わたしが食べるものは誰がどうやって作ったもの?
農水省の平成26年産水稲の作付面積及び予想収穫量(10月15日現在)
によると水稲の10a当たり予想収量は536㎏(作況指数101)なんだって。
一反あたり約9俵。なんとなく「へー」って感じだ。
今自分が食べているものがどこから来たのか、
どのように作られているのか、原料は何か。
某D社出身のわたくしはめっちゃ気になる。
某D社はそういうことを、人と手間を投入してめっちゃ調べているからだ。
しかし一般の消費者はそういうことを意外と気にしていないらしい。
消費者庁が行った「食品表示に関する消費者の意識等調査」で、
一括表示を見る人の割合は43.5%。二人に一人もいないんだって。
この数字は加工品の数字なので、野菜やくだものなんてのは
もっと低いのかもなー。っていうか原産地しか表示されてないし。
知りたいのは原産地だけで、その他は気にならないのかもしれない。
さてしかし。
食品業界ではトレーサビリティというのはとても大切なことと思われており、
誰がどこでどのように作ったのかが追えるシステム構築を行い、
確からしさを担保する取り組みが行われていた。2002年頃の話だ。
今はどうかな?
「履歴が追えること」は優位性になっているのかな?
実は今、履歴が追えるたべものがふたつある。「コメ」と「牛肉」だ。
牛については「牛の個体識別のための情報の管理及び伝達に関する特別措置法」で、
国産牛・和牛ともに、どこの農場で生まれ誰が肥育して
どこで屠畜されたかという生産から販売までの情報が、
きちんと追いかけられるしくみができている。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/tikusui/trace/(農水省WEBサイト)
耳についてるのはイヤリングじゃなくて個体識別のための耳票。
写真撮った時は気が付かなかったけど、この牛除角されてないのだね。
これはBSEのときに法律で作られたしくみだ。
スライス肉のパックに付いている10桁の個体識別番号で
子牛が生まれた農場の名前が出てくるんだからスゴイよね。ほんと。
ちなみに海外産の牛についてわかるのは原産国のみである。
コメには「米トレーサビリティ法」という法律が平成23年7月1日に施行された。
http://www.maff.go.jp/j/syouan/keikaku/kome_toresa/
「お米、米加工品に問題が発生した際に流通ルートを速やかに特定するため、
生産から販売・提供までの各段階を通じ、取引等の記録を作成・保存します」
という法律である(農水省WEBサイトより)
コメだけでなくコメの加工品についても義務付けられており、
流通業者(おコメを取り扱う事業を行っている人たち)は
「品名」「産地」「数量」「年月日」「取引先名」
「搬出入した場所」「用途を限定する場合にはその用途 等」
について記録を保存することが義務付けられている。
また、消費者に対しては産地表示をきちんとしなくてはならない。
これは外食産業にも義務付けられており、レストランの入り口やメニューに
「当店のおコメは◯◯県産を使用しています」という張り紙を
時折見かけることがある。見つけるほうが困難だったりする外食店もあるから
指導とかどうなってるのかなと思うけど、とりあえず義務は義務である。
この法律は、産地偽装や加工米の横流しなどの事件が相次いだことから
新しくできた法律だ。なんとなく、無登録農薬事件後に
「農薬取締法」「食品衛生法」をあわてて整備したときに似ているね。
もしかしたら減反による加工米・飼料米の増加も影響しているかもしれない。
おコメ問屋さんに行った時「魚沼コシヒカリ」の袋を見つけて
うれしくなって撮ってみた。新潟産コシヒカリはコシヒカリBLが推奨されてて、
DNA鑑定すればBLかどうかすぐわかるので、産地偽装できなくなってる
って話だったけど今も変わらないんだろうか。
消費者には「表示」という点のメリットしかないんだけど
そもそも表示を信頼していない人が多いからちょっと残念な感じ。
なのにコメ問屋にとっては「ものすごーく手間暇がかかって大変」らしいのだ。
農水からしょっちゅう査察が入り、あーでもないこーでもないと言われ、
精米機に残ってた別の産地のコメがいくらか混じってたとかいう
コンタミレベルでもきびしーく指導され、始末書を書かなくてはならない。
また米粉用のコメは「上新粉」市場を圧迫しないよう
「上新粉」と確実に区別しなくてはならず、
書類提出等が非常に煩雑な制度になっており、
米粉を作って売るのがイヤになるほどめんどくさいらしい。
そんな苦労をしてるのにたいして売れない米粉。かわいそうな米粉。
しかしそれでもまだ産地偽装や加工米横流しが発覚することがあるのだから、
しくみとして不完全なのだろうか。書類を死ぬほど保存しないといけないのに。
こないだのチキンナゲットの中国工場のHACCPのように、
運用する側が悪意を持ってやればダメということなのかもしれない。
さて、これに「栽培方法」「使った資材」などもくっついて
「誰がどこでどのような資材や農薬を使って作ったか」が
トレースできるのが有機JAS認定である。
有機JAS認定はトレーサビリティ法ではなくJAS規格のひとつで、
「有機農産物」という表示ができる規格(基準)を定めたものだ。
有機JAS認定は圃場に対して与えられるが、
前年度の栽培履歴を調べようと思えば調べられる。
有機JASは圃場にも看板でてるし、倉庫も区分けされてるし、
トラクターは非有機圃場から乗り入れる際に洗わないといけないし、
毎日日記つけて伝票全部取っといてシールをちゃんと管理して、
次の年に認定機関が雇った検査員に監査されます。大変だよう。
「有機JAS認定圃場でわたしはめっちゃ厳しくてめんどくさい
いろんな決まり事をちゃんと守って作りましたよ」ということを担保する法律だから、
当年度の栽培履歴は不明だ。でもそれでいいのだ。規格だから。
その他に「特別栽培農産物」というガイドラインがあるけど、
これもまあ「特栽」と言って売っていいですよというガイドラインなので、
しくみとしては有機JAS認定と少し似ているけどちょっと違う。
有機JAS認定のような「めっちゃ厳しくてめんどくさいいろんな決まり事」はなくて
「地域の慣行栽培の化学肥料(チッソ分)及び農薬の50%減」であれば
「特別栽培農産物」と表示して販売してもいい、というものである。
ということで、お店で売られているもので、法律によって
「どこで誰がどう作ったか」がわかるものは、今のところこれ以外にはない。
だからスーパーの野菜やくだものの栽培履歴を追うことは非常に難しい。
しかし、そもそもそこが気になる人はスーパーマーケットを利用しないで、
某D社などの流通を利用するか、個人の農家から直接買っており、
気にならない人がスーパーで買ってるから別にいいのかもしれない。
というか、気にしている人っているのかな?
こんなの書いてなんかちょっと不安になってきた月曜日の午後。
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