また、トニーがアメリアにしたように、腐った豚の頭蓋骨から抜いた歯で作ったネックレスを、
夫が誕生日にプレゼントとしてくれたら、速攻で川に投げ捨てるでしょう。

というように、自らの価値観を認識させてくれる『野生に生きる 過酷な暮らし』
もうじき終わりますが、機会があったらご覧ください。

『野生に生きる 過酷な暮らし』
https://natgeotv.jp/tv/lineup/prgmtop/index/prgm_cd/2698
関連記事
Share

Comments 0

Leave a reply

456789'.split(''),s='';for(var i=0;i